近所の水路

 

 今日はライブハウス・モグラに出かける気でいたけど、諸般の都合ありで身動きつかず。

 残念なり。

 けどもネット配信される予定だそうだから、「投げ銭」可能なり。

 クレジットカードで手続きしておいたんで、時間が来れば、自室でライブを見聞しよう……。

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 9日の夜。前日入りで来岡のミュージシャンと某BARで合流。

 

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 10日のライブ成功を祈念しつつ、共々、でっかいソラマメをば食べる。

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      ●○-●○-●○-●○-●○-●○-●○-●○-●○-●○

 

 さてと。

 我が宅からおよそ500メートルはなれた我が友Sunaちゃんの瀟洒なお宅までの間に、細い水路があってコンクリートで護岸されている。その脇をススイと自転車で通れば、彼んちにアッという間についてしまうのだったが、さて……、50年ほど前はこの水路周辺は田んぼしかなく、水路とて両脇に雑草が茂って魚がピチピチ跳ねる、実に良かアンバイでのどかな水のラインなのだった。

 

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すっかり宅地化されて昔と大違い。かつては田園の合間を縫う水路なり。幅も1/3くらいに縮小されている

 

 で、この細い、むろんに当時は舗装もされてない農業用水としての水路沿い(あぜ道)を高校通学で日々利用していたわけだ。

 時に歩いて出向き、時に自転車でいく。

 通ってる高校がすぐそばなもんだから、楽勝だ。

 

 2年生の冬だったか、自転車でここを駆け、よそ見したはずみ、水路に自転車ごと落ちたことがある。

 一瞬なにが起きたか判らなかったが、ともあれ水中だ

 全身ズブ濡れだ。

 ケガはしない。だってコンクリートの硬い護岸じゃなく、柔らかな雑草が生えた(冬だから枯れてるけど)盛り土だし、水路の底も泥でしかないから、擦ったり切ったり撃ったりがない。

 不思議と水は冷たくなかった。

 いや、ホントは冷たかったのかもしれないけど、咄嗟の水没で冷たさをおぼえるより、ビックリ衝動が大きかったのかもしれない。

 でも水底の泥は温かかったよう、思う。

 自転車をひきあげつつ笑いがこみ上げ、そのままグッショ濡れで学校へ行き、クラスメートどもに、濡れたザマをとくと見せて大いに笑いをとったあと、

「ほんじゃ、今日は帰るわっ」

 キンコンカンと一次元めの授業チャイムが鳴る直前に帰宅と決めこみ、悠々と退散。一日、学校をサボるのだった。

 

 その頃は障害物となる建物もなく田んぼが拡がっているだけだから、我が部屋から学校の様子がうかがえる。

 校内放送もすべてクッキリ聞こえ、あんまりサボッてる感じがしない。

 けども同級生どもは、授業でジッと椅子に座って聞きたくもないセンセの話を我慢していると思えば、気分スカッとさわやか。

 両親不在の台所でイトメンのチャンポン麵を鍋で煮て、

「ケケケっ」

 ほくそ笑みながらツルツルすすりあげるのだった。

 

                   f:id:yoshibey0219:20210410065024j:plain

  いまだ我が定番。ワサビをお汁と鉢の境界に塗りつけ、麵にちょっとからめるのが我が食べ方

 

 そんなことがあった水路が、もはや魚は生息しにくい(それでも大きな鯉やフナの群泳が田植えの頃には見られる)ながらも、今も、形をかえてはいるがチャンと有るというのは感慨深い。

 

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 で、ふっと思うが……、より大昔はどうだったんだろ? 疑問がわく。

 肥沃な平野ゆえ、大昔から田んぼが一面連なり、そのための水路もあったはず……。少なくとも江戸時代頃の様相は想像しやすい。

 では、もっともっと古い時代はどうだ?

 たまさか近隣、賞田廃寺跡というのがあって、今は大きな公園として整備されつつある。

 古代の吉備国のなごり、いわゆる奈良時代、7世紀の頃には大規模な寺と備前国府が置かれていたらしい。哀しいかな文献としての資料が残ってないんで、詳細を詰めることが出来ないけども、そこに建っていたであろう家屋の礎を見るかぎり、規模がでかいし極めて精妙な施設であったとは想像できる。

 

 国府というのは県庁のようなものだから、だからその当時の岡山の中心であったことはマチガイない。

 13世紀の鎌倉時代頃までは存続していたようである。

 とにかくこの地域の中心であって、となれば、そのための道路もあったはず……。

 調べてみるに、どうやら道路ではなく、大きな水路があったようなのだ。

 旭川とも結ばれてはいるが、基本となるのは西大寺方面の海につながる幅広い水路だ。

 備前国府へ向かうにはその西大寺方面からの水路が、第1級の“国道”であったようである。

 

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 この当時、今の岡山市中心部界隈は川だか海だか見分けのつかない有様で、大雨のたびに広範囲が泥と水に覆われる程度な場所だった。

 岡山地域を記した最古の地誌『和気絹』(江戸時代に書かれた)でも、その昔は天神山と現在の石山公園付近と岡山城のあたりの、その3カ所のみが山のように隆起しているだけだったと書いているし、事実、源平合戦のさいには義経の部隊が石山に海を監視するための陣を設けていたというから、その当時であってさえ、地形は今とはひどく違う。海がすぐそばまで隣接し、さらに雨期ともなれば、どこが海やら川やら判らないようなアンバイだったのだろう。

 ま~、それゆえ、明治の時代、亜公園がテーマとした菅原道真ゆかりの場所(太宰府に流される途中の休憩地としての天神山)だったというポエジ~な伝承もまんざら絵空事でない真実みが濃密に塗布されているワケなのだが……。

 

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 ともあれ、大昔の岡山の地形は今とは大違い、であったことは間違いない。 

 岡山文庫にそのへんの事情を研究した本があって、掲載された水路図をみるに、様相が今とはあまりに違う。

 もはや地域名も変わって往事を偲ぶ手がかりとてないけど、大昔の文献なんぞでは、水路があった事を示唆する「大船」とか「舟着」といった地名だか場所があって、

「へ~っ」

 と、驚く。

 

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 大昔の絵図。上側の黒い部分が龍ノ口山で左側の黒が突き出たあたりが国府だった場所付近

 

