3月の映画よもやま

 3日前、4回目だか5回目だかのzoom呑み会。参加6名という賑やかでアッという間に2時間が過ぎてったけど、話を聞くに、やはりというか……、全国各自治体のゴミ処理場はメッチャ忙しいという。

 誰もが自宅にいる機会が多くって、老いも若きもニワカ大工やらリフォームに精出して、結果、粗大ゴミやら不燃ゴミやらやらDIY作業に伴うアレコレが処理場に運ばれる率が高くなっているそうな。

 なるほどねぇ~。

 ま~、当方も結果としてはその内の1人か……。

 

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        タイル剥離後の下地を整え中。まだ乾ききってないんで黒く映ってる

 

 さてと今月に眼にした映画たち。備忘録的に記しておく。

 

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ペリカン文書THE PELICAN BRIEF  1993   Blu-ray

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 VHSの時代頃からもう何度観たことやら。ジュリア・ロバーツ扮するダービー・ショーの頭の良さと、動き廻る記者デンゼル・ワシントンとの組み合わせが良いのは当然だけど、この21歳という設定の法学の学生ダービー・ショーが、かなりのお金持ちの家で育ってると判るのも一興。アメックスをはじめに複数のカードを持っていて、そこいらの学生とは違う。

 逆にいえば、貧乏な苦学生じゃ~、この映画は成立しないんだわ。お金持ち出身ゆえ、カツラ買ったり衣装取っ替えたりで変装し、ホテル転々の逃避行も出来るわけで、ホテルとて部屋が複数あるのをチョイスだぞ。

 この映画でイチバンにいいのは、暗殺者カーメル役のスタンリー・トゥッチだな。ある時はハゲたオカマ、ある時はビシリと決まったスーツでカツラ、ある時はランニング・シャツのジョギング愛好者……多羅尾伴内みたいな変装ヘンゲがいいざんすし、何より人殺しにはまったく見えない目元のかわいらしさがヨロシイなぁ。

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 ダービー・ショー殺害を目論む大がかりなグループも出て、この連中いずれもがおっかない形相で執拗に追っては来るものの、映像的インパクトはスタンリー・トゥッチ1人の方がはるかに上。役者の存在感というもんだろ。

 ホテルにチェックインするや、依頼殺人のメモをチェックしつつ平然とフロントにサンドイッチをオーダーする辺りの描写が、プロの中のプロっぽくていいざんす。我が輩が好きな男優のお一人さんがこのヒトね。

 このトゥッチが監督した『ジャコメッティ 最後の肖像』を観たいとは思ってるけど、いまだかなわない。

 ジュリア・ロバーツに関しては、その後いくつかの映画で彼女を見たけど、どうもいま1つ。

 某BARのママが、『オーシャンズ11』での彼女の姿勢の悪さを指摘し、以後、注視するに確かにその通りで、この人は豪奢な役回りが多い割に、それに見合うセレブリティという感じが出てこない。貧乏だけどコツコツ活きてるというタイプの女性を演じても好いかと思うんだけど、な。

 

 

白雪姫と鏡の女王Mirror Mirror 2012 Amazon Prime

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 そのジュリア・ロバーツが悪い女王を演じてるブラックなファンタジー

 この映画でも彼女はセレブリティ。王族衣装があんがい似合い、かつ、悪役という立ち位置が悪くない。猫背っぽい感じはそのドレスゆえ感じない。

 しかしきっと、映画製作者は彼女の大きな口に拮抗出来うるヒロイン役を探したには、違いない。

 で、結果として、眉がとっても濃ゆ~いスノーホワイト(リリー・コリンズ)が出てきて絶妙なバランスを生んだ。

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 大口 対 濃い眉。

 そこを基点にこの映画をみると、この滑稽劇はセット撮影であることを強調し、色々なシーンで大げさがあり、「映画的」ではなく「大胆に絵本的」であろうと画策した感触がある。誇張が全域に塗布されてる。

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 だからそれで安っぽくもあり、逆に豪奢にも見える。豪奢の1つは衣装デザインが石岡瑛子だからであろうけど……、インド風味たっぷりミュージカル仕立て(監督がインド出身だからか)のエンディングの最後で、この映画が石岡に捧げられているのが判る。公開直前になくなったようだ。

 

アガサ・クリスティー奥様は名探偵』 Mon petit doigt m'a dit... 2005 フランス映画 DVD

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 主役のカトリーヌ・フロは『大統領の料理人』で見事な演技を披露してくれたヒト。この映画でも好感。そこそこ富裕で悠々自適という主人公の立ち位置がヨロシイな。そこをイヤミなくケレンミなく演技としてこなしたカトリーヌ・フロがやはりとてもヨイヨイ。

 彼女が持ち歩いてるバッグ(たぶんエルメスバーキンとか、ちょっとブランド名は判らないけど、良い品をさりげなく使ってるらしき描写も良し好し。

 亭主の車もいいぞ。たぶん60年代初期アストンマーティンのDB4GTだと思う。

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 英国情報部のおなじみ007が乗ってるのが、このDB4GTの後継車となるDB5。

 主人公の亭主はフランス情報局に勤務の役人であるから、この車をチョイスしてるのは、そのあたり、英国人クリスティーや007の英国へのパロディでもあるんだろう。

 ま~、ともあれ、孫がいるこの熟年カップルのラブラブなSEX描写(直接な描写はないよ)を含め、フランスらしいテーストに満ちて好感度高し。

 フランスじゃ随分と評判良く、続編として2008年に『奥さまは名探偵 ~パディントン発4時50分~』が作られ、それがまた秀逸だったようで幾つか賞を取ってるらしいけど、未見。DVDになったもののプレス量が少ないのかしら? 中古品で78000円の値段がついてら。実売で1000円程度な再販をば望む。

 

『バードマン』BiRDMAN  2015   Blu-ray

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 アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督のアカデミー賞受賞作。

 繋ぎ目がない1シーンのように見せる映像は、例の『1917』よりこっちが早く、撮影賞も取ったのは当然な感じ。マイケル・キートンの恥をかなぐり捨てた演技やらエドワード・ノートンの妖しい熱演がたぎり、見事なシーンが連続するけど、ボクが好んで観る映画かといえば……、そうでない。

 

『レヴェナント 蘇りし者』 2016  Amazon Prime 

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 アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『バードマン』の次作品で、これまたアカデミー賞受賞作。ディカプリオがやっとアカデミー主演男優賞に輝いたという点でも話題になったね。

 効果音に近いような坂本龍一の音楽が何より素晴らしい。映像の流れにうまく溶けて出しゃばらず、画と音楽が限りなく一緒になって、ひたすらに美しい。音符としての音楽というより「耳に届く背景音」といってもイイか。だからことさらにメロディを拾わなくていい。これは好かった。

