シービュー号

ボクと同世代の人で、ちょいと潜水艦が好きだという人は… おそらく、シービュー号とノーチラス号と707号というのが大好きなのだろうと思う。3大潜水艦だ。
ボクの場合は、それにBEATLESイエローサブマリンが加わって、4大潜水艦になる。
いずれも各種の模型がある。
シービュー号に関しては、ボクはゼネプロのバキュームフォーム製のものを持っていて、ずっと以前、奉還町という岡山市内の商店街内で店をやってた頃に店頭ディスプレーとして、それを作ったコトがある。
ボク自身が作ったのじゃなく、当時のスタッフが苦心して作り… 今もそれは大事なものとしてボクの部屋に鎮座している。
ハタと気づくに、その模型は20年も前の作品なのだけど、今も色褪せず、
「シービュー号ここにあり」
と、存在を誇示しているのだから何やら嬉しいのだった。
そのシービュー号のプラスチック・モデルが、この21世紀の今、新たに、新たなメーカーから販売されようとは夢にも思っていなかった。それも米国のメーカーから。
しかもほぼ2万円という高額。
しかし過去のどのシービュー号の模型よりもはるかに精緻にして豪奢。資料的にも相当に納得出来る、いわば『決定版』なのだから驚いた。
シービューをシービューたらしめる、あの先端の海底眺望室の内装までが再現されている上、フライングサブとその格納庫はおろか潜水艇だの潜水球だの、「海底科学作戦」に親しみ馴染んでフアンになっちゃった人間にはたまらない部分やアイテムがしっかり模型化されちゃってるもんだから、眼がトロ〜ンとしちまうのだ。
ここ7〜8年、ボクはプラスチック・モデルを自らの意志として購入した事がないのだけど、さすがにこれは… 買わなきゃ〜! と思った次第だ。
届いた製品を眺めるに、これがもう実に気がきいているというか、至れり尽くせりというか、壷を押さえてますな〜というか、マニア的意味合いでの模型の有りようが決定的かつ徹底的に、嗜好の端々まで、
「うんうん、コレだよコレ〜!」
と、大きく頷き、大きく納得するパーツ構成をなしているもんだから、2万円の高額がむしろ安いものにも思えてくるのだった。
何より、そのサイズが我が嗜好にマッチする。
ボクはオッパイと模型はでっかいのがイイと、ず〜〜っと昔より標榜しているから、この大きさは実に嬉しいのだった。
ゼネプロ製は好きだけど、さすがに、この精妙なディティールで構成されたデカイのを目の当たりにすると、ゼネプロ製に褪せるものを感じてしまうのだった。むろん、そうであって尚、ゼネプロ製は我が永遠の大事なお宝として大事なポジションを保持し続ける存在であろうと予測出来るんだけども、ある種の、座としての位置が少し変動したコトは間違いない…。
今は、趣味としての模型を即座に作り始めるという状況になくって、ジャズフェスだの何フェスだのアポロだの… せわしない日々を過ごしているから、パッケージを眺め、箱の中のパーツを手にとって、ウットリと、こう組もうかと、あ〜組もうかと工作過程における愉悦を想像して1人北叟笑むくらいなコトしか出来ないけれども… シービュー号の『決定版』が手中にある手応えが嬉しい。
それで… ついつい… そんなものを眺めている時間もないコトを承知で、DVDの「地球の危機」を買ったりする。
シービュー号が登場のテレビ版の「海底科学作戦」はVTRで多数所有しているし、映画「地球の危機」もLDを持っているのだけど、このさい、DVDも買っておくかと… 紀伊国屋で一本求めてパッケージを眺めたら、
「ゲッ!」
熱狂に水をさされたようで、何やコレ… と悪態をつかざるを得なかった。
パッケージがひどいのだ。
写真の裏焼きに加え、な〜〜んと、違う映画のメカが堂々とプリントされちゃっているのだから、笑いを通り越して不快なのだった。
誰が見たって、
「おい、そりゃ、ミクロの決死圏のプロテウス号じゃんか!」
なのである。
どうやったら、こんな単純な過ちのパッケージが出来るんだろう… と、逆に訝しむばかりにオバカなミスなのだからガックリさせられるのである。
ミクロの決死圏」も「地球の危機」も同じ20世紀FOX作品とはいえ、著作権がど〜たらこ〜たらと、そのパッケージの方々に謳われて作品のコピーなり諸々の作品への侵害を警告する文句を連ねている反面で、このようなコトになっている"作品への軽視"と"侵害"は、いったい、何なのさと苦笑してしまうのであった。僅か1000円ばかりで買える廉価版とはいえ、廉価と写真の過ちはけっして一致するもんじゃない。誤字があったというレベルではない残念を、このDVDにはおぼえる…。