宇崎竜童さん

ひそかに、ボクは宇崎竜童さんにお会い出来るのを楽しみにしているのだ。
今年のOJF(おかやまジャズフェスティバル)、その10/8のコンサートにやってくるんだ。
……………
宇崎さんのステージをはじめて観たのは、もうだいぶんと前、ボクが大学生の頃だ。
これを書く前に、当時のチケットを探してみたけど出てこない。
だから年月日も館の名も判らないけども、神戸は三ノ宮だった。
サディスティック・ミカ・バンドのコンサートで、そのオープニングアクターとして、ダウンタウン・ブギウギ・バンドが出たんだ。
白いつなぎを着てレイバンのサングラス。
印象として、実はあまりカッコいいとは思わなかった。
自分のお目当ては加藤和彦サディスティック・ミカ・バンドだったし、このバンドのカッコ良さは別格だったから、むしろ、ダウンタウンのそれはださ〜い感触があった。
が、それでも、舞台中央にいる宇崎さんには、視線を反らせない魅力があったんで、ボクの中に"竜童"の名は刻み込まれた。
それから歳月が経つ。
2002年に、映画の中で彼をみた。
「突入せよ!あさま山荘事件」での宇田川警視の役。
サングラスのない彼は実にチャーミングだった。
この映画は、ボクの邦画ベスト10の1本に入る。
監督は原田眞人私見だけど彼の最高傑作と思えて久しい。
原田作品として、ボクは「スターウォーズ」の劇場公開吹き替え版を高く評価してる。
これは、その後のテレビ吹き替え版のショボさとは一線をかすものだった。
同様に、彼の「ガンヘッド」も得点が高い。
セリフがちゃんとは聴こえないという彼のアメリカンな演出が素晴らしく良い。これは「スターウォーズ」吹き替え版にも通じるテーストだ。
ガンヘッド」は映画館で観ていらい、ず〜〜っと観てはいないけど、機会あらば観たい1本だ。
ミッキー・カーチスさんが主役の1人、というのも実にイイではないか。
余談だけど、「ガンヘッド」が封切られてちょっとした頃に、ボクは東宝撮影所に「ゴジラビオランテ」の取材のために出向いたけど、撮影所内の一画の粗大ゴミ置き場に、「ガンヘッド」の諸々の舞台装置が捨てられているのを見て、ちょっと寂しいような哀切をおぼえたもんだった。
ま〜、ともあれ、「突入せよ!あさま山荘事件」は、繰り返し観ても飽きない1本なのだ。
速度と展開、カメラ配置の絶妙、強弱、ユーモア、辛辣… 諸々が実にうまく絡みあっていて、日本映画とは思えない。

当然に音楽も素晴らしい。
この映画で浮き彫りになる警察という仕組み、地方警察と中央のそれ、組織というカタチが造る諸々の人間模様の振幅が、とにかく面白い。
立て籠もった連合赤軍の諸氏を、あえて最後の一瞬にチラリとだけ登場させるコトでの、原田流組織論的見解も垣間見え… そこもまた面白い。
原田監督のメガネに合った役者達が、これまた素晴らしくいい。
警察という組織の話なのだから、当然に大量の役者が出てくるワケだけども、役者個々人がそれぞれのパートを見事に演じていて、それを観るだけでも、高カロリーで申し分ない贅沢なのだ。
その中の一人が宇多田警視役の宇崎竜童さん、だ。
彼が東京本庁から長野の所轄警察署に呼ばれての、最初の会議でのシーンのセリフは、今もって、ボクを何やら鼓舞させる名句、なのだ…。
緊張とせめぎ合いと葛藤が充満しきった会議室での彼の、飄々とした、
「チャチャッとやって、ササッと、帰りましょうや」
は、かつての明治の時代、対ロシアとの緊張でもって半ばの狂乱状態の様相を呈しつつあったらしき日本海軍上層部の作戦室にひょっこり現れた長老格の司令参謀・大山巌(いわお)が、
「今日は戦争でもあるんですかいの〜」
の一語に匹敵する名句におぼえる。
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ともあれ、とにかく、10/8に、その宇崎竜童さんにお会い出来るんだから… ボクは嬉しいのだ。
当日のステージは極めてシンプルなカタチで進行するとは思うけど、良いコンサートになるハズだ。
岡山市に住まっていたり、近隣の方は、ぜひ、いらっしゃいな。
(^_^)