 が、ボクが好んで観る映画かといえば……、やはり、そうでなかった。

 結局、繰り返して観る確率が低いということになるんだね。良き作品イコール再観賞、という図式はなりたたないんだわ、さ。

 ディカプリオと熊とのシーンやら、悪役に徹したトム・ハーディがもたらす腹立たしさもスゴイんだけど(助演男優賞だね)、それらを座ってジッと眺める根性が今のボクには、ない。『バードマン』もこちらも、人の凄まじさがしっかり描かれちゃ~いるし、ま~、だからこそ2年連続のアカデミー作品賞なんだろうけど、いわゆる「いきざま」のその強烈にタジタジしちゃって、正直、しんどいのだね。

 もちろん『バードマン』も本作も「映画術」としてその映像と紡ぎ方が限りなく頂点付近にあるのはマチガイない。とりわけ本作では雪に覆われた山河の景観が圧倒的に美しいし、圧倒的に厳しいものだと眼にどんどん入って来るし、主人公が逃げつつも追う立場という妙なアンバイや、巻頭から言葉として出てくる「女」が何であったかが劇の終わりに判るという仕掛けやらの醍醐味も、総じて映画でしか描けない性質を濃く濃く帯びているんじゃ~あるけど、いかんせん、こちらのアンバイがよろしくない。見終えて疲れてるんだ。だからま~、1度観たからもう充分という感が濃厚。

 

ザ・ロック THE ROCK   1996 Blu-ray

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 当時映画館で観たさいはそれなりに面白いと思ったけど、こたび久々観るに、いま1つという感がなくはない。

 政府に憤ったエド・ハリス扮する反乱将校の脆さが、アクション映画の醍醐味を減退させているような……

 むろん、その脆さがこの将校(准将)のチャーム・ポイントなんだし、ただのアクション映画にしたくなかったであろう製作者の気分も判らないではないが~ぁ、こちらの気分としては、ただのアクション映画に徹して欲しかったような。

 

インサイド・マンInside Man   2006    Blu-ray

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 先月に思い出し、Blu-ray購入で久々の観なおし。ついこの前、クリストファー・プラマーが亡くなってるんで、追悼もこめて。

 ったく、うまい造り。スパイク・リー監督作品ではイチバンにあげてイイ。

 デンゼル・ワシントンよりも、大半シーンが濃いサングラスとマスクだった犯人役のクライヴ・オーウェンがやはりヨヨイノヨイ。

 2006年当時、仲間と倉敷に出向いて観たさいの記憶も蘇るが、今回の再見ではジョディ・フォスターの良さにもあらためて感心。

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 1度観たあと、特典の監督自身のコメント入りでもう1度観ると、監督もジョディの良さに言及してた。

 

ROMA/ローマ』 ROMA 2018 Blu-ray

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 数年前の弩級な話題作を今やっと観る。監督のアルフォンソ・キュアロンはボクよりちょっと若いけど、自伝的映画なのだそうだ。メキシコのローマというストリート沿いの、ある一軒の家の話。

 とんでもない規模のセットとエキストラと小道具の潤沢に驚く。

 劇中、映画を観にいくシーンがある。それが『宇宙からの脱出』。

 ボクにとっては大きな映画。意外なところで時代の共通性みたいな気分を味わえた。というか、実に単純に、あの時期1971年)、メキシコでもこの映画を観られたのか……、という単純な驚きなのじゃ~あるけど。

 劇中に登場するシーンで、宇宙空間に浮いてるのはジーン・ハックマン。

 

 13年前にこのブログに載せた『宇宙からの脱出』記事。

 さらに2014年の1月にも同じタイトルで、またこの映画を取り上げてる。この記事は模型がメインの話。

 

ゼロ・グラビティ GRAVITY   2013   Blu-ray

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 キュアロンの前作。あらためて再見。『ROMA/ローマ』で出てきた『宇宙からの脱出』が幼少時の体験として彼にあるなら……、この『ゼロ・グラビティ』は彼なりの自身へのオマージュなのかもしれない。

 まさに宇宙からの脱出劇

 これが公開された直後だったか、劇作家の坂手洋二氏と某BARでたまたま席同じくし、氏が、

「あんな映像が撮れるんだねぇ」

 と素直に感嘆していたのを思い出す。キュアロンと氏はほぼ同い年くらいのはず。ひょっとすると岡山出身の坂手も岡山グランド劇場で『宇宙からの脱出』を観たかもだけど、ま~、それはどうでもいい。人それぞれに同じ時間、同じ映画を過去味わっていたことにチョット、感慨したまでだ。

 

月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術』 2020 Amazon Prime

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 1902年にジョルジュ・メリエスが造った映画の研究と修復の結果としての記録映画。

 Blu-rayが販売されているけど、1万2千円を超える。高過ぎ……

 幸いかな、今現在は、Amazon Primeで観ることが出来る。

 素晴らしい。

 メリエスの素晴らしさと、最新の復活技術による努力の素晴らしさ。

 セルロイド・フィルムは物質としては実に短命で脆く、ロールに巻かれて缶の中に保存していても劣化が進む。フィルム同士がくっつき、とけあってく。それを1コマ1コマ何とか取り出し、デジタルに置き換え、欠損部を補修していく根気の本気作業が数年……。

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 119年前のメリエスの卓越と、現在の修復技術者たち(大勢ではない。ごく少数の徹底した努力)の根性と卓越。この2艘の舟の進捗を同時に眺められる贅沢をば味わう。

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 フランス人メリエスはこの『月世界旅行』に全霊をそそぎ全財産をかけて製作にいそしむ。しかし製作途中のフィルムのコピーが米国に流出。エジソンはそれを手に入れ、さらに大量コピーし、経営する多数の映画館で上映し大儲け。

 一方のメリエスはそんなコトになってるとも知らず映画を完成させるも、事態を知って愕然……。財産を失いプライドも蹴破られ破産する。

 そういう顛末を踏まえて復活した『月世界旅行』を眺めると、この作品、やはりフランスの宝だとは思う。

 

NEXT -ネクス- NEXT 2008 Amazon Prime

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 ニコラス・ケイジ主演のSF。2分先の未来が見える男の話。原作はフィリップ・K・ディックの「ゴールドマン」。

 この作品、あんがいと好き。ヒロインとなる女性にどう接近するかを映像として見せてく導入部のくだりは、笑える。

 時間を行き来するのを主題にしたSF映画は、たいがいどこか破綻しているし、この映画とてツッコミどころ多々ありなんだけど、そうそう深刻に受け取らず、愉しく眺めりゃヨロシイのではないかしら。

 ヒロイン役のジェシカ・ピールがいいし、女性FBI捜査官のジュリアン・ムーアもいい。ぴったりと役にはまってる。

 ニコラス・ケイジは最近5回目の結婚で相手は日本人の元女優とかで、盛んだなぁ。しかし過去4回離婚したということは……、2分どころか、数年先も読めなかったのじゃね。

 ま、そんなもんだワ。

 

『宇宙人東京に現わる』 1956 Blu-ray

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 5年ほど前、本ブログでこの映画劇中に出てくる居酒屋「宇宙軒」のことを書いたら、多数のアクセスがあって驚いたことがあるけど、その頃はやっとDVDが出た程度だったねっ。

