ゲソをのせて…


あと3時間で動かなきゃいけない…。
3時間後に車で宝伝港に出向き、朝8時の船に乗らなきゃいけない。
犬島で維新派がまた芝居をうつ
今回はあの大掛かりな舞台装置はなし。いっさいなし。
犬島の小さな入江を利用し、その潮の満ち引きにピタリと合わせての、いわば天然な自然との共存芝居…。
その最終リハーサルがあるんで、出向くわけ。
ちょっだけ仕事。
というワケで朝の3時に起き出し、まもなく朝ご飯を食べようとしてる。
近頃のボクはなんだか天ぷらうどんにドボンとはまってる。
天ぷらといっても… ゲソだ。
どこぞの店に食べに行くとか、どこぞの店が旨い… とかはテンデ興味なし。
お近くのスーパーで買った38円のうどん玉。
そのスーパーの総菜売り場に並ぶ89円だか98円のややデカめなゲソ天。
これを冷蔵庫に常駐させ、スープはシマヤだかの粉のうどんだし。
これで充分。
赤唐辛子を多めにふって、ツルルツルツル、モゴモゴモゴ…。
なぜか飽きない。
なので気づくと、近頃のボクは夜食に昼食にと、2日に1度くらいは、ゲソ天うどんを口にする。


今日の犬島でのリハーサル。
それから明後日、24日の本番にも出向く。
実はさらに来月にも別の芝居でまた犬島へ行くのだけど、それは置いといて… 台風が移動してくれて、ホッとしてる。
も少し、台風がゆっくりしてたら、たぶんにリハーサルにも影響があって、今こうして、うどんのコトを書いてなかったりもするだろうな。
…………
実はいっとき、上記のゲソ天を食パンにはさんで食べるというのを、数年続けててた。
シッピング・ニュース」という映画があって、ケヴィン・スペイシーが主役だ。
彼が演じる子連れのウダツのあがらない男が生まれ故郷の島に戻って地元の小さな新聞社の記者になって、アレあってコレあってア〜なるというハナシ。
実に良い映画で、何度観てもボクは鮮烈をおぼえる。
この映画の中で出てくる海ぞいのレストランというか食堂に登場するのが、「ゲソ・バーガー」だった。
劇中でもあまり目立たない。
でも主人公たちがその食堂に集うシーンでは必ず出てくる。
それでボクの眼は注目してしまい、パンの合間からのぞく足のようなものが、
「あれはイカに違いない」
と感じて、あげく、マネてみた。
みたら、旨いじゃんか…。
シッピング・ニュース」がDVDになって直ぐに買い求め、監督たちのコメント入りで視聴したら、くだんのシーンで、
イカのフライをパンに挟んでみた。市販されてないけどイケると思うよ。流行らないかな〜…』 
みたいなコトを口にされてたからボクは、また狂喜して足をバタバタさせた。
イカの足をパンに挟んだ映画作りの現場の感触を、ボクは気づいてたんだな〜という何だか誇りたい気持ちが混合して、よって、その後の… ボクのつつましい食卓ではゲソのサンドイッチなのだ。
アレンジしてるワケ。丸っこいバーガーパンでは食べにくいから、食パンに変えてるのだ。そこいらで売ってるヤマザキだかの安いので。
で、フライじゃなくって天ぷらで…。
ひょっとして… 廉価で簡単にというのが根底にあるのかも知れないけど… ま〜、それはそれでイイじゃない。
それが近頃、ゲソ天サンドからゲソ天うどんになったワケだ。
シッピング・ニュース」は島の話だった。
今から出向く犬島も島。
しかも、メチャ小さい。
その島の入江で芝居がある。
ゲソのっけたうどんが合うじゃんか、と勝手に合点してる次第。