月の洞窟


月に、人のスケールでいえばかなり大きめな洞窟があるという報。
新聞でもけっこうクローズアップされてますね。
何10年か先には、きっとその洞窟の全貌が判ると思うけど… 今すぐにはまだまだ謎という所がちょっと残念です。
アポロ計画があのまま続くか、新たで大がかりな月探査が継続してるかすれば、きっと今頃はもう月にステーションがあろうとも思われますから… つくづく、40年オーバーな空白が残念です。

「えっ? 嘘っそ〜!」
とか、
「へ〜、マジかい、それ!?」
てな按配の驚きが、月にはきっと色々あると思えます。

ヴェルヌは、かの小説で3人の旅行者に月の状況を説明させてますね。
ご承知の通り、砲弾ロケットは月に降りません。
降りようというコトになって、"逆噴射"を試みたら… 地球に戻る軌道に乗ってしまうという顛末。
その間、搭乗の3人が窓から月を観察するわけです。
19世紀初めの読者は、きっとワクワク、ゾクゾクしながら、その数ページに渡っての"月からの実況"を読んだと思います。
ヴェルヌも当時の読者も知らないコトだけど、後年、アポロ13号がほぼ似通う状況で月を一周しますね。
危機的状況なんだけども、13号の乗員は窓辺に身を寄せて月に夢中になってました。眼を見開いて眺め下ろし、写真を撮ったり、「すげ〜なぁ」と感嘆したり、しています。
クラークの「2001年宇宙の旅」でも同じですね。
超光速での星間飛行に運ばれてしまったボウマン船長の眼を通して、読者はこれまた、ワクワク、ゾクソクな驚きに満ちた"車窓からの光景"を知らされるワケです。
これまた危機的状況なんだけども、ボウマン船長の眼は状況を眺め、進むにつれて眼は炯々と開いてく…。
人の面白さ、ですね、これは。
あいにくとヴェルヌは月に洞窟を発見しちゃいないけど、"倒壊して風化した町らしきもの"を見たようだと主人公たちに感想を記させて、天晴れ、ワクワクの深度を昂ぶらせてくれたのでした。

かぐやがもたらした諸々の成果は予想を越えて大きなものとなったようですから、これは慶賀。
けどボクは一点だけね、気にいらないの…。
名前のことです。
かぐやの本名はセレーネですよな。
ギリシア神話に登場の月の女神の名。西洋じゃ圧倒的に高名な名前です。なんせゼウスに強姦されたり、牛と交わったり、恋をして夢中になった人間の男を、いずれ彼は死ぬからと… 永遠に眠らせて手元に置くなどのエロチックな話ばかりの女神。実に魅力的 (o^_^o)
JAXAの場合、正しくはプロジェクトの呼称としての「セレーネ」で、その周回衛星が「かぐや」だという次第なんだけど、これしゃ、2人の女性がいるワケですよな。
だから、2000円札の表と裏の不可思議さ(源氏物語と沖縄)にも通じる、
「なんで、これが一緒なの?」
な感触が今もってあるんです。
女2人じゃ… ケンカになる。
はなっから… プロジェクト名も「かぐや」で統一して欲しかったですな。
いざやフタをあけると、セレーネ嬢の名がかすんでしまいました。
実に気の毒なのであります (o^_^o)
ともあれ、月に"穴"があったというコトで… なんだか女神2人を思い出した本日でありました。