ノーチラス-04

岡山方面は梅雨に入ったそうな。
近年は、梅雨入りしたのか、あるいは、梅雨はもう終わったのか… 気象台ですらよくワカンナイようなアンバイなこの時期の空模様だったんだけど、今年は判りよい。
よく降る。
なので、
「田植えの時期到来だな〜」
と、昔ニンゲンのボクにはそんな反応が素直におこる。
季節のうつろいと人の営みが連動していた頃の気分が情景として、ノスタルジーを含め、チョメッと… 胸の内に去来する。

さてと、ノーチラス。
ノーチラスと書いた方がいいのか、ノーチラス号と記すべきなのか、実はよく判らないけども、この船内にある"居住空間"をヴェルヌは克明に描いてくれていて、この魅力はいまだ褪せるコトがない。
ボクは植草甚一の『雨降りだからミステリーでも読もうか』というフレーズをこよなく愛しているけれど、この気分の延長上にノーチラス号船内も置きたいと思う。
ヴェルヌは、ノーチラス号内の図書室に12000冊の本があると書いている。
雨降りどころか… 海の中なのだから… もう毎日読書三昧が出来ちゃう。
その図書室の横が、床の長さが10mあるサロン。
30枚を越える古今の絵画やら海底で採取した貝のコレクションが並んだうえに、パイプオルガンがあり、豪奢なソファがあり、左右の壁には大きな海底展望用の窓がある。
模型として考えると、その窓の内部たる部屋の様子が見えるワケだから、無視できない。
詳細は別の機会に書くとして、ネモ船長がコレクションした絵画も小説中でハッキリと記されているから、模型として… あまりウソもつけない。
ホセ・デ・リベラ作の『聖ヒエロニムスと天使』やら、ティツィアーノ作『鏡の前の女』、アングルの『アンジェリカ』などなど、今や誰もが知る有名作品がコレクションされているから… 大変だ。
(現実にはルーブル所蔵であったりブリュッセルの美術館のものであったりするのだけどもヴェルヌはそれらの本物をノーチラス号にある収蔵品としているのが面白い)
そこで、絵一枚一枚のコピーを入手し、実際の寸法を調べて縮小して行き… アラベスク模様の壁を作って並べてみる…。
10mという長さの部屋に30枚も置けるものかしら? と訝しんだけど、実際、模型化してみると、天井高があるので4つの壁面にはアンガイと置ける。
オルガンを設置して、椅子を置いて、テーブルには、これまた小説内で書かれている円周が6mもある巨大なシャコ貝製の水盆めいたものを置いてみる。ただし、このシャコ貝は縮尺をいっそう小さいものにした。
が、それでもまだ全体としてスペースにはゆとりがある。
オルガンの形は、1961年作の大好きな映画「Mysterious Island」(邦題:SF巨大生物の島)に登場のそれを模してみた。
問題は、模型ゆえ、この部屋が僅か4cmほどしかないというコトか…。

ちまちま作ってみたとて、模型としては、あくまでも、窓の外から内部の一部が見えるだけなのだから… いかんせん、4cmというのはマッコト小さい。
そんなのを、暗い筒の中に封印しても余計に暗いだけのモノになるから、この場合、電飾を施した方がイイのは明白なのだった。
なので、本番の最終モデルにはLEDで電装するコトにし、まずは試験モデルとして、手元にあって処置に困ってた「クリスマス用のピカピカ点滅電球セット」を内部に封印させて、光具合やら光の漏れやら、組み立てそのもののチェック用に作ってみたワケ。
サロン部にグリーンの小電球を宛がってみたのだけど、思ったような効果が得られていない…。緑色電球の光量が高く室内の基調色とした紅みに優ってしまった。おまけに… もちろんそれは判ってたコトでもあるけれども、なにしろ点滅球ゆえ、点いちゃ消え、点いちゃ消えるから、効果も半減だ(苦笑)。
………
ともあれ、これは塗装の感じやら電球の仕掛けやらの考察用だ。一歩前進というトコロでまた続く。