 今やBlu-rayで観られる。

 万人に勧める気はない。あくまで我が嗜好に基づく好みな映画。劇中の「宇宙軒」は最高だ。

 見返すたび、いっぱい呑みたくなる。というかホントにこの店が我が宅の近くにあったらなぁ、と真顔で思う。

 5年前の記事は下記の通り。

 テニスコートがある軽井沢と思われる大きな娯楽施設、清流に遊ぶ若い男女の嬌声、刻々と動く電車……、などなど、この映画は1956年に創られ、当時の日本のカタチを記録している側面もあるのだけど、その僅か11年前までは、「打ちてし止まぬ」な勢いの、無謀な戦争で遂には焦土と化したようなアンバイであったのが、まったく感じられないという……、日本人の「忘れっぽさ」というか「あっけから~ん」というか、そういうところが垣間見えるようでもあって、感慨の深さが観るたび深くなる。

 そこを踏まえて今を思うに、オリンピックできるの? できないの? と一喜一憂してはいるけど、どちらに転ぼうとも、それはそれなりでスト~ンと受け入れちまって平然としちゃえるボクらではないかしら? 

 既に始まっている聖火リレーの報道を眺め……、そんな風にも思ったり。

DIY

 トタン屋根のペイントをやって以後、妙に、住んでる家のことが、ひっかかる。

 建てられて既に久しく、何度か増築と改修があり、さらには何度もの地震に遭い……、それなりに傷んでいるのは判っていたけど、傷みが「痛み」として眼につく……

 たとえばバスルーム。

 20年ほど前に業者に依頼して大きく改造したものだけど、阪神淡路大震災のさい、タイルにヒビが入った。

 なんだかその時は綺麗に治すという気がおきず、実にまったく適当に100円Shopで売ってる色も違うセメントを塗ったくるという程度で済ませ……、そのまま今に至ってた。

 

 そのいい加減な仮修理のコトを、以後まったく気にしていないワケでもなかったけど、ま~、いつか、ある時に、という感じでほったらかしだった。

 それがこたび妙に眼についてしかたない。

 仔細を見るに、かの大震災後も何度かグラグラを味わっているワケで、アチャラにコチャラ、大小のヒビやら表面の剥離ありあり。

 バスルームの三隅がとくにひどい。

 

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    黒い部分は穴が開いてるんじゃなく、黒いコーキング剤が当時手元にあったので……

 

 ならば、こたび、ちょいと本気で、自分で治してみよう。

 ヒビ割れタイルを新しいのに取っ替えよう。

 そんな野蛮がムックムクと起き上がるんだった。

 

 YouTubeで情報を仕入れるに、風呂タイルの場合、ヒビが入ってるタイルの廻りの目地部分にマイナスドライバーをあてがい、金槌で徐々に叩いて、取っ払うのが正道のようだ。

 そこで某日、コーナー部分の1つにその施しをやってみるのだった。

 けどもだ、これが手強いんだ……。

 まずイチバンに、だ。

 金槌を叩くたび、なんせ密閉率の高いバスルームゆえ、音が大反響。近所迷惑はなはだしい騒音だぁ。

 次いで、容易にタイルが剥がれてくれないコト。

 よほど頑強な接着剤で固定されているんだろう。ビクともしない。

 作業を始めて直ぐにお手上げ……。

 

 ま~、そこを踏ん張り、カーンカーンの大音量に顔しかめつつ頑張って叩いてくと、タイルを固定したモルタル部分そのものが、ごっそり外れてしまって、

「あっ!」

 ビックラこくのだった。

 

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 タイルというのは、あんがい硬い。マイナスドライバーの先っちょで強くインパクトしたって、割れもしないんだから、たいしたもんだ。(タイルよりもその裏側のセメントの方が弱いんだね……)

 そのたいしたもんだのタイルを、およそ1分強ほどだった震度4強の揺れ阪神淡路大震災は、いとも容易に裂いてヒビ割れを作ったんだから、これもたいしたもんだ。

 地震エネルギーはヒトが振り下ろす金槌の一撃より、はるかにデッカクて強靱なんだから、たいしたもんだ。

 褒める気はないが、すこぶる、恐れ入った

 まっ、その事実を……、あらためて、我がバスルームの隅っこで知ったという次第。

 

 で、そのマイナスドライバー打ち叩き方法なんだけど、効率が悪い上に、どうかした弾みで、そばの、良い状態のタイルの縁まで剥がしてしまう。

(直に打撃を加えたワケでなく、打撃の衝撃でボロッと落ちる場合がある)

 これでは治そうとしてんだか、壊そうとしてんだか、本末転倒。

 

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 しゃ~ない……。

 模型用の工作道具はしっかり持ってるけど、家屋用の工作道具はほぼ持ってないんで、電動グラインダーをば購入。

 予定外の出費も何だか小さな驚き。

 が、グラインダーがあるなら、それはそれで工作を愉しめるかもな……、工作電圧が下がったり上がったりの今日この頃。

 

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 という次第で、グラインダーにタイル用のダイヤモンド刃を装填で、目地切り再開。

 難なくという程じゃないけど、作業速度と効率がアップ。

 

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 微細な粉塵が激烈多量に舞うけど、そこは防御メガネとマスクで対抗。マスクは幸いかなコレが必需の世の中なんで在庫たっぷり。

 しかし粉塵はハンパでない。辺り一面、顔も髪も肩も真っ白け。撮影に使ったiPhoneも真っ白けっけ〜、故障するぞ……。

 もちろんながら、目地は切れてもタイル本体はやはりマイナスドライバー(たがねに変えたけど)と金槌でカンコンカンコン……。

 音のでかさに作業は5時頃に終える。いったん全部片付け、剥がした部分はビニールでガードし、真っ白けになったバスルームと自分にシャワーがけ。

 この作業、明日もまだ続く。

 

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              粉塵で背中も白く、髪の毛もジャリジャリ……

 

 コロナウィルスの騒動となって以来、ホームセンターはどこもDIY部門が盛況。かなり忙しいそうだ。

 事実、どの時間帯に出向いても、木材買ったり、道具吟味のヒトがいる。

 ご承知の通り、DIYは、

 DO IT YOURSELF

 の略語。

 第2次大戦終了後、空爆でやられたロンドン市民たちが自分たちの手で瓦礫かたづけ、使える煉瓦を組み直し、鋸を引いて柱やら階段やら家具やらやらを作り直していったコトで、この略語が定着してった。

 新たに創り起こすのではなくって、あくまでも復活させるという意思のバネが強かった。

 なのでロンドンは手作り再生された街、といっていい。

 災禍に遭ってるという点ではコロナウィルスも、そうだろねっ。自宅にいるコトが多いので、眼と手は自ずと自宅修繕に向かうという次第でしょうなっ。たぶんにこの場合、リノベーション(刷新)が根底にあるんだろうけど、DO IT YOURSELFであるコトは一緒。寝て過ごすより良かアンバイ。

