平和の祭典

地方の都市に住まっていると、たとえば北京オリンピックなんて〜もんは新聞の上の文字でしかなく、ましてやそれに興味がないし、チベットはどうなってるんだとの憤りもまじえて、5輪は遠い事のように感じてしまっているワケなんだけど、この8月の3日、東京でのワンダーフェスティバルに出店というコトとなって、自ずとホテルが要となるのだけど、そのホテルがすでに満杯に近い。
8月8日スタートの北京オリンピックの需要なのだそうで、有明ワシントンホテルも既に満杯なのだった。
シングルを1部屋という次第じゃなく、スタッフ総勢6〜7名、すわなちシングル7部屋を確保という段になると、たちまちに、
「申し訳ございません。既に・・」
ということになる。
知友の知友が知らせてくれて、あわてて、浜松町界隈のホテルを確保出来たものの、そういったお知らせがなかったら、ちょっとヤバかったような気がする。
アテネならいざ知らず、北京ゆえに眼と鼻の先。強化合宿やら中国泊まりよりはジャパン泊まりの方がイイ・・ ってなアレコレが内外問わずに多々あるような感触で、こうして地方都市に住まっていても、きっちりとその影響を受けるわけだ。それほどにオリンピックというものは人が動員されるものなのだろう・・。凄いな。
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マーティン・スコセッシ監督作品に「クンドゥン」という映画がある。
今のダライ・ラマ14世がインドへ亡命せざるをえなくなるまでが描かれていて、登場する主要なキャラクターはプロの役者じゃなくって、世界中に散在するチベットの方々が扮してらっしゃるようだが、国を奪われて蹴散らされる者の悲哀が深々と伝わってくる映画だった。
老獪で琢磨な大国の浸透に、たかが20代でしかない青年法王は、蹂躙され翻弄され、木の葉のように揺れ動く。
けっして、"楽しめる"映画ではない。小さい、けれども、確固たる文化であったものがジワジワとへし折られていく様相は、観ていて腹立たしく、はがゆく、痛々しい。
が、それでいて、これは観るに価いする映画だとボクは思う。"心"でも"情"でもないものによって世界が動いている事を示しつつ、揺られ揺すぶられながらも火が消えぬ小さきロウソクの光明を描いていて秀逸なのだった。