エンデバー号の帰還

帰還予定の1時間前にNASA TVにつなぎ、ボンヤリと様子を窺い見てた。
いまどきのNASAシャトルの発射や帰還をライブ映像で見せてくれるから有り難い。
とはいえ、1時間前はまだシャトルそのものが見られるわけではなく、あくまでもコントロールセンターの、いまシャトルがどの辺りを飛行してどのような姿勢をとっているかの図示としてのモニタリングなんだけども、とてつもない高速でもって移動しているのは、よく判る。
帰還のちょうど1時間前あたりでシャトルは姿勢をかえ、地球に向けてお腹を向ける。
それからゆっくり軌道が変っていって、進入経路を辿っていくのだけど、大陸としての南アメリカを30分とかからない速度で過ぎていくから、やはり、
「早いな〜!」
と、驚いちゃう。
人が乗ってる最速の乗り物だ。
地球に進入する乗り物としては、月からダイレクトに戻ってくるアポロの方が数段に速度が早いのだけども、あの当時はそれを巧妙には中継出来なかったから、目で移動を感じるというには遠かった。
でも今は、それがビジュアルとして見えるから、シャトルの早さを意識できるのだね。
大気圏に入って、いよいよケネディ・スペース・センターに近づいてくると、やっとカメラがシャトルそのものを捉える。
10台を越えるビデオカメラがシャトルの姿を捉えていて、画面がどんどん切り替わるのもいい。
1台が不調だったけど、多くのカメラはちゃんと追尾していて、着陸時の様子を全方向から映してた。
なかなかイイぞ。
ボクはシャトルにはあんまり興味がない世代の人間なのだけど、無事に帰還したエンデバーの姿には、やはり雄姿を思ってしまう。
パラシュートが切り離され、静止した後も、しばらくはスペースセンターの車輌は近づかない。
機体の熱が冷めるのを待っているのだろうか?
降りて30分くらいが経ってから、係員4名が徒歩で接近して機体をチェックしてる。
それからさらに10数分が経ってから、やっと車輌が近寄ってくる。
手間がかかるんだな。
このあたりでさすがにNASA TVを眺めてるのが退屈になる。
エンデバーは、クック船長が南太平洋を探検したさいの帆船の名だ。
アポロ15号の司令船もエンデバーだ。
だから、なかなか由緒のある名前なのだな。
1992年にスペースシャトルとして組み立てられたエンデバー号は、そのさいに新造されたのではなく、チャレンジャー号の事故後に、補助パーツとして保管されてたパーツを組み上げての機体だそうな。
おなじみの毛利さんの初宇宙もこのエンデバーだ。
でも、これでは外宇宙には出ていけないのだね。あくまでもシャトルシャトルなのであって、月へは行けないのだ。
機体の形やらの問題じゃなく、コンピュータを含む飛行のシステムがそうなっているから仕方ないんだね。
そこがちょっと、寂しいね。
より高く、より遠くへは… いけないのがスペースシャトルだ。
アポロ計画が終焉したあと、今の今までこのシャトルのみが人と宇宙を結んでたワケで… これはやはりチョットつまらない。科学や経済や軍事のそれは置いといて、一つの冒険談をつむぐには、シャトルではいささかの無理があって、それが何だかつまらさの根ッコのような感じなんだね。
模型を愛でる目でみると、シャトル(オービター)は嫌いじゃないんだけど、それが暗示してくれる何事かが小さいのだわね。
アポロの司令船は小さなものだけども、それが担った夢みたいなところはデカイんでね。眼には見えないけど意味する部分の違いが際立つのがアポロとシャトルの差って感じ。