 たぶん……、わりあいと多くの方が、当方同様に自宅やらでカンコンカンコンなのでしょ〜なぁ。

吠えない犬

 春季お彼岸。

 旧家じゃないけど、坊さん来たり、親族来たり、墓へ参ったりと、それはそれなりにセワシなく数日が過ぎてった。

 

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 前回の秋の彼岸で坊さんに会えないままだったんで、前回分のと今回分の2つのお布施をば渡す。なんか、損したような気がなくもないのだけど、損得勘定なんて〜のが、そも、いけませんなっ。

 

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 いつも通り、我が父の墓と同じ場所にあるマ〜ちゃんの墓へも参る。

 こたびはシキビを持参。洋式な墓に仏教のしきたりを添えるのもナンだし、そもマ〜ちゃんが喜ぶとは思いもしないけど、ま〜、ィィじゃ〜ないか。

 手をあわせ、「ハ〜イ、来たよ〜ん」とご挨拶。

 

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 本を1冊。

 NOW進行中の政治的な本はあんまり読む気がしなかったけど……、示唆に富んでいて、合点したり憤ったり、させられた。

 タイトル秀逸。

 あえて内容に追加するなら、昨今の大手マスメディアは……、と云いたくもなるんだけど長くなるんで止めとこ。

 

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 昔、ボクが津山で小学生だった頃には、野犬が複数いた。

 吠えられ、追っかけられ、けっこう苦手だった。

 ま~、中には弱いのもいて、そこそこ威嚇し吠えるんだけど、「ワッ!」と大きな声と身振りをしてやると、たいがいシッポを巻いて逃げてった。

 でもトコトン逃げはしない。一定の距離を置いてまたこっちに吠えたりする。

 それはそれで犬としての、一種のプライドと自覚を持ってたんだろう。

 

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 過日のトタン屋根塗装なんぞで負荷がかかったか、以後、右手小指が痛い。

 指が熱っぽく、やや腫れている。チャンと曲がらない。

 曲げを無理強いると、かなり痛い。

 リウマチ、の初期症状か……。

 理由待ち、利有町、離湯宇摩智、竜魔痴、流間恥、などと気をそらしてカンジ遊びしても、痛み消えない。

 生活に支障をきたす程でもなく、チカラを入れたり指を動かすと痛むという次第ゆえ、外科にも出向いてないけど、あと1~2週、尾をひくようなら、行ってみよ~か整形外科。

 難儀なもんだ。

 そも、整形外科へ1回いってザッツ・オール・ライトには、たいがいならない。

 通院しなさ~い、ということになるのが眼にみえる。

 それも、嫌なんだわいね。

 ま~、イチバンに嫌なのは、ちょっとした無理ですぐに身体のどっかが変調をきたすようになった我が身体のポンコツ化進行ということか……。

 新車ではなく旧車になりにけり。

 もちろん旧車は旧車で、旧車ゆえの魅力がいっぱいあるんでネガティブに考え込まなくともイイけどね。

 

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 車といえば……シトロエンがヨーロッパ圏で発売を開始した電気自動車「ami」は、なかなか興味深い。

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 速度は45㎞までで、2人乗り。フランスではこの車に免許は不要で14歳から乗れる。(ヨーロッパ諸国では16歳から運転できて免許不要)

 その速度制限ゆえ高速道路は利用できないが、一般道はオッケ~。

 価格は65万円

 そういうネダンで出来るんだね、電気自動車は。

 

 

 一方、同じようなサイズのトヨタの電気自動車「C+pod」は速度60㎞までで、やはり2人乗り。

 現在は自治体向けに販売中で2022年から一般販売もするらしいが、価格は165万円。グレードが豪華なのが171万6千円。

 シトロエンより100万円も高いのは、おそらくトヨタは、自動車環境の未来図を今の延長でしか考えていないというコトなんだろう。カタチも新味がない。

 構造簡易な電気モーターに換わることで大幅にコストダウンしているはずなのに、ガソリン車と同じ価格を維持させているのは、現在の商いの旨味をそのままに移行させるだけの、企業利益が最優先ということなんだろう。

 

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 対してシトロエンの価格設定は大幅なロープライスによって、電気自動車という新たなカタチの間口の拡大、社会生活の基本部を変えていこうという覚悟ある戦略ゆえなんだろう。短距離移動と用途を限定した上でカタチもあえて異風に設えた様子。

 その上で都市部におけるカーシェアリングを考え、1分0.26ユーロ(31円)で貸し出しもし、月極なら19.99ユーロ(2400円)で乗れるという。

 速度制限有りの車というカテゴリーのことではあるけど、戦略というより車文化を変革しようとする本気度を示した、65万円というネダンなんだろう。

 トヨタの旧態とシトロエンの変革……。企業の社会に対しての、今後へのビジョンが浮き出てるようで、興味をひかれる。

 くわえて、モーター仕掛けの”低速”車には14~16歳から乗ってイイよという、EU圏の門戸の広い道路交通法にも驚く。日本じゃ、セグウェイなんぞも道路じゃダメという硬直カチカチなんで。

 そのカチコチやら旧態を溶かすにゃ、やはり、ピープルが吠えて抗議するっきゃ~ないんかな。トヨタ一社に向けて吠えるという意味じゃ〜ないよ。ビジョンなき社会全般に向けてというコトだね)

 勢いにのって噛みつかなくともイイ。弱いながら吠え続ける犬の根性もまた大事かもと、近頃はチラチラ思ったり。

 

ワクチン・ぼくちん・ダイ失神

 ミニが壊れて3ヶ月。

 エンジン・ルーム内のいささか重要な部分。その回転軸が折れるという類例のない故障ゆえ、換えとなるパーツはミニ専門店ですら”在庫”なし。

 なワケではるばる取り寄せ、待ちぼうけ。ようやく修理のメドが立ちツテト。

 という次第でこの3ヶ月不動のミニが修理工場へ、ゴ~ゴゴ~。

 30年近く乗ってるミニ。経年劣化というか、金属疲労というか、相当にくたびれているのは確か。

 修繕費もたぶん軽4の中古が軽〜く買える額になるとは思うけど……、ま~、乗れるだけは乗ってあげよう。

 

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 先日昼前、近場のスーパーの駐車場にて、ジャズフェス実行委員会のビシバシ事務局長とモシモシ通話。

 近況をば報告しあってたら、新幹線高架下の一直線の道路を白バイがサイレン鳴らしながら、西から東へ向けて結構な速度で駆けてくのだった。

 ボンヤリと眼で追っていると、信号の手前あたりでサイレンを止め、路肩に停車し、何やらインカムに向けてボソボソ。

 で、2度3度、ヘルメットの頭部を左右にコキコキ振ってから、Uターン、東から西へと今度はサイレンなし、低速で戻っていくのだった。

 左右に頭をコキコキしちゃった所をみると、

「ぁ~、やってらんねぇ」

 みたいな気配がなくもなく、緊急出動がその途中で解除されたらしき様子がアリアリで、「緊張」から「弛緩」への狭間が、そのコキコキだったかな? などとボンヤリ眺めたのだった。

 

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 こういう時のおまわりさんの脈拍は、どうなんだろう?

