早朝の雨

また雨だ。
昨日の日曜は今にも降りそうな気配のままに終始してたけど日付が変わった頃からチョメチョメ降り出して、今朝はもうけっこうな雨模様なのだ。
ボクは雨が嫌いではない。
もっとも、これは、どこにも出向かないという前提の上でなのだけども… 窓の外に雨が降っている光景は嫌いではないのだった。
カサさして歩く人やらカッパきて自転車に乗ってる人を窓越しに眺めるのが、なんだか好きなのだ。
いざ、自分がその雨の中をカッパきて移動となれば… いささか難渋するとは判っているし、湿気による不快な感触も身に染みて判ってもいる。
でも、今日は出かけなくともよいから、雨の光景をただただ愉しめる。外は濡れているけれども自分は程良く乾いてるという、都合のいいポジションでの… 愉悦だな、これは。
ともあれ、そんな次第で、ボクは通行人AさんやBさんや、路面にたまった雨水をバシャ〜とはねながら行き交う車を、ぼんやり眺めてる。
犬を散歩させてる人もある。
人は当然にカサをさしてるけど、犬はカッパもカサもない。
ボクが犬なら… さすがにこんな天気での散歩は嬉しくないと思うのだけど、どうだろ?
ずっとずっと前。どこか場所も忘れたけれども、かなりな田舎の渓流の岩場に雨の中でうずくまっている釣り師を車中より見た。
黒いカッパで身を包んで河面に向いているから、彼が若いのか古いのかも判らないけれど、彼は石のように不動のままに釣り糸をたれていて、それが景観に溶けていて、なかなかカッコよかった。
彼の釣果も当然に判らないけれども、雨の中に身を沈めて孤独を満喫してるような姿が印象深くって… だから今もっておぼえている。
自分を釣っているという例えもある。
英国の高名な釣り師アイザックウォルトンは著作「釣魚大全」に、
『Study,to be Quiet』
との名句を残した。
『穏やかなる事を学べ』
今朝の雨に、それを思い出した。