火星にゴ〜

すぐにヴェルヌを思い出したのだった。
アイスランドでの火山噴火で飛行機たちが飛べなくなったニュースを聞いてだ。
ご承知の通り、「地底旅行」のスタート地点はアイスランドの火山だ。
だから、ニュースを聞いてボクは、冒険に出向いたリーデンブロック教授とアクセルとハンスの3人をすぐに思い浮べたのだった。
地底への実際の旅の描写は、小説では全体の1/3くらいのところから開始する。
そこまでは、ドイツからアイスランドの目的地までに向かう道中だ。
だから、今読むと、あんがいと焦れったいような思いにかられもする。
時代のスピードというものかしら…。
けれども、その1/3のドイツからアイスランド島に向かうまでに、主人公のアクセルを通して、休止しているとはいえ火山に潜っていくという、その恐怖が書かれてもいるから、焦れったくなってはいけないのだ。
そもそも、よく読めば、出演のリーデンブロック教授そのものが、その旅の速度のゆるさに苛立っているではないか。
だから(×2)、21世紀的な速度感をゆるめ、19世紀末の速度に歩調を合わせると、がぜんとヴェルヌの「地底旅行」は面白くなっていくのだ、ぞ。
面白くなった… という意味ではオバマ大統領の新宇宙政策かしら。
いったんは予算をカットし、前政権時代に確定していた月への再チャレンジを破棄したものの、やはり… それはそれで多くの反撥を招いたようである、な。
でもって、「2030年代半ばを目標に火星に人を送る」と姿勢を転じたワケだ。
演説ではケネディに言及したらしいけど、お気の毒ながら、ケネディほどの性急さや大胆さはちょっと薄い。
2030年代半ばと、目標を25年先に持ってったのがそも… ホンキ度の度合いが薄いよう思える。
ケネディの場合は、10年以内という性急さであったけど、逆に、10年内というメチャとも思える目標設定だったがゆえに多くの難事業が成立したとも顧みると考えられ… るから、それと比較するとまたもお気の毒なのだけどもオバマ大統領の25年先の設定は、なんだかやはりゆるいのだった。
負荷をかけ圧をかけなきゃ進まないコトもあるのだ…。時代の速度、という意味合いで申しても、25年というロングランはいただけない感触で、いっそヴェルヌの小説の方がよほど早く疾走しているようにも思えるのだった。
でも、ま〜、とりあえず、人が火星に行く…。このニュースは歓迎。
火山の話をしようと書き出したら、火星になっちゃったよ。