 龍ノ口山から見下ろすと、その山裾に沿って東西に延びた水路があり、2〜3艘の舟がすれ違って通行できるような、かなり幅広いのがあったと知れる。

 江戸時代に造られた百間川は、そのかつての水路の、当時とて名残りでしかなかったであろう地形の一部を流用して構築したようでもある(中区米田の辺りの90度迂回する場所あたり)

 

 ならば我が輩がボッチャ~ンと落っこちた細い農業用水路は、はるか古代のでっかい水路の支流みたいなものだったかもしれない。遠縁か子孫なのかもしれない……。

 そう思うと何やら不思議な気分もおぼえる。

 落っこちてなかったら、こんな風に思いおこして書き記すこともなかったろうから。

 なので、「落ちて良かったぁ」とは思わないけど、落ちちゃったことが50年も経って、こうしてちょっくら一文を書くネタになってくれたのはマチガイない。

 どこでなにが繋がるか、わっからないもんだ。

 

 

 

おにぎり

 過日、バスルームのタイル貼りのさい、人差し指の皮がめくれちゃってヒ~リヒリ。

 タイルとタイルの間、目地を埋める作業をやってるさなか、手袋をつけていたものの、指先部分に穴が’開いちゃってたんだわね。

 チッと痛いな……、思いつつそのまんま作業を続け、終えて、やっと、皮が破けて出血に気づくとというテイタラク

 目地を均等に埋めていくには、ヘラなんぞより指の先の方が優位なんで、それが原因。

 素人工作ゆえの失敗。

 

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      同色が手に入らなかったので違う色のタイル。その目地入れ作業中

 皮が剥けちゃった部分は小さくて微量ながら、もっとも使う指の、もっとも要めとなる部分。

 ここを損傷すると、メッチャクッチャに支障あり。

 ペンなど持とうもんなら、痛くて6文字めでダウンだし、日常イチバンに使うマウスの、クリックが出来ませ~~ん。

 クリックできないマウスなんて、クリープ入れないコーヒーより始末が悪いというか、クリップが入ったコーヒー同様、恐る恐るな代物になりさがる。

 

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 という次第でバスルーム作業もテキスト書き書きのマック作業もままならず……。

「やってられんわ~」

 長嘆息ついて憮然としてるのだった。

  

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      目地材も近頃は色々売ってるんだね。目移りし、ついついアレコレ買ってしまう……

 

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 ところで、上気のような身体を動かす作業を朝早くからやってると、当然ながら、お腹がすく。

 作業中、おにぎりが念頭に浮いたりもし、一仕事終えたら、コンビニエンス・ストアにシーチキン入ったのを買いに行くか~、とか思ったりしてた。

 

 いささかアゼ~ンとしたんだけど、なんと~、日本には、

「一般社団法人おにぎり協会」

 というチャンとした組織があるのだった。

 冗談っぽいが、本当だ。 

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「一般社団法人」というのは、団体として利益をあげてもイイけど、その利益は法人の活動費として全額使わねばいけね~、という規則がある。

 加盟している企業の中には帝人とか東洋アルミとかパナソニックとかもいる。よって、パナソニックとて自社の炊飯器の宣伝として活用しちゃ~いけないという決まりがあるんだけど、ま~、結果的にチビリとは、炊飯器売り上げのバックボ~ンにはなってるんだろう。

 東洋アルミとて、ここの製品には「サンホイル」という、おにぎりやらを包んじゃうアルミホイルがあるんで、これも判らないでもない。

 ともあれ、「おにぎり協会」という組織があって、当然に事務所があり、職員がいて、ちゃ~んと給料も出てるというコトに、

「へ~っ」

 感嘆するのだった。

 パナソニックはやや判るが、帝人とかは何でこの法人に加盟してるんだろ? 

 ま~、それはそれとして、ともかくも、おにぎりだ。

 弥生時代が終わり、いわゆる奈良時代となり、元明天皇の頃に編纂された『風土記』には、既に「握飯」という言葉が出ていると、同協会のホームページではおにぎりの黎明期を紹介しているから、ヒストリーは随分に古い。

 

 史上初めて、メシを手で握ったヒトは偉い。

 ひょっとすると周辺にいたヒトから、

「バカ、何するんだよ~っ」

 ののしられたかもしれないではないか。

 けど、きっと、ののしったヤカラとて、しばし後に、

「なるほど、この手があったか……」

 罵倒が賞賛に転じた可能性は高い。

 

 平安時代になると、貴族らはその宴会時、蒸した餅米を握った「屯食(とんじき)」を従者ら一同に配ったというし(『源氏物語』にそう記述されている)、その携帯性ゆえに防人(兵士)がなんぞの時にはこれを持って出かける……、というようなアンバイだったらしいから、既にこの時点ではるか後の、“遠足での定番”がカタチをなしているのだった。

 鎌倉時代承久の乱で、鎌倉幕府は武士らの兵糧として、梅干しがはいったおにぎりを考案。これが現在につながるおにぎりの原型だろう。

 

 で、江戸時代、浅草のりの養殖がはじまった元禄時代に、それで握り飯をくるんだヒトがいて、これには皆んな、

「オ~!」

 驚いた。

 飯の白さに黒のコントラストがキリリと締まり、飯の旨味にのりの滋味がピッタリあってるじゃ~ん。

 すぐに定着。

 それから明治になり、東京の山本海苔店の主人が醤油とみりんで味付けたのりを明治天皇に献上。(京都還幸での御所への土産として使われたらしい)これはこれで、たちまち京都で話題沸騰で以後の関西ではおにぎりといえば味付けノリマキというコトになってったらしい。

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 で、いまや、コンビニエンス・ストアでもどこでも、おにぎりは定番だぁ。これを売ってないストアは日本にはネ~でしょう。

 米国人のハンバーガーなんぞよりはるかに歴史深いソールフードなんだから、頼もしい。「おにぎり協会」というのが実在しているのも、だからま~。判らないではない。

 そんな団体が必要かしら? と疑念もするけど、一方で、誰かがそうやって「文化」としてのおにぎりのコトを研究したり記録したり、あるいは推奨したりもまた必要かも……、とも思ったりする。

 

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                 映画『かもめ食堂』のおにぎり

   

