赤玉フトン袋

このたび138億年前の宇宙誕生時の重力波が初めて観測された、というニュース。ひどく驚いたりはしないけども、でも、
「ふ〜ん」
ちょっと立ち止まってボ〜ッとしちゃうような感慨は受けたね。
理論というか理屈というか、すでにその存在は予想されていたし、でないと今の宇宙論は成り立たないわけだし、さりとて、宇宙誕生の瞬間というのは、たとえこうして重力波の観測が出来たからといって…、
「うんうん、そうかそうか」
と、大いに納得ウナズキまくるって〜ワケにいかない。
そこがもどかしい。


なぜって、宇宙誕生の瞬間はボクらが知るところの光の速度よりもはるかに早い"速度"で進行して、もちろんこの"速度"という言葉だって、そのことを伝える単位としては通用しなくって… 体系としての私たちの科学の枠組みの外のハナシなのだから、それがもどかしい。
ビックバンを視覚として感じるには夏の夜空での花火くらいしか想起できないけども、花火は空間があって時間があって空気があって火薬があって成立してるから理解出来る。
でもビックバンはその炸裂時まで時間も空間もな〜〜にもない状況で起きちゃって、そもそも何が生じての破裂だったのか、わかってない。
時間もない、空間もない、モノもない、ないない尽くしの無から… おまけにその炸裂の"速度"は光の早さをはるかに越えたもんだったと教えられても、やはり小首を頷かせつつも、根ッコの部分じゃそれを身体の感覚として了解できないから、それで、
「ぅう〜む」
呻くしかない。
コンビニで440円のタバコを買って1000円だしたら、567万円手渡された上で、
「ありがとうございました」
コンビニ店員全員がスッパダカになってクルクル回転しつつ、いっせいに四方に駆け出して、「ハヤシライスに味噌ねりこめて〜♪」と叫んでる… みたいなアホ〜な例えよりも、はるかに了解不明なのが宇宙誕生なんだから、実にもう… 困るわけだ。

先夜、某所で、3/29講演の打ち合わせ。
話は常に脱線する。
電車だからね…。
『赤玉フトン袋』を知らない人が半数いて、ほんの少し年齢が違うと、もう意味不明なアカダマフトンブクロになっちゃうのが… 可笑しくもあり、ひどく考えさせられもする。
これを読んでるあなたは、ご承知ですか、赤玉フトン袋を?
昭和の40年代頃にゃ、これは引っ越しの必需品だったんだよ。


赤玉にボクは今、ビックバンの火球を連想してるけど、もちろん、光速以上の早さで遠方に運ばれるワケもないのがフトン袋。宅急便なんぞはなかった時代のおフトン専用の移送袋だよ。
羽毛布団なんて〜シャレたものはない時代ゆえ、お布団は綿がぎっちり詰まって、重かった〜。
それをば某駅の荷物取扱窓口まで大汗かきつつヨタヨタ運び、重さを測られ、大阪までの運賃を加算され、大阪駅での受け取り日時を指定され… 5日ほど後、今度は大阪駅荷物取扱いの窓口で受け取って、そこからまたヨタヨタと下宿まで背負ってね… カッコ悪いけど仕方ない。
重力感じましたな〜、赤玉フトン袋にゃ。