9月になって ~百鬼園百物語~

あんがいと知らないこと、知らされていなかったことが多々あって、近頃、「へっ?」と驚くような按配がしばし。

例えば、英国には憲法がないということ。

積み重ねた先例を元にしての慣習法、というのでかの国は成立しているそうで… 改憲と護憲の対立でぐらついてる我が国とは一線違ってて、それで驚いてる。

その慣習法に基づけば、シリアへの攻撃は是となる感じだけど、議会がそうはさせなかった… ということでさらに驚かされる。

国家には憲法なるものが必需と思い込んでいたもんだから、よけい、この英国のカタチにビックラこいたし… 眼前の事態に流されまいとする見識をもった議員が大勢いるらしきな按配にも驚いた。



実家の庭池のホテイアオイに紫色の花が咲いた。

毎年、ホテイアオイの小さい苗(?)を浮かせてはいたけど、今年のように育ったことがなくって、冬にはまるでなかったように池から姿を消してた。

それが今年は根がよく活着したのが1苗あって、スックスクスク育って、同時に買ったのと比較すると、これまた、「あらま〜」とビックラこくくらいの奢りよう。

そして花が咲いたワケ。

夜明け前に一気に開く蓮の花は高名だけども、ホテイアオイもなかなか…。

きっとこれは、あまりの猛暑ゆえに水温が昂ぶったままに推移した結果とも思えるけど、今年生まれた9匹の紅いベベ着た金魚の子らもスックスクスク育ってる。

なんだかもう3倍から4倍の大きさになっていて、この成長の早さにも驚いてる。

これもまた水温と関係してるんだろか?

ちなみに淡い紫の花は今夕のどしゃ降りな雨にひどく冷却されたか… しおれてしまった。



元よりボクはヘンテコな小説とか読み物を好むタチで、なので怪異なのも好き。

平凡社ライブラリーから『百鬼園百物語』なるのが最近出版されて、妙にカバーアートがいい。

なので、買って、例によってベッドに寝っ転がってページをめくるに、これが予想以上に面白い。

もちろん著者は内田百間
ヒャッケンのケンの字は門がまえに月なんだけど、このブログを読んでらっしゃる環境によっては文字が化ける場合もあるんで、ここではあえて百間と記す。

本来は単発単独のごく短い随筆やら小話だったものを、アンソロジスト東雅夫が"怪異小品集"としてまとめたものだ。

これはなかなか良いお仕事だな、とボクは密かに感嘆した。

アンソロジーを編むには、対象となる作家のいわば全作品を読まないと出来ない仕事だし、どれを選んでどれを捨てるかもまた難しい。

基より東氏はこの方面、わけても"百物語"的に本を編む名人なのじゃあるけれど、百間の書いた膨大なテキストを実にうまく編んでいて、これまた驚いた。

編集にあたってはメチャな御苦労があったろうと思える。

が、なによりも、内田百間をこのように怪異物語の名手としてアンソロジー化させた秀逸にボクは嬉しい驚きをおぼえてる。

阿房列車』のみが百間じゃない。

百間に関しては、ここ数年のボクのテーマと化した明治期の岡山にあった巨大テーマパーク亜公園に連なっているもんだから… よけい興味が濃い。
百鬼園百物語』の中盤、「暗所恐怖」にこの亜公園が出てきて、4層楼と氏は書いているが、これは彼の記憶違い。実際は7層楼だ。
「暗所恐怖」は晩年の頃の作品で、幼い頃の自身を綴ったもの。4階と7階は大違いながら、小説中に出てくるその塔は岡山の中心地ながら小高い丘(岡)に構築されていたから4階であれ7階であれ、百間が感じた"怖さ"にマチガイはない。
今はそこに後楽館高校というのが建っていて、これは昨年春に移校した。そのさい、生徒がいない校舎高層をY先生の案内で見学をさせてもらい、ボクは百間が感じた"怖さ"を窓からちょっとだけ顔を外に出して追体験してる。
何年か前に悦っちゃんから、コミック版の『阿房列車』を借りて読んだ頃には思ってもいなかった、今回のアンソロジーブック。
ちなみに悦っちゃんというのはボクの数少ない女友達で、インファント島で育ってザ・ピーナツの2人と共に日本に見せ物としてやって来たような… 背が小さいヤツなのだが… 態度はでかい。
女性に向けてヤツというのもおかしいが… 態度のでかさはヤツにふさわしい。
数日おきに丸善に出向いちゃ複数冊の本を買い、一気に読んでしまうという、いわゆる活字中毒者の典型なのだけど、ジャンル選ばぬ読みっぷりにはチョットいつも感心するし、時に知らなかった本を教えてもらったりして… 便利。
ジャンル選ばぬと書いたけどムロンに何でも読むワケじゃなく、彼女には彼女のフィルターがあるから、彼女に嫌われる作家もある。
なので実は密かに頑固。その点は百間に似るし、大のネコ好きという点でも似通うけど、今回はボクがこの本の存在を教えてあげよう。
もちろん、まだ読みきっちゃいない。
なんせベッドに寝っ転がっての読書は、甘睡に誘われるもんだからね。全100話を読むには100晩を要すかもなのだ…。
ともあれ、近頃は"怪異"なコト多し。そう思える程にめまぐるしく世の中が移ろってるというコトなんだろうかな、お天気具合も含めて。