映画館に雨が降る♪ ~ミレニアム・ファルコン~


"映画館に雨が降る"、というフレーズはあがた森魚のアルバム『嗚呼無情』に登場する名句だけど、ボクが20代の頃は、映画館では、わけても封切館ではなくって2番館や3番館とランクが落ちるに連れて雨模様の確率が高くなり、あがたの唄う情景をアリアリ想像できたもんだ。
たび重ねた上映でフイルムが傷んで荒れてるワケだ。
でも今やデジタルの時代なんで、雨もなければコマ落ちもなく、フイルムを意識できない。
雨を好むわけもないけど、逆にそれを見られないのはチョイと残念に思う時もある。


先日、ニュースで、ローソンが無人店を導入するというのを聞いて…、
「そこまでして売らなきゃいけないの?」
不快な苦みをおぼえた。
人件費をなくし、さらに客自身にスマートフォーンで決済させるこの2重のご都合主義と、店員のいない店で買い物する自分を想像すると、荒涼のすさみしか感じられない。
明るい未来を展望できないカタチがまた増えるぞと、悲しくなる。
日曜・祭日は商店休業があたりまえで当然にコンビニもないドイツの「閉店法」に学ぶべしとまでは思わないけど、居心地が悪いな〜近頃。
だいたい、元旦から店を開けたり、そこに福袋を買いに行くって〜のが…、いけません。とても貧乏な感じ。


さてと…。
1年近く放置したままのデアゴスティーニの「ミレニアム・ファルコン」。
すでに100週、2年が過ぎて先日に最終刊が届いてる。
全パーツ手元に揃ったワケもあって、造ってしまおう! の気分温度がチョイ上昇。
加えて今月には『最後のジェダイ』も公開されるから、どことなくタイミングもよろしい。


ウォーミングアップとして、古い模型を取りだして眺めいる。
1982年か83年、『帝国の逆襲』が公開された頃に米国のMPCが発売したプラモデル。
全長が47cmと当時では異例な大きさの模型なのが魅力だったけど、その頃は、今のような情報があるワケでない。



側面外周ディティールの捉え方や塗装のためのガイドも大雑把。
というか、側面部にはほとんどモールドらしきがなかった。
おそらく実態は、MPC社でも情報を持ってはいなかったんだろう。
また同時に、「そこまでは必要ないでしょ」な気分もあったに違いない。
しかし、今みても、機体の上面界隈はアンガイと良くカタチを捉えてる。
時代の制約という点を差し引き、改造を加えて愉しんだという点を加えて考察しなおすと、いっそこのキットは滋味ある秀作だったと評していい。
下の写真。側面にベロのようなのがあるが、これは噴射孔を内部から"豆球"で光らせるためのギミック・スイッチ。こういう時代のテーストも今となってはポイントが高い。



今は情報過多の時代。
模型にもそれは濃く伝播して、映画撮影に使ったプロップをより克明に際限すべくな方向に進んで、たとえばバンダイが最近発売した3万円越えの ミレニアム・ファルコンの塗装指示書など見てみると、その傾向がずいぶんに高い。
しかもその一切をデカールで提供という、すさまじさ。
そこまでするか…、なアプローチの濃度が粘く、造る自己満足の度合いを高めるべく、徹底して細かい…。
でも、そこに溺れちゃ〜いけない。
35〜6年前の模型を取りだして眺めいったのは、要は、自分がどのような"ミレニアム・ファルコン"をこたび造りたいのかの…、確認なのだった。


で、デアゴスティーニ
こたびは着陸脚と側面パーツの1部を工作する。


この一体成形の側面パーツは、35年前のMPCのものと較べようもない精度とモールドだけども…、丸い窪みがペケ。
これは壺のようなカタチでなきゃ〜、いけね。
目立つ部分ゆえこのままでは気分がのらない。許せない。
そこでこの人差し指の先きっチョ程度の丸い部分をば切り取り、リューターとパテで成形し直す。
こういう面倒な作業は大嫌い。



※ 修正して壺状に…。


着陸脚はMPC版では3箇所・計5脚という構成で、それは当時には正しくもあったけど、近年の『フォースの覚醒』あたりでは5箇所・計7脚という構成に変わってる。
ま〜、それはヨロシイし、デアゴスティーニの脚はその5箇所・7脚仕様じゃあるけれど、解説書では、
「写真をよく見て取り付けろ」
みたいなコトを書いてるくせに…、その解説書の写真そのものが取り付けの向きをマチガッてるんだから、始末が悪い。いい加減な仕事してるな〜〜。
加えてパーツとしての情報量が少ない。


そこで35年前のMPCの脚部のカタチを踏襲し、パーツを自作追加する。
2脚が連動しているというカタチにプラ板と鋼線で加工。
ただの修正じゃなく、チョイと工作が創造的になるんで…、こういう面倒は、あんがい好き。


ワイヤーチューブの類いを在り合わせの素材で組み入れ、これで後は塗装のみという所まで持ってって、次の工作へGO。



※ 外装を作ると、内側の金属フレームは見えなくなる…、のが少し残念。


※ 35年前のMPCとデアゴスティーニ・パーツのサイズ比較…。最終的には1mを越えるサイズとなるゆえ当然、金属フレームなわけだが、この1つのパートだけで…、MPCの模型より俄然に重い。
むろん、重いのは歓迎。プラスチック・モデルというのは手に持った時の軽量がいつも哀しいからね。
ただ…、完成すると、今ボクが乗ってる自転車より重くなる。
(事故以来ほとんど乗ってないけど)