ハサミでチョキリにノリペタリ

10/1から1ヶ月、ミュージアムの展示物となる模型。
昨年に部分展示と講演を行った、明治時代の岡山にあった大型テーマパーク。
その全体模型が今回のワークなのだった。
明治という時代に、ディズニーランドというワケではないけれど、大掛かりなレジャー施設がこの岡山にあったのだ。
ご承知の通り、ボクはノーチラス号に強く惹かれているのだけど、その作者たるジュール・ヴェルヌその人が存命中の頃の施設なのだから、同時代のもの。個人的にもとても興味が深い。
むろん、これは今はもう無い。
今は無いし、記憶も記録も風化しつつあるから、模型で再構築を試みているワケだ。
スケールはおよそ1/150と小さいながらも複数の家屋を造らねばならずで、けっこう… 大変だ。
なにしろ、資料となるものは、部分の家屋の写真(それもややネボけた画像)と、ただ1枚の、当時に配布されていた宣伝用の絵のみ。
その絵と照合しつつ、1軒1軒の性格づけを行い、カタチを決めてった。

そうやって出来上がった家屋達を並べる。
この配置がまた難しい。
僅かに今に残った資料から、この施設の土地の大きさは概ねで判っている。
その土地をスケールダウンして、上記の"絵"と照らして家屋の配置を考える。
それを写真に撮って、また検討し、また配置を絶妙に換えてみる。
これを繰り返す。

"絵"には若干の嘘と誇張がある。それは模型を造ってはじめて判った事なのだけど、2Dではあり得ても、3D化しちゃうと、辻褄が合わないのだ。
その主たるが、家屋の置かれた角度。
配置した僅かな角度差で、全体のカタチがま〜るで違ってくる。
宇宙船が大気圏内に突入する角度が非常に狭いのと同様、ちょっと角度を変えただけで、導かれる結果が大きく違ってくる。
よって、ほんのチョットだけ配置を変えて、全体のイメージを再考するを… 日を変え、繰り返した。
プロジェクトチームが集合して、立ったり座ってみたり、視点を変えては検討を加えてくれる。

もはや、それ以外に置く角度に誤りがないと判じると、今度は、その家屋そのものを修正もする。
時に背丈を変え、時には一間だか一間半だか、縮めたり、伸ばしたりもした…。
そうやって繰り返し繰り返し、数週を経て、何とか、製作プロジェクトの、1つの句読点としてピリオドをうつ。
モノ造りという作業では、どこで終止符を打つかが、絶妙に難しいのだ。
やろうと思えば、いつまでも工作を進められる。
小さな修正を幾重も幾重も重ねるコトが出来る。
けれど、それでは、いつまでも発表出来ない未完成というコトになる。

幸いかな、展示日程は決まっているワケだから、そこに照準を合わせれば、自ずと、フィニッシュの日も決まる。
ノリとハサミを用いる日の最終が決まる。
妥協のそれでは断固なく、締め切りまでに可能なアプローチは詰め込む。
掲載の写真たちは、この製作過程でのヒトコマ。
徐々にフィニッシュに向かっていく状況が、チビリとは、判ると思う。


月末は間近。
締め切りまで後数日。
変更箇所をチェックしつつ、不足を可能なだけ埋めていく…。

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今回製作の模型は、10月1日より岡山シティミュージアム(デジタルミュージアムという呼称が10/1より変わるのだ)で展示され、11月にいったん引っ込められるけど、12月より、また別の、これから作業に入る模型と共に再展示される。
12月には、同ミュージアムで講演も予定されているんで、また後日にそれはアナウンスしますね。