 サイレン鳴らしてかっ飛ばせていた時と、何やら連絡あってコトが中断したさいの脈拍数は、けっこうダウンしたようにも思えるんだけど。

 

 過日の朝日新聞だかに、「血管迷走神経反射」という耳慣れぬ単語があって、読んでみるに、コロナウィルス・ワクチン摂取のさい、深々と刺さる筋肉注射への恐怖とか、アレルギー反応とかが心配で極度のストレスが生じ、心臓がドッキンドッキン……、それで注射時に失神してしまうという「反応」のことのようなのだった。

 

 ま~、なんとなく感じが判らないでもない。

 ボクも、いまだ注射は苦手。

 ほぼ定時で受けている内科検診での採血、K歯科での麻酔注射……、など、

「あ、今日は注射されるのか!」

 採血は注射じゃなくって逆だけど、ともあれ身体に針が刺さってくるのは、とっても嫌なのだった。なので、注射器が出てくるや、明らかに心拍アップ、あるいはダウン。

 ちょっとカッコ悪いのだった。

 が、失神するほどに心臓がバックンバックンとはならないから、ま~、ダイジョウブだろう。

 

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   写真:ニューズウィークHPより転載

 

 かつて60年代の終わりから70年代初頭にかけて、月へ出向いた宇宙飛行士たちは、全員、出発から帰還までの間ず~~っと、心拍数をモニター(他モロモロの生理的データも)されて、そのことを彼らは随分に嫌ってた。

 選ばれし男の中の男として、クールかつエレガントに振る舞っていると彼らは見せたいから、身体に貼り付けられた計測装置に不快をおぼえてた。

 打ち上げ時の心臓の鼓動やら月着陸時のそれを、一々掌握され、かつ、世間に公表されるのは、なるほど、一個人としては、文字通りに心の内を読み取られているような”不快”であったろう。

 とんでもない事故となって帰還に全力を注いだアポロ13号の3人のクルーが、その途上において尚も医師がその脈拍数をカウントしているのに腹立って、衣服の中の計器を引っこ抜いて怒りを顕わにさせたのは、うなずける。

 もちろん、地上の医者としては、宇宙飛行士たちの健康管理を思っての当然のモニタリングなんだけども、そのこと事態が心拍数をあげる要因の1つとは、いえなくもない。

 

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                映画『アポロ13』での再現シーン

 

 で、コロナ・ウィルスのワクチン……。

 政府のいう日程はあてにならずで、いつ実際に摂取となるのかどうか皆目わからないけども、いずれ、いつか、どこかで、注射されることには、なるんだろ、サ。

 任意なので強制じゃ~ないけど、受けた方がヨカアンバイということで今は推移してるんで、きっと、あなたもボクも受けることになるんであろう、サ。

 ここはもう深く考えず、流されるままに、あの長い針をブス~ッとやられるのを覚悟しとこう。地獄の針山じゃないんで、2回、ブス~ッで終わりだ。

 けどやはり、今ひとつ判らんねえ

 このワクチン注射は、その2回で終わりなの? 毎年マイトシ、この先は受け続けるコトになるんじゃないの?

 なんか、そのあたりの消息が判らんので、結局は針山地獄がアタマをもたげる。それはそれでやっぱり、ふ・あ・ん。心拍上昇、あるいは、下降。

 おととい土曜、バーで会った医師をふくむ複数は摂取しないとの考えを表明されていたけど、要するに確定的なことが何もまだ言える状態ではないんだよね。なので見解が大きく分かれる。

 悪しきは、「摂取を選択しない医者」もケッコ〜いるという事実が、チャンと報道されていないコトかな……。マスコミもまた時流にながされているワケだろう、ネ。

 

 内心、密かに願望するのは、インフルエンザ予防薬とコロナ・ウィルス予防薬が合体した1粒の飲み薬をば国が国民に配給し、町内会長が各家庭に必要数を配り歩くって~~の、楽でイイっぽいな。これだとドキドキしなくてイイしぃ。

 

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 しかし何だかねぇ、オリンピック開催に向けての強行姿勢というか、次開催の中国に向けての露骨な配慮というか、上写真のごときな、こういう動向って、ボクの感じじゃ、

「ノ~ NO! ノ~ NO! 」

 が濃くなるばかり。

志ん生師匠が出てきて

 去年3月は、眼の手術をしたり、ユスラウメを抜いてレモンに換えたり、倉敷のギャラリーに出向いて友人の作品をば鑑賞したり、した。

 コロナ禍、観光客がほぼ誰もいない美観地区をそれはそれで愉しんだけど、今はどうなんだろ? やはり閑散としているんだろうか?

 たしか去年の3月時点じゃ「コロナ渦」という表現はまだ登場していなかったよう記憶するし、ワクチン開発とて、いつになるやらという感触だったような。

 で、こうして1年が経過。去年3月には思いもしなかったトタン屋根の塗装なんぞをやり終え、一息いれたりしてる。

 

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 レモンは冬に凍え、葉が枯れてしまったけど、たぶんダイジョウブ。直に新たな芽をふいてくれるだろう……、と期待する。

 一方で室内退避させているパッションフルーツは、この冬、24時間ほぼ空調を入れっぱなしの部屋ゆえに、葉を落とすこともなく、およそ40~50㎝ばかり枝を伸ばしてる。

 ま、そんなもんだ。

 

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 日曜の午後、庭池の水を換える。

 去年の10月頃から放ったらかし。さすがにドンヨリ濁り、まだ冬ごもり中の睡蓮なんぞもイイ気分じゃないだろう。何種類かの鳥たちの水飲み場でもある。

 近年はウグイスも来る。ウグイスはメジロに似るけど目元が白くないんで区別がつくんだホ〜ホケキョ〜。

 

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 金魚(コメット)はその10月頃からず~~っと家の中、水槽暮らし。やや頻繁に水換えし、水温もヒーターで常時18度。

 18度というのは金魚がもっとも好む温度。ニンゲンにはやや冷たい感なれど金魚には良か心持ち。

 ともあれ、魚のいない庭池の水を抜き、軽く洗い、また水入れ。

 これで水中に生きるグリーン、睡蓮もチョイっとはホッとしてくれるかな。

 

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 水換え作業のあと、ご近所のタケちゃん差し入れのアイスキャンディーをば、口にふくんでホッ。

 赤城乳業の「かじるアイス」。おっ、これ旨いじゃん。

 ニタリ頬ゆるませる。感謝。

 

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 明日、11日。

 3.11……。

 あれから10年が経つ。

 10年前の11日は、夕刻から芝居を見に出向いた。しかし出かける直前までTVで見ていたライブ中継映像の凄まじさが網膜に焼きついて気がのらず、芝居は哀しいほどに非力だった……。

