本の丘に囲まれて

明治時代に岡山にあった塔についてを調べるために何冊か本を買い込んで拾い読みする内に、参考文献としての他の本が登場するから、自ずと、それも… ひょっとして必要かと思って買いまして、眺める内に、今度は別件ながら、「おや?」と思わさせられる記述にぶつかったりして… それで、その記述関連な本をさらに別途で求めて読んでみると、これがまたオモシロイ。知らなかったコトを知らされて、「あっ」というまのタメゴロウなのだ。


例えば、ボクらは例の9.11でもって高層のビルに飛行機がぶつかっての、その惨事を承知していて、それが最初の事例かと… 勝手に思ったりもしてしまうのだったが、実際には違う。
同じニューヨーク、それもかのエンパイアステートビル

濃い霧に覆われた1945年の7月28日、米軍の爆撃機B-25が進路を誤って、ビルの79階部分に激突。
79階を大破して突き刺ささり、プロペラエンジンの1つはビルを突き抜け、隣の12階建てビル屋上に落下炎上。
もう1つのエンジンは79階部のエレベーターシャフトに突っ込んで、シャフトを落下。折悪しく下降中で2人の女性が乗っていたエレベーター共々に79階から一挙に地階まで落ちて…。
B-25の乗員と79階の人は全員即死。
階下78階は炎上。(左写真)
でも、エレベーター内の2人は、なんと奇蹟的に無事。
という惨事が第2次大戦中にあった事を知って、「あんら〜」となる次第なのだ。


さて、そうなると… B-25とは何かというクエスチョンが湧いてきて、その関連の本なりを探そうという気がさらに湧いてくる。
あるいは、荒れ狂うエンジン共々に落下したエレベーターの箱の中の2人は、なんで助かったのかという疑問も生まれ、そ〜すると、今度はエレベーターの事を調べないとよく判らんぞ… というコトになる。
オリシャ・オーチスという人が考案した落下防止の装置が、ここで威力を発揮したという事が、これは別の本でやっと判ってくる…。
(日本では霞ヶ関ビルがこのオーチス式安全装置を搭載しているらしい)
途中で止まる事は出来なかったけど無数の板バネが落下するハコにブレーキをかけて、2人の婦人を激烈な衝撃から守ったという次第が判ってくる。
79階に居合わせた10人を越える犠牲者は気の毒な限りだけども、それでも爆撃機が衝突しても崩れなかったエンパイアステートビルの堅牢な耐震構造には、いささかあらためてビックリもので、なるほど、キングコングもこの堅牢に大樹を感じたかと… 想像たくましくもなる。
むろん、映画『キングコング』はこの事件よりはるか前の作品だけども。
ビルは堅牢。事故3ヶ月めにして完全復旧して今に至ってるんだから、やはり凄い。

というワケで、本来調べたかった事より広範に眼がうつろってしまって、気づくと、一見じゃ系統だてられないアレやらコレやらの本が幾つかの丘みたいに積まれてるという今日この頃。
本題から外れて波紋みたいに興味が拡がっていくのは困ったコトだけど、でも、オモシロイから留まらない。


その、岡山にかつてあった亜公園/集成閣という塔に派生して、菅原道真の「飛梅伝説」も重要なキーワードなので… これは昨年にある所までは掘り下げていたものの、も少し噛み締めてみようと調べると、ここでもやはり、イモヅル式にアレやらコレやらが出てきてしまい、漢文のチンプンカンブンな記述に難儀しつつも天竺の彼方のアラビア半島にまでたどり着き… とうとう昨日は、アマゾンからバートン版「千夜一夜物語」全11巻が届いて… 白雪姫じゃないけれど、森の中に迷うみたいなアンバイ。
ましてや「千夜一夜」… ちょっとエッチどころじゃない淫靡淫蕩が怪奇と混ざって、森はいっそう肥沃でピンク色。密茂で深く、深くで広くて、こりゃ当分、出られない。

さてと。
11月9日に、岡山市立オリエント美術館で講演します。
詳細は後日にお伝えするとして… 入場は無料だそうですので、お時間あれば、どうぞ〜。
お昼の2時からです。
千夜一夜のようにうまくは紡げませんが、遠い在りし日の岡山の一郭の話をば。