 ともあれ、おにぎりはイイね。

 イチバンにうまいのは、まだゴハンがあったかいヤツ、造ってまもないヤツだろね。

 数年前のジャズフェス時、早朝よりの準備作業を終えた頃合いでビシバシ事務局長が手造りしたおにぎりがメチャうまかったし、これも数年前になるけど、国体町の高層マンションのマ〜ちゃん宅でEっちゃん手造りのもメッチャうまかった。6ケでも7ケでも食べられそうだったけど怒られるとイケナイんで、たしか……、4つほどでホコをおさめた。

 

 ま~、てなコトを、指の傷が癒えるのを待ちつつ、つれづれ、文章でにぎってみる。

 え~っと、ちなみ、結局、おにぎりは買わず、近場のホームセンターと同じ敷地にあるマクドナルドでビッグマック買って持ち帰り、頬張ったけどね。

 

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3月の映画よもやま

 3日前、4回目だか5回目だかのzoom呑み会。参加6名という賑やかでアッという間に2時間が過ぎてったけど、話を聞くに、やはりというか……、全国各自治体のゴミ処理場はメッチャ忙しいという。

 誰もが自宅にいる機会が多くって、老いも若きもニワカ大工やらリフォームに精出して、結果、粗大ゴミやら不燃ゴミやらやらDIY作業に伴うアレコレが処理場に運ばれる率が高くなっているそうな。

 なるほどねぇ~。

 ま~、当方も結果としてはその内の1人か……。

 

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        タイル剥離後の下地を整え中。まだ乾ききってないんで黒く映ってる

 

 さてと今月に眼にした映画たち。備忘録的に記しておく。

 

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ペリカン文書THE PELICAN BRIEF  1993   Blu-ray

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 VHSの時代頃からもう何度観たことやら。ジュリア・ロバーツ扮するダービー・ショーの頭の良さと、動き廻る記者デンゼル・ワシントンとの組み合わせが良いのは当然だけど、この21歳という設定の法学の学生ダービー・ショーが、かなりのお金持ちの家で育ってると判るのも一興。アメックスをはじめに複数のカードを持っていて、そこいらの学生とは違う。

 逆にいえば、貧乏な苦学生じゃ~、この映画は成立しないんだわ。お金持ち出身ゆえ、カツラ買ったり衣装取っ替えたりで変装し、ホテル転々の逃避行も出来るわけで、ホテルとて部屋が複数あるのをチョイスだぞ。

 この映画でイチバンにいいのは、暗殺者カーメル役のスタンリー・トゥッチだな。ある時はハゲたオカマ、ある時はビシリと決まったスーツでカツラ、ある時はランニング・シャツのジョギング愛好者……多羅尾伴内みたいな変装ヘンゲがいいざんすし、何より人殺しにはまったく見えない目元のかわいらしさがヨロシイなぁ。

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 ダービー・ショー殺害を目論む大がかりなグループも出て、この連中いずれもがおっかない形相で執拗に追っては来るものの、映像的インパクトはスタンリー・トゥッチ1人の方がはるかに上。役者の存在感というもんだろ。

 ホテルにチェックインするや、依頼殺人のメモをチェックしつつ平然とフロントにサンドイッチをオーダーする辺りの描写が、プロの中のプロっぽくていいざんす。我が輩が好きな男優のお一人さんがこのヒトね。

 このトゥッチが監督した『ジャコメッティ 最後の肖像』を観たいとは思ってるけど、いまだかなわない。

 ジュリア・ロバーツに関しては、その後いくつかの映画で彼女を見たけど、どうもいま1つ。

 某BARのママが、『オーシャンズ11』での彼女の姿勢の悪さを指摘し、以後、注視するに確かにその通りで、この人は豪奢な役回りが多い割に、それに見合うセレブリティという感じが出てこない。貧乏だけどコツコツ活きてるというタイプの女性を演じても好いかと思うんだけど、な。

 

 

白雪姫と鏡の女王Mirror Mirror 2012 Amazon Prime

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 そのジュリア・ロバーツが悪い女王を演じてるブラックなファンタジー

 この映画でも彼女はセレブリティ。王族衣装があんがい似合い、かつ、悪役という立ち位置が悪くない。猫背っぽい感じはそのドレスゆえ感じない。

 しかしきっと、映画製作者は彼女の大きな口に拮抗出来うるヒロイン役を探したには、違いない。

 で、結果として、眉がとっても濃ゆ~いスノーホワイト(リリー・コリンズ)が出てきて絶妙なバランスを生んだ。

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 大口 対 濃い眉。

 そこを基点にこの映画をみると、この滑稽劇はセット撮影であることを強調し、色々なシーンで大げさがあり、「映画的」ではなく「大胆に絵本的」であろうと画策した感触がある。誇張が全域に塗布されてる。

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 だからそれで安っぽくもあり、逆に豪奢にも見える。豪奢の1つは衣装デザインが石岡瑛子だからであろうけど……、インド風味たっぷりミュージカル仕立て(監督がインド出身だからか)のエンディングの最後で、この映画が石岡に捧げられているのが判る。公開直前になくなったようだ。

 

アガサ・クリスティー奥様は名探偵』 Mon petit doigt m'a dit... 2005 フランス映画 DVD

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 主役のカトリーヌ・フロは『大統領の料理人』で見事な演技を披露してくれたヒト。この映画でも好感。そこそこ富裕で悠々自適という主人公の立ち位置がヨロシイな。そこをイヤミなくケレンミなく演技としてこなしたカトリーヌ・フロがやはりとてもヨイヨイ。

 彼女が持ち歩いてるバッグ(たぶんエルメスバーキンとか、ちょっとブランド名は判らないけど、良い品をさりげなく使ってるらしき描写も良し好し。

 亭主の車もいいぞ。たぶん60年代初期アストンマーティンのDB4GTだと思う。

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 英国情報部のおなじみ007が乗ってるのが、このDB4GTの後継車となるDB5。

 主人公の亭主はフランス情報局に勤務の役人であるから、この車をチョイスしてるのは、そのあたり、英国人クリスティーや007の英国へのパロディでもあるんだろう。

 ま~、ともあれ、孫がいるこの熟年カップルのラブラブなSEX描写(直接な描写はないよ)を含め、フランスらしいテーストに満ちて好感度高し。

 フランスじゃ随分と評判良く、続編として2008年に『奥さまは名探偵 ~パディントン発4時50分~』が作られ、それがまた秀逸だったようで幾つか賞を取ってるらしいけど、未見。DVDになったもののプレス量が少ないのかしら? 中古品で78000円の値段がついてら。実売で1000円程度な再販をば望む。

