ボワ〜ンとしてる時

メチャンコに忙しいといった素振りをしていても、実際にゃ、けっこうボワ〜ンとしてる時間があるもんだ。
でしょ?
それはきっとどんな仕事においても、そうなんだろうと思うんだけど、たとえばボクの場合は、
ノリが乾くのを待つ… 
といったボワ〜ンな時間が、勘定をするとけっこうあるんだ。
なにしろ貼り合わせてるものが乾かない内には次に進めないんだから、当然にそこを考慮して、その待機時間に別のカッティングとかをやったりもするけども、それでもやはり、過程上、ボワ〜ンとした隙間が生じるのだからオモシロイ。
場合により10分だったり20分くらいだったりするけど、ノリでの貼り合わせは1日1回じゃなくって〜、作業上いっぱいあるんだから、これを連続換算すると、実作業時間は短くて、実体としてはもう… ほとんどボワ〜ンな時間をおくってるワケだ、ボクは。
そういう待合時間を、この頃は本を読んですごすのが多い。
そうでなくとも近場を見続けていると眼がすぐにくたびれて、モノが2重に見えちゃったりするから、小さい文字の文庫本は敬遠させてもらい、なるたけ字がでかい本に接する。
近頃の作家のものとかベストセラーとか話題ボンといったものには興味がまったくわかないけど、半世紀か100年ばかし前に書かれたものにゃ興味がある。
きっとボクのタマシイはその辺りでもって停滞してるんだろう。


最近、これは読んでるんじゃなくって、表紙をただ眺めてる1冊、というのがあって、ボワ〜ンとした時間をさらにボワワ〜ンとさせちゃってはいるのだけど… もう、タイトルからしてコッパズカシイ。
『謎の大陸アトランティス
ふつう、この題名だけでもって、ヒクよね〜。
持ってるのが恥ずかしい… となるよね〜。
でも、持ってたんだよ、そんなのを。
これは文庫本。

昨年末に部屋を掃除してDVDの収納なんぞを再構築してるさい、本棚の奥の奥でベシャリと潰れたようなアンバイで本と本の合間というか、その奥に横たわってた。
自分がこれを買ったのかどうかも記憶にゃないけど、こうして"在る"んだから、買ったには違いない。
奥付に昭和43年とあるから、1968年。
大昔だ。
60年代のSF作家で編集者だったデル・リーの作品。
内容は、もはやど〜でもいい類いの、今となっちゃとても陳腐なストーリー。
だから、コッパズカシイのだけども、奇妙にこの角川文庫の表紙絵は、今のボクを刺激するんだわさ。
100人に聞けば、きっと100人が、なんの関心も寄せないショボな絵… なんじゃあるけど、茶色がかったカラーがセピアな感傷を呼ぶのか、眺めていて不思議と飽きがこない。
というか、この絵はどうしてこ〜もダサっぽいのかと考えたりも出来ちゃうわけで、かといって全否定なワケもない…。
何かがボクを惹きつけている。
潜水艦だからか?
違うな〜。
なんかワケが判らないから… きっとそうやって眺めてしまうんだろう。


こういうのはなかなか難しい。
誰にも、それこそ100人が100人ともに、興味を抱かない性質のものであろうから、そこを思うと… いやはや、こうやってボクは社会との共通言語たる認識と接点を失って、偏屈な、遠方の薄暗い遊星みたいな、存在となってくんだろね〜。
などと、密かに笑う。
(^_^;


で、そう思うと、最近のニュースでの『アンネの日記』を破いてる人の孤独も、なんかちょっと判るんだね。
まこと勝手な自己目的の懸命な達成に自身のいっさいを乗っけてる、その可笑しさと悲しさ。
よもや、この事件が組織的に、たとえば「『アンネの日記』をやぶっちゃう実行委員会」なんて〜カタチで複数の人がやってるワケはないんだ。
もし、そうなら、それは大変じゃないか。
でも、きっと、そうじゃない。これは1個人の仕業でしょう。
報じられたコトで付和雷同でもって真似ちゃった人はあろうけど、報じられることを前提とせず、密やかにアチャコチャの図書館に出向いちゃ、アンネを破いてる人のタマシイは… 政治的心情やらユダヤ史観やらが混ざっていると理屈としては有ろうけども、やはり、その核には深い孤独があるんだろうと思う。
そうすることでしか、彼だか彼女は社会との接点と自身のバランスを取れないんだ。
キジルシで単純にくくってしまいがちだけど、彼だか彼女をそうさせてしまってる孤独… というのが、だから痛ましいし、なんだか判る。
アンネじゃなくって、たとえば団鬼六のSM小説だけが破かれるとかであれば、それはそれでまた違った暗いジョークめくなコトにもなるんだけど… いかんせん、鬼六作品は図書館にはないでしょ、きっと。
もちろん、アンネの本を破いてる人は、「この心情、判ってたまるか!」と反撥するだろうけど、閉塞しきったタマゴの殻の中で喘いでいるのだなと… ボクは、『謎の大陸アトランティス』の表紙絵をボワ〜ッと眺めてるさいの自分もまた1つのタマゴの殻の中で呼吸してるって、その点のみ、同じ土俵にいるのかな… と、判るんだよね。
ぁあああ、人生は重いや。
ともあれ、止した方がいいよ、破くのは。
行動するなら、いっそ勇気と身銭を出して図書館のアンネ本を買い取る、買い占めるくらいな、引き算じゃなくって足し算でもって元気を出したらどうだろ、ね。
それもまたタマゴの殻の中の話じゃあるけれど。


この前、天ぷらとラーメンのことを書いたら、TKOBBというビッグバンドのリーダーW君がメールで、
天満屋前にあったすわきにはかき揚げがのったラーメンがあったよう記憶する」
と、子供時代の事を教えてくれた。
そうなのか〜、あったんか〜、そんなのが。(笑)
情報ありがたや。
で、それって、七味かコショウか、どっちがあうんかな〜。
ううむ。
なのだけど、今日は天ぷらはないんで、ありあわせ。
イチゴ大福があるんだから、イチゴ食パンもあっていいじゃん。
もちろん、バターはないからマーガリン。