移動発射台-05


発射塔の損傷にこだわっているワケじゃないんだけども、また損傷について記します(苦笑)。
幾つかの写真でもって、発射台の受けるであろうダメージを想像したい次第です。
検証じゃなく、あくまでも想像。(o^_^o)
記載の写真はアポロ8号打ち上げ時のサイド4側からのものです。
これは海側に面しているからライブで見てる人はいなかったと思います。あくまでも設置されてるカメラの眼がとらえた映像ですね。
反対側のサイド2からだと、ちょっと見方が違います。
サイド2側からは炎よりも水蒸気やら油煙やら噴射ガスやらの煙がすごい。
一方のこのサイド4側は動く映像で見ると、炎の状況がよく判ります。
赤い塔の一階部分は完全に火の海になりますよ。
左の写真の一番下。塔の1階部分の、配線を収納しているダクト界隈が燃え出しているのも判ります。
マッチの火じゃないんでね、これは。マッチの比じゃ〜ないワケですよ、これは。炎の圧力がスゴイ。
movieを眺めると、燃え出したダクト類がサターンロケットの上昇と共に、もたらされる強圧でもって、炎そのものが吹っ飛ばされているのも判ります。炎が炎を消すんですな。
もし、あの場に、赤い塔の下に完全な耐火服をまとって立っていても、この圧力でもって、吹っ飛ばされますな。
70kgの体重のボクは、たぶん、100mは一気に吹っ飛ばされる。
いや、もっとはるか遠くまで瞬時にぶっ飛ばされる。
横に吹っ飛び、次に地面に叩き落とされてグチャ‥ 即死ですよな。
写真でみると、塔は下のフロアになるほど被害が大きい。
F-1エンジンからの直接の炎を受けるサイロ部分にある器材は、これはもう再使用は出来ないでしょうね。全損で取っ換えですね。
TVC-15のホームページの発射台の説明のどっかにも書いてますけど、アポロの発射時で1番に至近にいる乗り物は鉄でガードされた装甲車です。
万が一のさい、脱出してきた飛行士3人を救出する装甲車ですけど、これの停車位置は発射台からは900mも離れた場所です。(ホームページには800mと書いてるけどソレはちょっとマチガイ。正しくは900m)
サターンロケットの爆発という事態も想定しての900mなのだろうけど、距離がありますな〜。
それだけの威力があるというコトが示されている900mという距離です。
それ以外の関係者は全てだいたい13Km向こうにいらっしゃる。
スペースシャトルの場合は、同様に装甲車が待機してるんだけど、これは無人です。
緊急脱出したシャトルの搭乗員は自分で装甲車のドアをあけ、自分で運転して逃げ出すことになってるようです。
なもんだから、かの毛利さんも向井さんも若田さんも装甲車の運転が出来ます。これは確か!

話がはずれちゃいましたが、ともあれ、これだけ強圧の業火に晒された発射台を再使用すべく整備するには、これまた大変な作業だったろうな〜‥ と、もう40年も前になったけど、当時の整備担当の方々の苦労をしのぶ次第なのです。
たぶん米国の公文書保管場所には、アポロ計画に関する膨大な資料文献が保管されているであろうから、まずマチガイなく発射台の修復に関する諸々な資料もあるとは思うのだけど、それを眺める手立てがないんで、想像たくましくするコトしか出来ないんですね‥。
それが残念ですけど、発射台のペーパーモデルを方々から眺めつつ、アポロサターンが打ち上げられる瞬間のその壮絶なシーンに思いを馳せるのもまた楽しからずや、です。
打ち上げの瞬間、発射台はものすごい悲鳴をあげている筈です。
「キャー!」
じゃないですね。
「グギャ〜〜!!」
てな断末めいた悲鳴でしょうよ。
左の写真の通りの壮絶な状況です。
でも、その叫びは屈辱やら汚濁やら痛苦のそれじゃないですね。産み出すがための昂悦の、喜色の雄叫びでしょう。
ボロボロに焼かれることで、発射台は抱えていた我が子を飛翔させるワケです。
より高くへ。より遠くへ。
僕は「被害」と記してるけど、だからこれはホントは被害じゃないんですね。必然としての損傷です。
ちょっとおかしな表現ですけど‥ 新たな生を育むがための傷として考えるなら、これは"妊娠線"みたいなもんです。
立派ですぞ‥ 発射塔は。