 

『バードマン』BiRDMAN  2015   Blu-ray

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 アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督のアカデミー賞受賞作。

 繋ぎ目がない1シーンのように見せる映像は、例の『1917』よりこっちが早く、撮影賞も取ったのは当然な感じ。マイケル・キートンの恥をかなぐり捨てた演技やらエドワード・ノートンの妖しい熱演がたぎり、見事なシーンが連続するけど、ボクが好んで観る映画かといえば……、そうでない。

 

『レヴェナント 蘇りし者』 2016  Amazon Prime 

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 アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の『バードマン』の次作品で、これまたアカデミー賞受賞作。ディカプリオがやっとアカデミー主演男優賞に輝いたという点でも話題になったね。

 効果音に近いような坂本龍一の音楽が何より素晴らしい。映像の流れにうまく溶けて出しゃばらず、画と音楽が限りなく一緒になって、ひたすらに美しい。音符としての音楽というより「耳に届く背景音」といってもイイか。だからことさらにメロディを拾わなくていい。これは好かった。

 が、ボクが好んで観る映画かといえば……、やはり、そうでなかった。

 結局、繰り返して観る確率が低いということになるんだね。良き作品イコール再観賞、という図式はなりたたないんだわ、さ。

 ディカプリオと熊とのシーンやら、悪役に徹したトム・ハーディがもたらす腹立たしさもスゴイんだけど(助演男優賞だね)、それらを座ってジッと眺める根性が今のボクには、ない。『バードマン』もこちらも、人の凄まじさがしっかり描かれちゃ~いるし、ま~、だからこそ2年連続のアカデミー作品賞なんだろうけど、いわゆる「いきざま」のその強烈にタジタジしちゃって、正直、しんどいのだね。

 もちろん『バードマン』も本作も「映画術」としてその映像と紡ぎ方が限りなく頂点付近にあるのはマチガイない。とりわけ本作では雪に覆われた山河の景観が圧倒的に美しいし、圧倒的に厳しいものだと眼にどんどん入って来るし、主人公が逃げつつも追う立場という妙なアンバイや、巻頭から言葉として出てくる「女」が何であったかが劇の終わりに判るという仕掛けやらの醍醐味も、総じて映画でしか描けない性質を濃く濃く帯びているんじゃ~あるけど、いかんせん、こちらのアンバイがよろしくない。見終えて疲れてるんだ。だからま~、1度観たからもう充分という感が濃厚。

 

ザ・ロック THE ROCK   1996 Blu-ray

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 当時映画館で観たさいはそれなりに面白いと思ったけど、こたび久々観るに、いま1つという感がなくはない。

 政府に憤ったエド・ハリス扮する反乱将校の脆さが、アクション映画の醍醐味を減退させているような……

 むろん、その脆さがこの将校(准将)のチャーム・ポイントなんだし、ただのアクション映画にしたくなかったであろう製作者の気分も判らないではないが~ぁ、こちらの気分としては、ただのアクション映画に徹して欲しかったような。

 

インサイド・マンInside Man   2006    Blu-ray

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 先月に思い出し、Blu-ray購入で久々の観なおし。ついこの前、クリストファー・プラマーが亡くなってるんで、追悼もこめて。

 ったく、うまい造り。スパイク・リー監督作品ではイチバンにあげてイイ。

 デンゼル・ワシントンよりも、大半シーンが濃いサングラスとマスクだった犯人役のクライヴ・オーウェンがやはりヨヨイノヨイ。

 2006年当時、仲間と倉敷に出向いて観たさいの記憶も蘇るが、今回の再見ではジョディ・フォスターの良さにもあらためて感心。

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 1度観たあと、特典の監督自身のコメント入りでもう1度観ると、監督もジョディの良さに言及してた。

 

ROMA/ローマ』 ROMA 2018 Blu-ray

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 数年前の弩級な話題作を今やっと観る。監督のアルフォンソ・キュアロンはボクよりちょっと若いけど、自伝的映画なのだそうだ。メキシコのローマというストリート沿いの、ある一軒の家の話。

 とんでもない規模のセットとエキストラと小道具の潤沢に驚く。

 劇中、映画を観にいくシーンがある。それが『宇宙からの脱出』。

 ボクにとっては大きな映画。意外なところで時代の共通性みたいな気分を味わえた。というか、実に単純に、あの時期1971年)、メキシコでもこの映画を観られたのか……、という単純な驚きなのじゃ~あるけど。

 劇中に登場するシーンで、宇宙空間に浮いてるのはジーン・ハックマン。

 

 13年前にこのブログに載せた『宇宙からの脱出』記事。

 さらに2014年の1月にも同じタイトルで、またこの映画を取り上げてる。この記事は模型がメインの話。

 

ゼロ・グラビティ GRAVITY   2013   Blu-ray

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 キュアロンの前作。あらためて再見。『ROMA/ローマ』で出てきた『宇宙からの脱出』が幼少時の体験として彼にあるなら……、この『ゼロ・グラビティ』は彼なりの自身へのオマージュなのかもしれない。

 まさに宇宙からの脱出劇

 これが公開された直後だったか、劇作家の坂手洋二氏と某BARでたまたま席同じくし、氏が、

「あんな映像が撮れるんだねぇ」

 と素直に感嘆していたのを思い出す。キュアロンと氏はほぼ同い年くらいのはず。ひょっとすると岡山出身の坂手も岡山グランド劇場で『宇宙からの脱出』を観たかもだけど、ま~、それはどうでもいい。人それぞれに同じ時間、同じ映画を過去味わっていたことにチョット、感慨したまでだ。

 

月世界旅行&メリエスの素晴らしき映画魔術』 2020 Amazon Prime

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 1902年にジョルジュ・メリエスが造った映画の研究と修復の結果としての記録映画。