 見終えた後、芝居の主催者K君にその旨を正直に告げたのだけど、今は多少違う気持ちでいる。

 非力だったのは、自然がもたらした驚異と芝居の創造とをゴッタ煮にした、こちらの拙陋(せつろう)な狭量。

 

 津波地震がもたらした歪みのバランスを取ろうとする文字通りの自然のふるまい。巨大な災いになって激しい痛苦がもたらされたけど、あえて云えば呪わしくはない。

 呪わしいのは、広島・長崎・3基のメルトダウンと、地球上で唯一、5つもの「悪害」を体験した国だというに、いまだ、原子力を生活基盤の要めに置こうとしているこの10年の歩み。

 10年前の記事、

 

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 先日、夢に五代目の古今亭志ん生が出てきて、一席やった。

 出てきたといっても、やってるのはボクなんだけど、神様の役とインタビュー役を交互に噺して、これがけっこ~面白い。

 インタビュア~が神さんにあれこれ尋ね、いちいちそれに神さんが答えるという流れ。

 前方の暗がりの中に複数の人がいて、そこからどっと笑いがあがるから、たまんない。

 単語の語源に関してを面白ろ可笑しくしゃべって笑いをとってるんだけど、オチ(いわゆるサゲね)がない。

 それで、

「おい、いつまでやらせるんだよ~?」

 インタビュア~に云うと、インタビュア~も困惑ぎみ、

「いやだって、コレ、お師匠の噺なんで」

 結局とまらない。

 なかなか爽快な一人相撲の愉快が続き、かなり愉しめた。

 しかし、夢というのはホントにケッタイ。メカニズムが判らん。

 なんでボクは志ん生を演じたんだろうか。先月に、枝雀のは2つばかり聴いて笑ったけど、志ん生御大のは聴いてないしぃ……

 わ・か・ら・ん

 

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      志ん生師匠 コップ酒呑んで談笑の図 手前はおでんか?

トタン屋根を塗る

 五輪真弓のデビューアルバム『少女』には、4曲目に「」というのがある。

 雨が空から 降りてきて

 トタン屋根を たたいてる 

 と、はじまり、

 君のうちはトタン屋根

 ぼくの好きな トタン屋根

 君がいつも ひとりだから

 来たんだよ

 まわりはみんな かわら屋根

 ノック出来ない かわら屋根 

 と、良い詞が続く。

(このデビューアルバム以後の彼女の詞は、かなりつまらない。悪しく云うワケじゃなく、少女の立場からでない歌詞にと成長して、結果、斬新も飛躍もない程度な平凡になったという感じ。五輪さんは今年でもう70歳になってるみたいだけど相変わらずアルバムを出し続けてるのは、いいね。学生の時、大阪府立体育館だかで催されたコンサートに行った記憶がある。吉田拓郎も共演してたけど、他に誰がステージに立ったか、覚えてない。ぁ、ガロってのも出てたな……)

 

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 で、我が家の一部はその「ノック出来るトタン屋根」なのだ。

 1階の北側すべて、南側ベランダの下などがトタン屋根で、雨音の強弱まで実によくわかって、これが心地良い。

 雨が寝耳にノック音、なのだ。

 たぶん、五輪真弓の実家、彼女の部屋の屋根も当時、雨音が聞こえるトタン屋根だったに違いない。そうでなくば、このような歌詞は書けない。

 トタン屋根の弱点の1つとして、雨音はあげられるけど、ボクはそう思わない。むしろ大きな利点だと思ってるし、五輪さんもそうだったろう、思う。トタンは外の気配を内に伝える優れた伝導板、スピーカーだ。

 

 我が宅のは、何度か塗り替えてる。

 鉄板は錆やすい、これがトタンの最大弱点だ。

(トタン屋根は1960~80年ころが全盛。90年代にガルバリウム鋼板という錆に強い新素材が出て来て、カタチは同じながら価格も同程度で、これが座を奪う。雨音もしないらしい)

 うちの家屋のアレコレを養生してくれてるH氏が最後にペイントしたのは、12~3年前かしら?

 さすがに経年で痛みがひどくなり、サビが浮いて目立つようになってた。

 白色にペイントしていたから、赤サビが余計に目立ち、ボロ家の風情、みすぼらしい。

 しかしながら、H氏も高齢、いまさらに屋根に登ってよ……、とも云いがたい。

 懇意でもない業者に頼むのもなんだけど、アバウトな見積もりを眺めるに、やや広い面積とカタチゆえ、足場を組んだり、青いシートで家を覆ったりの大がかりで最低60万~70万はかかるらしい。

 

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 それで、自分でペイントすることにした。

 広範囲だし、危なっかしいし、躊躇しないわけでもなかったけど、でっかいプラモデルを塗装すると思えばイイ。

 そんな次第でチョイと前、塗装道具やらを一式買い込んで、屋根に登るんだった。

 

 トタン屋根の塗り替えには最初に「ケレン」という作業をやる。

 ハゲたペイント部分や浮いたサビを除去するワケだ。

 明治の頃にトタンブリキが日本に入り、その維持管理に、clean(クリーン)と発音されたのが「ケレ~ン」と聞こえ、そのまま作業の固有名詞になったのが「ケレン」なんだとか……。(明治日本に入って来たのは缶詰めで、その空き缶の廃物利用でまずは雨樋が創られ、日本でのトタンのヒストリーが動き出した。ブリキ職という新たな仕事が生じることにもなる)

 やって初めて判ったけど、なかなか大変なんだぜ、これが。

 

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 ワイヤーブラシなんぞでハゲたのを削り落とすんだけど、面積が広いゆえ、時間がかかる。

 インパクトドライバーの先に電動用ブラシを取り付け、楽にやれるかもとトライしてみるも、これの方が手加減が面倒でかえってシンドイ。

 

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 結局は歯を磨くみたいにワイヤーブラシを上下左右に動かす方が、楽。

 トタン屋根に這いつくばり、ひたすらゴシゴシ。

 以上で丸1日。

 買ってきた新品ブラシが1日にしてボロになり、反復運動で手指も痛くなる。

 

 翌日にまたワイヤーブラシ。南側ベランダの下もトタンなので、そこもシコシコ。

 廃品回収の軽トラックがアナウンスしながらやって来るのを屋根の上から、呼び止める。

 過日に壊れた電子レンジや、車庫の奥に積み上げ、ずっと前からゴミ扱いのオーブンやら電子機器数個を引き取ってもらうべく交渉。

 1万数千円というのを1万円に値切り、これで僅かだけど片付いた。

 で、また作業。

 ホースを引っ張りあげて屋根の水洗い。

 ところがホースが北側まで、届かない。

 しゃ~ない、ホームセンターに駆けてって、ジョイントと延長ホースを10メートルほど買い増し。

 で、また屋根でお水ジャ~ジャ~。

 

