ネモの食卓

今年初のライブ
裏方として例によってドア廻りでワークする。
開場からライブスタートまでの概ね30分を、入り口ですごし、来場者を個々、誘導する。
1月の外はやたら寒い。とりわけ気温が下がった日でもあったようで、なんか気分は『マッチ売りの少女』だ…。
久々に足先がジーンとし、手がかじかんでく気配をおぼえた。
でも、毎度来てくれるお客の笑顔が嬉しい。
たぶん、お客の方でも、馴染みなマッチ売りドアボーイが「あけましておめれと〜」と笑みつつドアを開けるのは嬉しいに違いないと… 思ってる。
はじめての人は… ちょっと不審げな顔をする。
開けて、入場してもらうや、直ぐドアは閉める。
そうしないと暖気が逃げちゃう。
だから、ボクは寒い。
でも、順次やってくる方々を迎えるのは、とても嬉しい。
それが、我がマッチだ。
迎え入れる瞬間にハートが温もる。
今回は、初めてのコトであったけどミュージシャンからのお客へのプレゼントがあって、その紙袋を1ヶ1ヶ手渡すさい、必ず、
「太田からです」
と、いう。
すると、ほぼ100パーセント、
「えっ!?」
皆さん、驚く。
で、直後、驚きの直後に、今度は方々の、眼に、顔に、肩先に、悦びがササ〜ッと湧いていくのが判る。
その変化がまた嬉しい。
こういう思いがけないのはイイな〜と1人で北叟笑んだ。
それでマッチ売りの少女じゃないオジサンも小さな温もりを順次にもらえ、凍えるコトなく外気を吸う。
ウフフ。
と、楽しくなっている。
写真はライブの途中を、その外から映したもの。右側はガラスに反映した外の景色。妙な写真になったので気にいってる。

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その後。
ステージの後片付けを終え、プチパインでK嬢から、思いがけないプレゼントをもらう。
開けてみると、陶器のバター・ケース。
ノルウエー製。
けっこう重い。
感謝しつつ、こっそり… ネモ船長になったような気分を味わう。
ネモのノーチラス号船内の食事では、すべてが海から取られた食材であるからバターも牛のそれではない。
描写される最初の船内での食事には、「クジラのミルクからとったクリーム」というのがある。
それらは"N"のロゴが入った銀製品に入れられ、スプーンにもフォークにも同じロゴがある。
K嬢からの贈り物には当然に"N"のロゴは入ってはいないけど、微笑ましい絵が眼をなごませる。
専用のケースがあるというのは嬉しいもんだ。
なので… ネモを自身に重ねて喜んだワケ。

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翌日。
新婚カップルを中心にした小さな新年会を某所で。
カップルの新郎はボクより年が大きく、新婦ははるかにはるかに若い…。
良いカップル。
彼らを含め、集った5人で鍋だ。
mihoちゃんが持参した西口のポルポの詰め合わせがいい。
ポテトのサーモン巻は他の人の眼を盗み、ぜんぶボクがたいらげた。

ボクの持参はといえば、スーパーで求めた牡蠣、黒和牛(半額だった)、若鶏のモモ、プラス、でかい白菜1ケ。
ポルポのイタリアン以外はすべて鍋の中でグツグツ。
新婚カップルも鍋の具を持参ゆえ、鍋の中はアレありコレありソレあり。
熱いのをハフハフ。
当然ビールがうまい。
日本酒もうまい。
アホ〜な話に花がでっかく咲いて、ギャハギャハ笑い、原発の問題に口をとがらせてみたりシワ寄せてみたりして… ボクはちょっと飲み過ぎで遂には途中で眠ってしまった。
夕刻の5時からはじめた鍋は夜中の2時までグツグツグツ。
目覚めてまた食べ、飲んで、笑って… 
「ぁああ、鍋はいいなぁ〜」
ネモ船長はフォンデューやらヴィヤベースは知ってるかもしれんが、この土鍋の滋味を知らんだろ〜と、またコッソリ思ったり。


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今日。
眼の上あたりが何だか腫れぼったく、カラダもだるい。
二日酔い…。
近場の書店のDVDコーナーで「INCEPTION」を買って、観る。
レオナルド・ディカブリオや渡辺謙が主演するSF。
封切られた2010年には、この作品はやたらにたくさんの賞をとった…。
でも、ボクは映画館でこれを観ていない。
なので、二日酔いぎみでもあるし、仕事にもノレないんで、観た。

巻頭でいきなり日本語が飛びかうから、DVDの字幕出しの操作をマチガエたかと思ったら、そうじゃなかった。
二日酔いぎみなボケた頭で1回みた限りでは、メチャにオモチロ〜ではなかった。
なかったけども、なんだか2回、3回と、これを観る予感がする。
印象として濃く刻まれるシーン多々あり。かの「プリズナーNO.6」に匹敵の秀作かも知れないと予感する。
夢が主題。宇宙への、アウターへの旅ではなくって、人の潜在意識下への、インナー・トリップ。
ちなみに我が初夢は、元旦の午後の昼寝にやってきた。
『あおるように酒を飲む』という"あおる"には、時間の概念が含まれるというコトを、即興で講演しなさいと云われて、かなり多くの人の前で… あんがいスムーズに講演しちゃった… 夢。
目覚めてスグにボクは、
「すげ〜夢だな〜」
さすがに苦笑した。
映画「INCEPTION」では、この夢は実は誰かの夢の中での話しだったり、あるいは複数の人間が関与して同時に見てたりもするというアンバイで、飛翔と沈潜と拡散と収縮がゴチャになってワンサカやってくる…。
明日、もう1度、今度はすっきりした頭で観ようと思う。
傑作かもしれないものを二日酔いで観ちゃいかんと… 反省少し。