 Blu-rayが販売されているけど、1万2千円を超える。高過ぎ……

 幸いかな、今現在は、Amazon Primeで観ることが出来る。

 素晴らしい。

 メリエスの素晴らしさと、最新の復活技術による努力の素晴らしさ。

 セルロイド・フィルムは物質としては実に短命で脆く、ロールに巻かれて缶の中に保存していても劣化が進む。フィルム同士がくっつき、とけあってく。それを1コマ1コマ何とか取り出し、デジタルに置き換え、欠損部を補修していく根気の本気作業が数年……。

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 119年前のメリエスの卓越と、現在の修復技術者たち(大勢ではない。ごく少数の徹底した努力)の根性と卓越。この2艘の舟の進捗を同時に眺められる贅沢をば味わう。

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 フランス人メリエスはこの『月世界旅行』に全霊をそそぎ全財産をかけて製作にいそしむ。しかし製作途中のフィルムのコピーが米国に流出。エジソンはそれを手に入れ、さらに大量コピーし、経営する多数の映画館で上映し大儲け。

 一方のメリエスはそんなコトになってるとも知らず映画を完成させるも、事態を知って愕然……。財産を失いプライドも蹴破られ破産する。

 そういう顛末を踏まえて復活した『月世界旅行』を眺めると、この作品、やはりフランスの宝だとは思う。

 

NEXT -ネクス- NEXT 2008 Amazon Prime

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 ニコラス・ケイジ主演のSF。2分先の未来が見える男の話。原作はフィリップ・K・ディックの「ゴールドマン」。

 この作品、あんがいと好き。ヒロインとなる女性にどう接近するかを映像として見せてく導入部のくだりは、笑える。

 時間を行き来するのを主題にしたSF映画は、たいがいどこか破綻しているし、この映画とてツッコミどころ多々ありなんだけど、そうそう深刻に受け取らず、愉しく眺めりゃヨロシイのではないかしら。

 ヒロイン役のジェシカ・ピールがいいし、女性FBI捜査官のジュリアン・ムーアもいい。ぴったりと役にはまってる。

 ニコラス・ケイジは最近5回目の結婚で相手は日本人の元女優とかで、盛んだなぁ。しかし過去4回離婚したということは……、2分どころか、数年先も読めなかったのじゃね。

 ま、そんなもんだワ。

 

『宇宙人東京に現わる』 1956 Blu-ray

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 5年ほど前、本ブログでこの映画劇中に出てくる居酒屋「宇宙軒」のことを書いたら、多数のアクセスがあって驚いたことがあるけど、その頃はやっとDVDが出た程度だったねっ。

 今やBlu-rayで観られる。

 万人に勧める気はない。あくまで我が嗜好に基づく好みな映画。劇中の「宇宙軒」は最高だ。

 見返すたび、いっぱい呑みたくなる。というかホントにこの店が我が宅の近くにあったらなぁ、と真顔で思う。

 5年前の記事は下記の通り。

 テニスコートがある軽井沢と思われる大きな娯楽施設、清流に遊ぶ若い男女の嬌声、刻々と動く電車……、などなど、この映画は1956年に創られ、当時の日本のカタチを記録している側面もあるのだけど、その僅か11年前までは、「打ちてし止まぬ」な勢いの、無謀な戦争で遂には焦土と化したようなアンバイであったのが、まったく感じられないという……、日本人の「忘れっぽさ」というか「あっけから~ん」というか、そういうところが垣間見えるようでもあって、感慨の深さが観るたび深くなる。

 そこを踏まえて今を思うに、オリンピックできるの? できないの? と一喜一憂してはいるけど、どちらに転ぼうとも、それはそれなりでスト~ンと受け入れちまって平然としちゃえるボクらではないかしら? 

 既に始まっている聖火リレーの報道を眺め……、そんな風にも思ったり。

DIY

 トタン屋根のペイントをやって以後、妙に、住んでる家のことが、ひっかかる。

 建てられて既に久しく、何度か増築と改修があり、さらには何度もの地震に遭い……、それなりに傷んでいるのは判っていたけど、傷みが「痛み」として眼につく……

 たとえばバスルーム。

 20年ほど前に業者に依頼して大きく改造したものだけど、阪神淡路大震災のさい、タイルにヒビが入った。

 なんだかその時は綺麗に治すという気がおきず、実にまったく適当に100円Shopで売ってる色も違うセメントを塗ったくるという程度で済ませ……、そのまま今に至ってた。

 

 そのいい加減な仮修理のコトを、以後まったく気にしていないワケでもなかったけど、ま~、いつか、ある時に、という感じでほったらかしだった。

 それがこたび妙に眼についてしかたない。

 仔細を見るに、かの大震災後も何度かグラグラを味わっているワケで、アチャラにコチャラ、大小のヒビやら表面の剥離ありあり。

 バスルームの三隅がとくにひどい。

 

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    黒い部分は穴が開いてるんじゃなく、黒いコーキング剤が当時手元にあったので……

 

 ならば、こたび、ちょいと本気で、自分で治してみよう。

 ヒビ割れタイルを新しいのに取っ替えよう。

 そんな野蛮がムックムクと起き上がるんだった。

 

 YouTubeで情報を仕入れるに、風呂タイルの場合、ヒビが入ってるタイルの廻りの目地部分にマイナスドライバーをあてがい、金槌で徐々に叩いて、取っ払うのが正道のようだ。

 そこで某日、コーナー部分の1つにその施しをやってみるのだった。

 けどもだ、これが手強いんだ……。

 まずイチバンに、だ。

 金槌を叩くたび、なんせ密閉率の高いバスルームゆえ、音が大反響。近所迷惑はなはだしい騒音だぁ。

 次いで、容易にタイルが剥がれてくれないコト。

 よほど頑強な接着剤で固定されているんだろう。ビクともしない。

 作業を始めて直ぐにお手上げ……。

 

 ま~、そこを踏ん張り、カーンカーンの大音量に顔しかめつつ頑張って叩いてくと、タイルを固定したモルタル部分そのものが、ごっそり外れてしまって、

「あっ!」

 ビックラこくのだった。

 

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 タイルというのは、あんがい硬い。マイナスドライバーの先っちょで強くインパクトしたって、割れもしないんだから、たいしたもんだ。(タイルよりもその裏側のセメントの方が弱いんだね……)