 さぁ、そうすると今度は雨樋のゴミが気になる。

 屋根を歩くと、従来は見えない諸々が見えてしまうワケなのだ。

 ゴミというか、砂埃が信じがたいほどに体積してヘドロ状。これの除去にウンザリ。部分はベッチャリ濡れ、部分は乾きに乾いてる。

 これで2日めが終わり。両手ガクガク、腰は痺れてフ~ラフラ。

 

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           ケレン作業で浮き出た白の下の以前の青色

 

 夜半より中途半端な雨。

 春雨といえば聞こえはいいが、こういうシトシトピッチャン・レインはいけない。車に乗る人なら判るでしょうが、塵も埃にも水分含ませるだけで重くさせ、洗い流すどころか、逆に汚れを付着させる。トタン屋根も右に同じ。

 

 3日め。金曜。継続してシトシトピッチャン。作業せず。

 すでに全身筋肉痛。脆弱にしてひ弱。苦笑するしかない。

 夜に先生がたとオンライン呑み会。屋根の話じゃなく、亜公園がらみでトイレの話。これがやたら面白くってアッという間に2時間越え……。

 

 4日め。土曜。筋肉痛はやや緩和ながら、作業せず。

 

 5日め。日曜。モルタル壁とトタンとの接合部の隙間にコーキング剤をば詰める。

 

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 この作業はたいしたコトはないんだけど、屋根を見廻すに、「ケレン」作業がちゃんと出来ていない箇所が幾つも幾つも……、眼にはいる。

 屋根塗装のプロなら、そこは見逃さないはずだけど、こちらプロでない。眼にはいっても……、あえて無視。塗ってしまえば何とか誤魔化せるだろ……、みたいなエエ加減な気分がドンヒャラ湧き上がる。

 あんのじょう、先の雨でトタンには塵やら埃が毛玉みたいに付着、汚れが浮き上がってる。

 また強圧で水を流すか? ぁぁ、メンド~。

 軽く雑巾でフキフキしつつ、脚立にあがって手が届く範囲でのトタン部分に「試し塗り」。

 しかしせっかくだ……。

 後で刷毛を洗うのもメンド~ゆえ、そのまま部分を本塗り、ローラーで塗ってった。

 

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風がやや強め。微細なゴミが飛んできて塗装の邪魔をする。プロフェッショナルな方々が作業場を青いシートで覆うのは、防塵対策でもあるんだね。

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 6日め。3月の初日。昨日の塗装は全体の1/5くらい……。

 近年は、サビの上にそのまま濡れる塗料が開発されてる。ありがたい。シロウト作業にゃもってこいじゃ~ないか。

 という次第で塗料はそれを使ってる。

 塗装面積のトータルはおよそ130㎡、ざっと40坪……。6㎏で6500円ほどの缶を、一応、2缶確保しているのだけど、足りるのかな?

 曇り空。この日は2時間ほど北側の1部分を塗って終了。

 

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 7日めの火曜。夜中から雨。ペイントしたばかりだというのに、ダイジョウブかいな?

 当然作業なし。

 雨の中で塗装仕事してるシュールなペンキ職人さんを空想し、その塗装状態ってどんなかしらと思って、ちょっと笑う。

 

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                  濡れた塗り立て

 

 8日め。水曜。日差しあり。前日の雨の影響はなさそうと判断し、塗料をのせる。

 雑巾でフキフキ後、ヤッカイそうな所をまず刷毛で塗る。特に道路側屋根の端っこ。かなり、おっかない。なので、ほぼ寝そべるようにしてへばりつく。下を通行してる人には、バカに見えるであろう素人シゴト。カッコ悪いが仕方ないじゃ~ないの。

 次いでローラー。

 

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 ローラーを発明した人って、エライなぁ。広範囲をかなり均等に素早く塗装できるし、あんがいと細かい部分をもペイント出来る。刷毛塗りの速度の5~6倍はイクんじゃないかしら。

 塗料は既に2缶めを使用中。足りないと困るんで作業を中断し、Amazonに発注で明日には届く予定。

 この日は朝の9時に作業開始し、夕刻5時に終える。なんだか業者っぽ~い。

 

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               Before&After

 

 9日め。3月4日。昨日の続きを午後から。

 しゃがんだり立ったりの2日連続に腰が「つらい~」と泣き、両腕はバビブベ棒と化してるけど、「ファイト~・イッパ~ッツ」、鼓舞に鼓舞して作業継続。『年寄りの冷や水』やら『老いの木登り』といった故事が念頭に浮くけど、ま~、しかたない。

  老いた腰さすって気づいた赤ペンキ

 気づくと腰のあたり、赤ペイントがベッチャリだわさ。

 

 2缶目を全量使い切り、午前中に届いた追加の缶を少し使う。

 だんだん雲が厚くなる……。懸念しつつ作業。6時前頃に終え、あとかたづけ。手足ガクガク。

 

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                     東側完了 

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                     北側の全域完了

 

 10日めの今日。

 早朝3時前にかすかなノック……。

 雨。

 朝8時頃にはやんで近所の小学生たちも傘なしで登校してったけど、この10日間で3度めのレインボ〜。うつろいやすいお天気は、そのもの。

 その風情はヨシとして、しかし塗り終えて10数時間しか経ってない、いわば舌の根も乾かぬうちというのは、ヨロシクないな。

 くわえて、近くば寄って塗り終えた仔細を眺めるに、いささか荒いシロウトの仕業と判っちまう。

 しかし、そこはま〜ダイジョウブであろう、この屋根にあがる見物人はいない。

 路上から見上げるだけじゃ~シロウト・ワークもクロウト・ワークもありゃしないでしょ~よ、たぶん。

 かかった費用もあれこれ足しても5万円弱。政府から助成金でるワケもなく、まして今ハヤリのテレワークじゃ出来ない作業。

 トレーニングパンツとシャツ2枚ばかりが散ったペンキでオシャカになったけど、な~に、これとて想定内。ナイキじゃないき~、しまむらの特売品。

 

 ともあれ終えたのだ。ごくろうさんの自分。ステーキ食って祝おうかな。当然に、接待なしで7万円以下の……、300グラム本日限りの980円程度なお品をば。

 むろん自腹で。

中華料理四千年

 またゲラが届いて、真顔になっていささか傾注。

 ほぼ最終となる3回目の校正。

 編集者と連絡しつつ、あっちをつつき、こっちをつつきと、時間がかかる。

 しかし、フィニッシュまぎわ。そこの松林をまがったらゴールが見えるというアンバイ。

 

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 とある作業を継続中で、いささかの筋肉痛。

 ゆえに適度の息抜き。

 2月の半ばに届いてた諸星大二郎西遊妖猿伝-西域編』の第2巻。

 ちょっとだけ愉しもうと読みかけたら、止まんない。

 ホントはチビチビと読み進めたかったんだけど~、さすが諸星大先生、展開の妙味が素晴らしく、途中で止められない。

 アッちゅ~まに読了で、なにやらもったいないコトをしてしまったような……。

 次の巻は秋に出るそうな。

 あせらず、あわてず、の諸星御大の速度をば見習うべしかな。

 

