両国で


さてとお台場での『サンダーバード博』まで後ちょっと。
このための"作業場"はスカイツリーから僅か400mの某所。
ここで展示物同士の位置決めやディスプレーボックスの最終サイズを決めたりなのだけど…、聞けば、400m離れていても冬場には、ドサッ! てな音と共に、氷の塊がタワーから落ちてくるそうな…。
落ちるというよりも、飛んで来るワケだ…。
徐々に対策がこうじられて大きな氷塊落下の率は低くなるんだろうけど、や、やだな〜、怖いな〜。
あと、これもボクは体感していないけど… スカイツリーが出来て以来、強風の時にはこの400m付近では、まるでヘリコプターか飛行機が近場にやってきたような"騒音"があるそうな。
有り難くは、ないね〜。


お宿は国技館の真ん前。
朝の5時まえにホテルから抜け出て、周辺をタラタラ歩く。
早朝ゆえ動いている車もほとんどなし。
裏手は隅田川
多数の観覧船が岸で休んでる。
いい感じ。
でも既に、散歩してる人、走っている人アリ。
ネコがいる。
ネコは黙ってこちらを見る。

散歩者は、すれ違いにほぼ必ず、
「おはようございます」
挨拶をかわす。
気持ちがよろしい。
白昼ではまったく気づかなかったけど、早朝の両国では、けっこうネコをみる。
いずれのニャンコも挨拶なしだけど、寄っても逃げず、一瞬、こちらを一瞥するのは皆な同じ。


ホテルの朝食は6時半からだからその時分に戻ってくる。毎度お決まりの、どってコトのないメニューながらバイキングゆえの摂取の自在が、好き。
某日の朝、黒人の男女5人組がものすごい量を食べるのを目撃したから、負けじと、こちらもガンバッてみたけど、たぶん1/4以下だな…。

と、それにしても、食べかけのFood写真というのは美しくないな。でも、自分がこの瞬間に何をチョイスしてどう食べちゃったかの"記録"には… なるね。
ホームズのように推理するまでもなく、すでにパンを1つ食べてるコトがわかる。バターカップを3つも取ってるのが判る。
実際には3つ使わない。なぜか1ケは… 部屋に持ち帰る。
ヤキソバに梅干し、サラダに梅干し(種類が違う梅干し)と… 奇妙な取り合わせながらアンガイこれが美味しかったりする。
ウソだと思うなら、試してください。美食オシャレな方には申し訳ないけど。



国技館すぐ裏手の、江戸東京博物館
つい昨日、この建物の高さが、今はもうない江戸城本丸の高さを模しているのだというコトを知らされた。
ご承知のように江戸城本丸は江戸時代初期に消失して以後、再建造されることなく今に至っているのだけど、もしも現存したなら、かなりのデカサを眼にするコトになったろうな。
と、それにしても、ここの展示物の充実。
住んじゃいたいと思うほど、いい。
広大な江戸の町のディオラマをオペラグラスで眺める仕掛けの素晴らしさ。

強化ガラスの上にのり、床下に埋められた鹿鳴館とその中庭の全域を、鳥の眼で俯瞰できる発想と模型の精妙。

いずれの展示物にもなにか強く発奮させられるトコロがあって、両国界隈の下町的情緒と噛み合って、久しくおぼえなかった"東京の良性"に気づかされる。


サンダーバード博』会場はお台場ゆえ、すべての下ごしらえが完了しちゃえば、この江戸東京博物館スカイツリー界隈からは移動するコトになる。

おかしなハナシだけど、なんだかそれが淋しい。
押井守の映画『ビューティフル・ドリーマー』めく、
「明日は学園祭だからな……」
な、永遠永劫に続く準備の"慌ただしい愉しさ"を、フッと思う。
目的というのは達してしまえば霧のように失せてしまうワケで… なので、目的に向けての準備が繁華でせわしいけども"愉しく"もあるワケだし、そこに最大の電圧がかかってるとも感じるし、その辺りの絶妙な心理を含めた夢描写としての押井作品はだから実に傑作だったな… あらためて思わさせられた。

ともあれ両国。
蕎麦がうまい。
日本酒を、やたら呑みたくなる。
燗? 冷や?
熱燗だろ!
夏場のアチチがよいワケよ。
…といいつつ、無自覚咄嗟にビールをオーダーしてるのだけど、なんかこの頃、よく蕎麦を食べてるな…。
杉浦日向子をまた読んでみたくなる。でも… 彼女の漫画に蕎麦って、出てたかな?
エッセーだかに『ソバ屋で憩う』というのがあったな…。
読んでないけど、いいタイトルだな。