 そのたいしたもんだのタイルを、およそ1分強ほどだった震度4強の揺れ阪神淡路大震災は、いとも容易に裂いてヒビ割れを作ったんだから、これもたいしたもんだ。

 地震エネルギーはヒトが振り下ろす金槌の一撃より、はるかにデッカクて強靱なんだから、たいしたもんだ。

 褒める気はないが、すこぶる、恐れ入った

 まっ、その事実を……、あらためて、我がバスルームの隅っこで知ったという次第。

 

 で、そのマイナスドライバー打ち叩き方法なんだけど、効率が悪い上に、どうかした弾みで、そばの、良い状態のタイルの縁まで剥がしてしまう。

(直に打撃を加えたワケでなく、打撃の衝撃でボロッと落ちる場合がある)

 これでは治そうとしてんだか、壊そうとしてんだか、本末転倒。

 

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 しゃ~ない……。

 模型用の工作道具はしっかり持ってるけど、家屋用の工作道具はほぼ持ってないんで、電動グラインダーをば購入。

 予定外の出費も何だか小さな驚き。

 が、グラインダーがあるなら、それはそれで工作を愉しめるかもな……、工作電圧が下がったり上がったりの今日この頃。

 

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 という次第で、グラインダーにタイル用のダイヤモンド刃を装填で、目地切り再開。

 難なくという程じゃないけど、作業速度と効率がアップ。

 

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 微細な粉塵が激烈多量に舞うけど、そこは防御メガネとマスクで対抗。マスクは幸いかなコレが必需の世の中なんで在庫たっぷり。

 しかし粉塵はハンパでない。辺り一面、顔も髪も肩も真っ白け。撮影に使ったiPhoneも真っ白けっけ〜、故障するぞ……。

 もちろんながら、目地は切れてもタイル本体はやはりマイナスドライバー(たがねに変えたけど)と金槌でカンコンカンコン……。

 音のでかさに作業は5時頃に終える。いったん全部片付け、剥がした部分はビニールでガードし、真っ白けになったバスルームと自分にシャワーがけ。

 この作業、明日もまだ続く。

 

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              粉塵で背中も白く、髪の毛もジャリジャリ……

 

 コロナウィルスの騒動となって以来、ホームセンターはどこもDIY部門が盛況。かなり忙しいそうだ。

 事実、どの時間帯に出向いても、木材買ったり、道具吟味のヒトがいる。

 ご承知の通り、DIYは、

 DO IT YOURSELF

 の略語。

 第2次大戦終了後、空爆でやられたロンドン市民たちが自分たちの手で瓦礫かたづけ、使える煉瓦を組み直し、鋸を引いて柱やら階段やら家具やらやらを作り直していったコトで、この略語が定着してった。

 新たに創り起こすのではなくって、あくまでも復活させるという意思のバネが強かった。

 なのでロンドンは手作り再生された街、といっていい。

 災禍に遭ってるという点ではコロナウィルスも、そうだろねっ。自宅にいるコトが多いので、眼と手は自ずと自宅修繕に向かうという次第でしょうなっ。たぶんにこの場合、リノベーション(刷新)が根底にあるんだろうけど、DO IT YOURSELFであるコトは一緒。寝て過ごすより良かアンバイ。

 たぶん……、わりあいと多くの方が、当方同様に自宅やらでカンコンカンコンなのでしょ〜なぁ。

吠えない犬

 春季お彼岸。

 旧家じゃないけど、坊さん来たり、親族来たり、墓へ参ったりと、それはそれなりにセワシなく数日が過ぎてった。

 

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 前回の秋の彼岸で坊さんに会えないままだったんで、前回分のと今回分の2つのお布施をば渡す。なんか、損したような気がなくもないのだけど、損得勘定なんて〜のが、そも、いけませんなっ。

 

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 いつも通り、我が父の墓と同じ場所にあるマ〜ちゃんの墓へも参る。

 こたびはシキビを持参。洋式な墓に仏教のしきたりを添えるのもナンだし、そもマ〜ちゃんが喜ぶとは思いもしないけど、ま〜、ィィじゃ〜ないか。

 手をあわせ、「ハ〜イ、来たよ〜ん」とご挨拶。

 

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 本を1冊。

 NOW進行中の政治的な本はあんまり読む気がしなかったけど……、示唆に富んでいて、合点したり憤ったり、させられた。

 タイトル秀逸。

 あえて内容に追加するなら、昨今の大手マスメディアは……、と云いたくもなるんだけど長くなるんで止めとこ。

 

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 昔、ボクが津山で小学生だった頃には、野犬が複数いた。

 吠えられ、追っかけられ、けっこう苦手だった。

 ま~、中には弱いのもいて、そこそこ威嚇し吠えるんだけど、「ワッ!」と大きな声と身振りをしてやると、たいがいシッポを巻いて逃げてった。

 でもトコトン逃げはしない。一定の距離を置いてまたこっちに吠えたりする。

 それはそれで犬としての、一種のプライドと自覚を持ってたんだろう。

 

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 過日のトタン屋根塗装なんぞで負荷がかかったか、以後、右手小指が痛い。

 指が熱っぽく、やや腫れている。チャンと曲がらない。

 曲げを無理強いると、かなり痛い。

 リウマチ、の初期症状か……。

 理由待ち、利有町、離湯宇摩智、竜魔痴、流間恥、などと気をそらしてカンジ遊びしても、痛み消えない。

 生活に支障をきたす程でもなく、チカラを入れたり指を動かすと痛むという次第ゆえ、外科にも出向いてないけど、あと1~2週、尾をひくようなら、行ってみよ~か整形外科。

 難儀なもんだ。

 そも、整形外科へ1回いってザッツ・オール・ライトには、たいがいならない。

 通院しなさ~い、ということになるのが眼にみえる。

 それも、嫌なんだわいね。

 ま~、イチバンに嫌なのは、ちょっとした無理ですぐに身体のどっかが変調をきたすようになった我が身体のポンコツ化進行ということか……。

 新車ではなく旧車になりにけり。

 もちろん旧車は旧車で、旧車ゆえの魅力がいっぱいあるんでネガティブに考え込まなくともイイけどね。

 

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 車といえば……シトロエンがヨーロッパ圏で発売を開始した電気自動車「ami」は、なかなか興味深い。

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 速度は45㎞までで、2人乗り。フランスではこの車に免許は不要で14歳から乗れる。(ヨーロッパ諸国では16歳から運転できて免許不要)

