ボイジャー1号・彼方へ


打ち上げられたのが1977年だから、もう34年、休むことなくボイジャー1号は飛んでるわけですね。
それがとうとう、太陽系を出ちゃいそうというのだから、とってもすごいですね。
はやぶさハヤブサと何だか一点集中な「感動をありがとう」的な括りでもってハヤブサばかりが報じられたりブームになってるようだけども… 大樹を見ずして小枝のみを見てるってな感をおぼえます。
人類が作ったものが太陽系の外に出るというのは、実にすごいコトです。
すでに皮膚的な感覚としてピンと来ない程の遠方にボイジャー1号はあって、それが今この瞬間にも時速6万Kmを越える速度で遠ざかっているという壮大を思うと、ホントのところ、これは新聞のトップに載せるべきな"偉業"でしょう。
冥王星を通過したといったレベルではなく、もはや惑星が浮く領域をはるかに越えた所、太陽の影響が完全になくなっている領域を越えつつあるというコトの意味のデカサを新聞・テレビはほんとはもっと取り上げてもイイ筈なのですがね。
先日、岡山県美星町(びせいちょう)にいきました。
パーカッション奏者・土取利行氏と韓国の女性舞踊チームとのコラボレーション・ライブを見るのが目的だったんだけども、会場となった中世夢が原には天文台があります。
その丸屋根と中世の復元家屋が織りなす佇まいの静かさは、なにか、悠久なものを暗示する静観があって、それに星の運行を加味すれば、気持ちもまた穏やかになるのでした。
かつて開高健が「悠々として急げ」なる名言を残してくれたけど、ボイジャー1号にもその言葉が似合うような気がします。
中世夢が原での夜。
上空には星がまたたいていて、当然にボイジャーの姿は肉眼視出来ないし、望遠鏡でもってもさえ見えはしないけども… はるか彼方で飛行中のそれを空想することは出来ます。
太陽系の外…。凍てついて深閑、真っ暗な空間の中を今、ボイジャーは尚も遠くへと向かいつつあるワケです。おめでとう! と賛辞したいですね。

※ 本文中の写真は明石天文科学館リニューアルで新設置のボイジャー1号の模型をいかに展示するか検討中の様子。下の写真は美星町・中世夢が原でのスナップ。