ちょっと一息

デジタルミュージアムでの展示作業を終えて「まつや」へ。
前回に呑み過ぎたか、キープしてる"いいちこ"の一升瓶が寂しげだ。
なので、もう一本。
それでさんざん呑んで食い散らし、さてとシメに何ぞをと思ってたらドンピシャなタイミングで女将が、
「ええハモが入ってるで。ニュウメンでどうよ」
と、ニンマリ微笑むのだった。
同行者らは「キャピ♡」な感じで喜色を浮かべるも、ボクはちょっと浮かない顔。
ハモ。
ニュウメン。
実は好みにしない…。
でもま〜、大人だわい。
同行者の喜色に同化して、
「ソレ、行こう」
臆病な羊になる。
でもって、七味たっぷり振りかけて口にした。
そこを見透かしたように女将が笑みつつ、横手にきて、
「美味しいでしょ」
と、いうから返事は1つしかないや。
「うまいわ」
じっさい、思ったより旨い。
呑んでなきゃ普段はけっして自分から進んで口にはしないのだけど、熱いけどもツルリンコなメンにハモの歯触りと淡泊味は… ひどく悪いもんではない。
七味でお汁にメリとハリが出来、かすかな甘みとやや厚めな辛みとが口の中で二艘の舟みたいに、揺れる。
甘い舟と辛い舟が舌の上でクロスする瞬間に、何かが閃くような感覚有り。
気がつくと、お汁も全部平らげて、満足の心持ちが想定外にアップだから我ながら… おかしい。
えらく急速な勢いで食べちゃったもんだから、馴染みなエクボがかわいい店員が、
「ニュウメン、お好きなんですね〜」
これまた微笑した。
「アハッ…」