 その速度制限ゆえ高速道路は利用できないが、一般道はオッケ~。

 価格は65万円

 そういうネダンで出来るんだね、電気自動車は。

 

 

 一方、同じようなサイズのトヨタの電気自動車「C+pod」は速度60㎞までで、やはり2人乗り。

 現在は自治体向けに販売中で2022年から一般販売もするらしいが、価格は165万円。グレードが豪華なのが171万6千円。

 シトロエンより100万円も高いのは、おそらくトヨタは、自動車環境の未来図を今の延長でしか考えていないというコトなんだろう。カタチも新味がない。

 構造簡易な電気モーターに換わることで大幅にコストダウンしているはずなのに、ガソリン車と同じ価格を維持させているのは、現在の商いの旨味をそのままに移行させるだけの、企業利益が最優先ということなんだろう。

 

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 対してシトロエンの価格設定は大幅なロープライスによって、電気自動車という新たなカタチの間口の拡大、社会生活の基本部を変えていこうという覚悟ある戦略ゆえなんだろう。短距離移動と用途を限定した上でカタチもあえて異風に設えた様子。

 その上で都市部におけるカーシェアリングを考え、1分0.26ユーロ(31円)で貸し出しもし、月極なら19.99ユーロ(2400円)で乗れるという。

 速度制限有りの車というカテゴリーのことではあるけど、戦略というより車文化を変革しようとする本気度を示した、65万円というネダンなんだろう。

 トヨタの旧態とシトロエンの変革……。企業の社会に対しての、今後へのビジョンが浮き出てるようで、興味をひかれる。

 くわえて、モーター仕掛けの”低速”車には14~16歳から乗ってイイよという、EU圏の門戸の広い道路交通法にも驚く。日本じゃ、セグウェイなんぞも道路じゃダメという硬直カチカチなんで。

 そのカチコチやら旧態を溶かすにゃ、やはり、ピープルが吠えて抗議するっきゃ~ないんかな。トヨタ一社に向けて吠えるという意味じゃ〜ないよ。ビジョンなき社会全般に向けてというコトだね)

 勢いにのって噛みつかなくともイイ。弱いながら吠え続ける犬の根性もまた大事かもと、近頃はチラチラ思ったり。

 

ワクチン・ぼくちん・ダイ失神

 ミニが壊れて3ヶ月。

 エンジン・ルーム内のいささか重要な部分。その回転軸が折れるという類例のない故障ゆえ、換えとなるパーツはミニ専門店ですら”在庫”なし。

 なワケではるばる取り寄せ、待ちぼうけ。ようやく修理のメドが立ちツテト。

 という次第でこの3ヶ月不動のミニが修理工場へ、ゴ~ゴゴ~。

 30年近く乗ってるミニ。経年劣化というか、金属疲労というか、相当にくたびれているのは確か。

 修繕費もたぶん軽4の中古が軽〜く買える額になるとは思うけど……、ま~、乗れるだけは乗ってあげよう。

 

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 先日昼前、近場のスーパーの駐車場にて、ジャズフェス実行委員会のビシバシ事務局長とモシモシ通話。

 近況をば報告しあってたら、新幹線高架下の一直線の道路を白バイがサイレン鳴らしながら、西から東へ向けて結構な速度で駆けてくのだった。

 ボンヤリと眼で追っていると、信号の手前あたりでサイレンを止め、路肩に停車し、何やらインカムに向けてボソボソ。

 で、2度3度、ヘルメットの頭部を左右にコキコキ振ってから、Uターン、東から西へと今度はサイレンなし、低速で戻っていくのだった。

 左右に頭をコキコキしちゃった所をみると、

「ぁ~、やってらんねぇ」

 みたいな気配がなくもなく、緊急出動がその途中で解除されたらしき様子がアリアリで、「緊張」から「弛緩」への狭間が、そのコキコキだったかな? などとボンヤリ眺めたのだった。

 

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 こういう時のおまわりさんの脈拍は、どうなんだろう?

 サイレン鳴らしてかっ飛ばせていた時と、何やら連絡あってコトが中断したさいの脈拍数は、けっこうダウンしたようにも思えるんだけど。

 

 過日の朝日新聞だかに、「血管迷走神経反射」という耳慣れぬ単語があって、読んでみるに、コロナウィルス・ワクチン摂取のさい、深々と刺さる筋肉注射への恐怖とか、アレルギー反応とかが心配で極度のストレスが生じ、心臓がドッキンドッキン……、それで注射時に失神してしまうという「反応」のことのようなのだった。

 

 ま~、なんとなく感じが判らないでもない。

 ボクも、いまだ注射は苦手。

 ほぼ定時で受けている内科検診での採血、K歯科での麻酔注射……、など、

「あ、今日は注射されるのか!」

 採血は注射じゃなくって逆だけど、ともあれ身体に針が刺さってくるのは、とっても嫌なのだった。なので、注射器が出てくるや、明らかに心拍アップ、あるいはダウン。

 ちょっとカッコ悪いのだった。

 が、失神するほどに心臓がバックンバックンとはならないから、ま~、ダイジョウブだろう。

 

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   写真:ニューズウィークHPより転載

 

 かつて60年代の終わりから70年代初頭にかけて、月へ出向いた宇宙飛行士たちは、全員、出発から帰還までの間ず~~っと、心拍数をモニター(他モロモロの生理的データも)されて、そのことを彼らは随分に嫌ってた。

 選ばれし男の中の男として、クールかつエレガントに振る舞っていると彼らは見せたいから、身体に貼り付けられた計測装置に不快をおぼえてた。

 打ち上げ時の心臓の鼓動やら月着陸時のそれを、一々掌握され、かつ、世間に公表されるのは、なるほど、一個人としては、文字通りに心の内を読み取られているような”不快”であったろう。

 とんでもない事故となって帰還に全力を注いだアポロ13号の3人のクルーが、その途上において尚も医師がその脈拍数をカウントしているのに腹立って、衣服の中の計器を引っこ抜いて怒りを顕わにさせたのは、うなずける。

 もちろん、地上の医者としては、宇宙飛行士たちの健康管理を思っての当然のモニタリングなんだけども、そのこと事態が心拍数をあげる要因の1つとは、いえなくもない。

 

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                映画『アポロ13』での再現シーン

 

 で、コロナ・ウィルスのワクチン……。

 政府のいう日程はあてにならずで、いつ実際に摂取となるのかどうか皆目わからないけども、いずれ、いつか、どこかで、注射されることには、なるんだろ、サ。

 任意なので強制じゃ~ないけど、受けた方がヨカアンバイということで今は推移してるんで、きっと、あなたもボクも受けることになるんであろう、サ。

 ここはもう深く考えず、流されるままに、あの長い針をブス~ッとやられるのを覚悟しとこう。地獄の針山じゃないんで、2回、ブス~ッで終わりだ。

 けどやはり、今ひとつ判らんねえ

 このワクチン注射は、その2回で終わりなの? 毎年マイトシ、この先は受け続けるコトになるんじゃないの?