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 以前、腰痛でO整形外科に処方されてた塗り薬をば、あちゃこちゃに塗布。

 筋肉痛の緩和を願いつつ、寝っ転がり、中華料理についての本を読む。

『中華料理四千年』、とタイトルがでっかいが、なかなか面白い。

 

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 例外も多いが、中華料理は基本、4文字で書かれる。

 そのポイントさえ掴んでおけば、「食材-調理方法-味付け」が瞬時に判るのだそうな。

 

 (ロウ)と書いてあれば、豚肉をさす。

 牛肉なら牛(ニウ)、鶏肉なら鶏ジー、羊肉なら羊(ヤン)、と肉の前側に固有名が置かれる。

 それらに「(ピエン)」がくっついていれば、スライスした肉、「(デイン)」とあればさいの目切り、「(スー)」で細切り、「(クァイ)」でぶつ切りとなる。

 

 で、調理方法を示す部分として、

 (チャオ)    炒める

 (バオ)     強火で炒める

 (ドウン)    とろ火でじっくり煮込み

 (ヂャー)    揚げる

 (カオ)     じっくり炙る

 (チン)     澄ます・素材は1つで醤油味ではないものを意味する

 (ゴン)     片栗粉でとろりと

 清蒸(チンヂェン) 下味をつけて蒸す

 紅焼(ホンシヤオ) 炒めて醤油味で煮込む

 撹拌(バン)    混ぜる

 などなど。

 

 それらにさらにくっつくのが、味付けで、

 (スアン) 酸っぱい

 (ティエン)あまい

 (シエン) 塩からい

 (ラー)  からい 主として唐辛子のからさ

 (クー)  にがい

 この5つが基本。「辣」が基本の1つになってるのが、いかにも中国だっちゃ。日本なら「醤」か。

 

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 概ね以上の組み合わせ4文字でメニュー内容が知れるというコトらしい。

青椒肉絲(チンジャオロウスー)」  

 {青椒}でピーマンやらシシトウを、{絲肉}で細切りの豚肉をいう。

紅焼海参(ホンシヤオハイツアン)

 {海参}でナマコ、これを{紅焼}、炒めた後に醤油煮込み。実にストレート。

炒魚片(チャオユイピエン)」    

 スライスした魚の炒め物。何という魚なんだか判らないところがポイント。食べてのお楽しみという次第か? 日本にも似通うネーミングあるね、「白身魚のフライ」とか。(たいがいスケトウダラらしいが)

清炒虾仁(チンチャオシャーレン)」 

 これを分解すれば、むいた{仁}・エビ{虾}・だけの{清}いためもの{炒}と個々が意味されるが、たいがいキュウリなども入っていて必ずしも単品素材でもない。が、メインとなるモノの調理具合はこの4文字で判るという仕掛け。

 

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満漢全席」が、日清戦争の頃、西太后の全盛期に頂点に達した宮廷料理ということは薄らボンヤリと知ってはいたけど、西太后が没した3年後に清王朝は滅亡。その動乱辛亥革命-君主制が廃され中華民国ができる)と共に宮廷料理人達も方々に逃げるしかなく、調理の秘伝やら伝統も四散。今の「満漢全席」とはまったく違うものだったということを知る。

 客が店に予約を入れると、日時の指定は店側がおこなって客はそれに従う。

 3月3日の午後6時から食べたいは通用しない。3月4日の午後7時に来るなら食事を出す……、という次第。

 一皿の料理は全部食べてはならず、必ず残す。

 箸は1度手にするや食事終了まで置いちゃダメ。

 などなど、あれこれの決まり事の上で、信じがたいような料理が続々に出ていたようだが、さらに年数が経ち、あの苛烈な文化大革命が終わった1979年には、北京で「満漢全席」が食べられる店はただの1軒にまで「粛清」されていたというから、中国では政治動向でもって料理までが右往左往するというのが、ま~、いわば1つの伝統的習俗というか、生きるがゆえの処方というか、連続と裁ち切りがせめぎ合っての4千年の大河というコトなんだろう。

 

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              箸は縦に置かれる

 

 4文字メニューが増えてったのは清の時代以後のようで、清王朝全盛期西太后が産まれる100年以上前)の詩人・袁枚(えんばい)が残した料理本随園食単』を眺めると、あんがい3文字が多い。

 時代の変化が料理メニューにまで浸透したような感じもありあり……

 

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 ちなみに「酢豚」は、「咕咾肉(クーラオロウ)と3文字だそうで、「咾」はオトナを意味するから、脂分の多い豚肉を使ってるというコトになるらしいけど、「スブタ」という方がなんだかボクには美味っぽ~い。

 これにパイナップルを入れちゃうのは日本がオリジナルと思ってたけど、違ってた。

 清の時代に欧米人の居留地が出来て(英国がアヘンを清に売ってた頃ね)、そこのレストランやらで使われだしたそうな。

 当時のパイナップルは稀少な食材だったから当然に酢豚単品のネダンは高かったろう、思うがや。

 要は、清国に駐在の英国人らが悦ぶ味だったわけで、中国人が好みとしていたワケじゃ~なかったんだねぇ。

 当時の英国は清(中国)から茶葉や絹や陶磁器を大量に買うんだけど、逆に清に売るモノがない……。支出ばっかりじゃ~、いわゆる貿易赤字となる。

 ま~、それでアヘンを清で売って、「輸出入」のバランスをとったわけだな。ひで~なぁ。

 パイナップルが入った酢豚は、そんなドサクサのさなかに産まれ、すぐに定着して中華料理の大きな顔となり、今や我が舌をも悦ばせてくれてるワケだけど、フムフム……、酢豚の背景にも「歴史あり」だな。 

 

 この3月1日から中国政府は台湾産パイナップルの禁輸をおこなう。 

 台湾で作られるパイナップルのほぼ9割が中国へ輸出されているんだね。

 台湾の農産物収益として、これはかなり大きい。

 それを全て禁じ、要は……、云うことを聞かない台湾に圧力をかけようというわけだ。姑息というかエゲツナイというか、チカラづくのムテッポウ。

 対して台湾、産地の桃園市の市長は、

決してたじろぎません

 と決意表明だ。それもあえて日本語でだ。

 日本に向けてメッセージを送ってるわけだよ、SOSとして。

 詳細はこちらこっちやら。

 なんか、応援したいね……。むろん、台湾の方を。

 現状で、日本には西友などが輸入し、売ってるみたいだけど、ま~、日本政府は中国にビビッて何もアクションしないと思う。コロナ渦の右往左往をみるまでなく、将来を見据えた決断は遠い夢。

 が、そうであるならホント、な・さ・け・な・や、の中国と日本。

 

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 台湾のパイナップル(年中食べられるけど、旬は4月~8月だそう)。この写真は台北ナビから転載