へきれき

言葉を知ってはいても、その漢字はすぐには書けないというのがケッコ〜あるでしょ。
ヘキレキ、もそうだ。
霹靂、と書く。
広辞苑によれば、癖は急激に鳴る雷の意で、靂は激しく鳴る雷だという。
どちらも雷ながら、チョットだけニュアンスが違っていて、あわせるコトでエライコッチャな雰囲気を醸しているようでもある、ネ。
日本書記には、「是の秋に藤原内大臣の家に霹靂せり」とあって、これは"かむとき"と読んだそうである。
これが太平記になると、「霹靂すること閃電光の如くなるを」となって、これは"へきれき"と読む。
霹靂の読みにヘンレキありというコトなのだろうけど、難しい・・。
昨今は、めったと使いはしないけど、「晴天の霹靂」といえば、たいがいは通じる。
晴天と霹靂のカップルでもって意味するトコロが通じるワケで、霹靂だけを取り出しても、たぶん、通じない。
なワケゆえ、これを機会に覚えておこう。
急激で激しく鳴る雷を指して、ヘキレキというコトを。
で。
散歩中、お天気もよろしかったのに突然に、この霹靂がドドンと生じたらどうするか・・。
選択肢は3つある。
進むか、留まるか、後退するか。
この3つ。
散歩に出た直後というなら、大慌てで引き返せばいい。
すでに6キロ歩き、もうすぐ7キロが近い。という場合はどうか?
引き返すといった後退はありえない。
まずは留まり、空の模様を睨みつつ、そろそろ前進というコトになろう。
雷は怖いけど、"ここぞ男ぞ"の意気は消沈させず、ちょいと耐えてりゃ、雷とて次第に勢力は衰えようってなもんだ。
J.G.バラードに「狂風世界」という作品があったね。
ある日、突然に、全地球に強風が吹き出すという設定の小説だ。
飛行機が飛べないなんてもんじゃない。ビルが倒壊し、ブルトーザーが吹っ飛ぶような風だ。
狂猛なその外圧の中で人はどう活きるかを描いて、なかなかに秀逸な作品なのだが、主人公の根底に流れる"男子たるものは"の呼吸が、アンガイと僕は好きだ。
ニッチもサッチもいかない状況下で、整合性も合理性も失せてはいるけど、生きる気概としての"男子たるものはな"の心意気でもって邁進する姿に、僕はいささか親和しちゃうのだ。
むろん、この小説には、ただの一語とて、"男子たるは"は出てこないのだけれど、総じて読み進める内に感じるのは、その気概だ。
ちなみに、お隣の星の金星は、たえずその狂猛な風が吹いているようである。
地表で風速50メートル。ちょいと上空では100メートルを超える風がたえず吹いているそうであるから、大変だ。おまけに硫酸の雨が降って気圧も高いとなれば、とてものコト、生命の可能性はないと思われるのだけど、それでも、ある種の条件がかなえば生命は萌芽するというからたいしたもんだ。
"我れは男子なるぞ"、と生れるワケはなかろうし、金星に生命はないだろ〜とも思うけど、ともあれ我らが地球人たるは、ノンノンズイズイ〜〜ッ、と活きたいもんようの〜ぅ。