 なんか、そのあたりの消息が判らんので、結局は針山地獄がアタマをもたげる。それはそれでやっぱり、ふ・あ・ん。心拍上昇、あるいは、下降。

 おととい土曜、バーで会った医師をふくむ複数は摂取しないとの考えを表明されていたけど、要するに確定的なことが何もまだ言える状態ではないんだよね。なので見解が大きく分かれる。

 悪しきは、「摂取を選択しない医者」もケッコ〜いるという事実が、チャンと報道されていないコトかな……。マスコミもまた時流にながされているワケだろう、ネ。

 

 内心、密かに願望するのは、インフルエンザ予防薬とコロナ・ウィルス予防薬が合体した1粒の飲み薬をば国が国民に配給し、町内会長が各家庭に必要数を配り歩くって~~の、楽でイイっぽいな。これだとドキドキしなくてイイしぃ。

 

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 しかし何だかねぇ、オリンピック開催に向けての強行姿勢というか、次開催の中国に向けての露骨な配慮というか、上写真のごときな、こういう動向って、ボクの感じじゃ、

「ノ~ NO! ノ~ NO! 」

 が濃くなるばかり。

志ん生師匠が出てきて

 去年3月は、眼の手術をしたり、ユスラウメを抜いてレモンに換えたり、倉敷のギャラリーに出向いて友人の作品をば鑑賞したり、した。

 コロナ禍、観光客がほぼ誰もいない美観地区をそれはそれで愉しんだけど、今はどうなんだろ? やはり閑散としているんだろうか?

 たしか去年の3月時点じゃ「コロナ渦」という表現はまだ登場していなかったよう記憶するし、ワクチン開発とて、いつになるやらという感触だったような。

 で、こうして1年が経過。去年3月には思いもしなかったトタン屋根の塗装なんぞをやり終え、一息いれたりしてる。

 

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 レモンは冬に凍え、葉が枯れてしまったけど、たぶんダイジョウブ。直に新たな芽をふいてくれるだろう……、と期待する。

 一方で室内退避させているパッションフルーツは、この冬、24時間ほぼ空調を入れっぱなしの部屋ゆえに、葉を落とすこともなく、およそ40~50㎝ばかり枝を伸ばしてる。

 ま、そんなもんだ。

 

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 日曜の午後、庭池の水を換える。

 去年の10月頃から放ったらかし。さすがにドンヨリ濁り、まだ冬ごもり中の睡蓮なんぞもイイ気分じゃないだろう。何種類かの鳥たちの水飲み場でもある。

 近年はウグイスも来る。ウグイスはメジロに似るけど目元が白くないんで区別がつくんだホ〜ホケキョ〜。

 

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 金魚(コメット)はその10月頃からず~~っと家の中、水槽暮らし。やや頻繁に水換えし、水温もヒーターで常時18度。

 18度というのは金魚がもっとも好む温度。ニンゲンにはやや冷たい感なれど金魚には良か心持ち。

 ともあれ、魚のいない庭池の水を抜き、軽く洗い、また水入れ。

 これで水中に生きるグリーン、睡蓮もチョイっとはホッとしてくれるかな。

 

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 水換え作業のあと、ご近所のタケちゃん差し入れのアイスキャンディーをば、口にふくんでホッ。

 赤城乳業の「かじるアイス」。おっ、これ旨いじゃん。

 ニタリ頬ゆるませる。感謝。

 

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 明日、11日。

 3.11……。

 あれから10年が経つ。

 10年前の11日は、夕刻から芝居を見に出向いた。しかし出かける直前までTVで見ていたライブ中継映像の凄まじさが網膜に焼きついて気がのらず、芝居は哀しいほどに非力だった……。

 見終えた後、芝居の主催者K君にその旨を正直に告げたのだけど、今は多少違う気持ちでいる。

 非力だったのは、自然がもたらした驚異と芝居の創造とをゴッタ煮にした、こちらの拙陋(せつろう)な狭量。

 

 津波地震がもたらした歪みのバランスを取ろうとする文字通りの自然のふるまい。巨大な災いになって激しい痛苦がもたらされたけど、あえて云えば呪わしくはない。

 呪わしいのは、広島・長崎・3基のメルトダウンと、地球上で唯一、5つもの「悪害」を体験した国だというに、いまだ、原子力を生活基盤の要めに置こうとしているこの10年の歩み。

 10年前の記事、

 

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 先日、夢に五代目の古今亭志ん生が出てきて、一席やった。

 出てきたといっても、やってるのはボクなんだけど、神様の役とインタビュー役を交互に噺して、これがけっこ~面白い。

 インタビュア~が神さんにあれこれ尋ね、いちいちそれに神さんが答えるという流れ。

 前方の暗がりの中に複数の人がいて、そこからどっと笑いがあがるから、たまんない。

 単語の語源に関してを面白ろ可笑しくしゃべって笑いをとってるんだけど、オチ(いわゆるサゲね)がない。

 それで、

「おい、いつまでやらせるんだよ~?」

 インタビュア~に云うと、インタビュア~も困惑ぎみ、

「いやだって、コレ、お師匠の噺なんで」

 結局とまらない。

 なかなか爽快な一人相撲の愉快が続き、かなり愉しめた。

 しかし、夢というのはホントにケッタイ。メカニズムが判らん。

 なんでボクは志ん生を演じたんだろうか。先月に、枝雀のは2つばかり聴いて笑ったけど、志ん生御大のは聴いてないしぃ……

 わ・か・ら・ん

 

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      志ん生師匠 コップ酒呑んで談笑の図 手前はおでんか?