ちょこっと原稿

6月の3日まで、岡山市デジタルミュージアムの展示室に模型を2つほど、ガラスケースの中に置いているのだけども、
「この模型に関しての原稿を提出せよ」
とのコトゆえ、何枚か書いた。
『岡山びと』という本がある。
当初は『岡山学こと初め』というタイトルだったけど、改題されて今に至る。
今年の発行で通算9冊め。
郷土史(岡山)を主体とした、いわば論文集みたいなもんで、専門を自負する学芸員方々が揚揚執筆される。
体裁は… マッコト、よろしくない。同人誌にしか見えない。
なのだけど、年に1回発行され続けているワケゆえ、プロジェクトとしては早や10年だ。
発行されると売れられもするけど、図書館やら関連施設に配布もされる。

※ 写真は、現在のオリエント美術館の場所に100年前にあった岡山電気軌道(株)の本社と車庫。そのペーパーモデル。
郷土史という枠内にある本は、どうも… 爺さんっぽい人しか読まないというのが傾向としてあって、若い人は… そんな本は手にしないし、存在すら知らない。
かつては、ボクもそうで、
「そんなモノ読めるかい」
いぜんの、
「そんなモノあるんかい」
なのだった。

でも、経年し、春の小川はドンドコ流れ過ぎて、気がつくと、ボクはその爺さんの部類に属する位置にいるのだった。
知らぬうち、そんなモノとは思わぬ年齢になっていて、日常の足元たる場所の過去に興味をおぼえるようになって… 今に至る。
そこ(地元だね)に一等に輝くモノあり… てな鮮烈すらおぼえ、なんでこんなオモチロイ事に今まで気づかなかったのかしら、と今度は逆に、若い頃の自分の浅さを残念に思ったりする。
ともあれ、そ〜んなスタンスに立ってしまえば、『岡山びと』もとても面白く読める。
「へぇ〜、そうだったんかァ」
バックナンバーのページをくって、感歎するコトしきり。
なので極く自然と、この原稿依頼もヤットキタカぐらいな気分でもって… 受け入れたのだった。
……………
で、先夜。
ともあれテキスト書きを含めた作業を終え、関係者9名が一堂に会して、ごくろうさんと酒を呑む。
図書館館長、ミュージアム学芸員、高校教諭、大学教授、プロデューサー、画家。
画家の堀越氏とは初顔合わせながら、『ブレードランナー』やら『2001年』やらと、なにかとウマがあい、ノッてノラれで酒がウマい。
気づくと、またもや、キープの一升瓶がカラっぽだ。
1次会、2次会、3次会。
場所を換えてはネジを巻き直し、呵々喋って、またぞろ笑う。
70〜80年代のフォークやらロックの話になり、誰かがその途中に坪田譲治を持ち出したもんだから、一瞬、全員が、
「そんなフォーク歌手いたっけ?」
真顔で勘違いし、すぐに氷解して、大笑いとなる…。
屈託のない無垢な、こういう瞬間がボクは大好きだ。
知らない話を聞くのも愉しいし、逆に、知らないであろう話をするのも愉しい。
なので金曜の夜はアッとう間に過ぎ、曜日はとっくに変わってる。
さすがにこの頃は、
「なんだ、まだ4時じゃん。次いこ〜よ〜」
とはならないけど。