宇宙からの脱出

久しぶりに書いてますな。(笑)
人生を50年も生きてると、な〜んかね〜、厄介なコトやら鬱陶しいコトやらを日々感じまして、
「ああ、人生って面倒やな〜」
と思うコトしばしなのでありますが、時に、思いもかけないいいコトがあったりもするワケです。
その辺りのバランスが悪いと人間というのは生きる活力を失せたりもするんでしょうが、幸いかな、いいコトが時にある・・。それゆえにの"幸いかな"なのでもあろうけどさ。
このたびのボクのいいコトは、未知の方からの贈り物でした。
アポロのペーパーモデルのコトを知ってくださった関西方面のTさんが、ボクの記した「宇宙からの脱出」を読んでくれて、な〜んと、そのレーザーディスクを持っているとの報。
しかも、無償で、それをDVDに置き換えてお贈りくださったのですよ。
ちゃんとパッケージも作ってくださって・・。
感激ですぞ、これは。
お会いしたコトがない方なんです。
お手紙でちょっとやりとりしただけの仲ですというのに、贈ってくださったんです。
感謝にたえませんよ。
今、いささかに忙しい時期で映画をゆったり眺めて嬉々としてるユトリはないんだけど・・ こういう時は時間は作れますな。
久しぶりに、何十年ぶりに、映画「宇宙からの脱出」を観ましたよ。
何十年ぶりに観て、勘違いしてた点や新発見や再発見が多々あって、それを一つ一つあげてくワケにもいかんだろうからハショるけど、手元に残ってたパンフレットと幾枚かの資料写真を元にペーパーモデルを作ったんだけど、やはり、映画を観ると、違うトコロが幾つかあって、
「あんれま〜」
と、眼を開いたりさせられるから… 楽しいですな。
さいたるは、ロケットノズルの色かしら。
資料として持ってる写真はいずれも白黒だし、パンフレットの写真も白黒だったし、現実のアポロの場合もノズルは黒っぽいワケゆえに、てっきりそれは黒だと思い決めてたんだけども、違ってた。
赤だ。
「アカじゃんか〜」
と、思わず呻いたぞ。
で、そう呻きつつも、映画の中の、ほんの一瞬のシーンが実は我が脳裏の中にはちゃ〜んと収納されていて、それは今の今まで何十年も思い出すコトも出来なかったんだけども、そのシーンが来たときに、
「あ、これは!」
と、また呻いたりするんだった。
ボクの記憶のタンスの奥にしまい込まれてたのは、救助に訪れたロシア船のパイロットの顔、その表情なのだけど、困ったような、泣き出すような不思議なその顔の表情を再見した途端に、あてどなく浮遊していた二つの点がガッチリ結ばれて円が出来たみたいな、とっても心地好い、気持ちいい至福がやってきて、
「でへへへ」
と、ボクは北叟笑むのだった。
高校の1年だか2年の時に映画館でたった一回こっきり観ただけの「宇宙からの脱出」を、こうして30余年ぶりに眺める嬉しさと、そこで得る再発見はデッカイね。
グレゴリー・ペックさんは名優の誉れ高い人だけど、この映画の中でもそれは遺憾なくも発揮されていて、ともすれば単調なこの映画のトーンをググ〜ッと引き締めてらっしゃるのも、こたびの発見の一つの柱だった。大げさなアクションも皆無なれど、その顔の表情の演技は絶品と思える。
ボクは今もって、この作品がDVD化されないのを惜しむ。
宇宙船の飛行シーンなどは今の眼で眺めると精彩にかけるし、ジーン・ハックマン扮する宇宙飛行士の"バズ"が、助けてくれ〜と船内で暴れ出すのも… 宇宙飛行士の実像を知っている今となっては、まずありえない振る舞いとして眼には映え、
「ま〜るでハックマンはトラックの運転手みたいやな〜」
と、苦笑まじりの笑みも浮かぶけど、アポロものを好むワガハイとしては、正式なDVD化を希求してやまない次第なのだった。
アポロ13号の事故はこの映画が撮られた後のコトだけど、こうして眺めると、映画「アポロ13」がこの映画をも参考にしている作りであるコトも判ってくる。
ともあれ、Tさんに感謝。
手応えの豊かな贈り物でありました。