カバヤ・アーモンドの花

あんがいと身近な道路なのに、過去1度も駆けたことのない道がある。
大原橋横手から旭川沿いに牧山を通って野々口に抜ける道がそうだった。
大原橋の下でカヌーをやってた頃には眼の端っこに映えてはいたけど、そこを車で駆けることは意識しなかった。
こたび、そこを通行してみると… カバヤの横に出ちゃうのね。
おまけにカバヤじゃ桜祭りをやっていた。

桜の時期のみ敷地内を解放。
土曜はあいにくの雨天でいささか寒くもあったけど、けっこう大勢の人。
行列が出来ているので何かと思えば、お菓子がどっちゃり入った袋がたった500円なのだった。

庭園外周にアーモンドが植えられ、桜と同時に花が咲いている。
はじめて眼にしたアーモンドの花。
なかなか、いいね。
アーモンドといえば、グリコが頭をよぎるのでカバヤさんにゃ申し訳ないけど… しかたない。
もはやお菓子の類いを1番に好む年齢でないけど、その昔、キャラメルといえばボクにとってはグリコとカバヤとサイコロ形の赤いやつと白いやつの3つで、なぜか森永は影が薄いピポピポ。

この桜祭りでは工場見学も出来る。
これがまたよろしい。
製造過程を見下ろせる長い見学通路にはショーケースが多々配置され、往年のオマケがずらり。
とても懐かしい「カバヤ文庫」がガラスケース内に並んでるのを見て、ボクはいささか昂奮したね。



いずれも表紙絵がすこぶるいいのだ。
この『十五少年漂流記』などは絶品だよ。
昭和の前期に地方の一私企業が、それもオマケという形でもって総部数にして2500万冊(カバヤのHPにそう記載されてる)も"出版"していたというのは、壮観だし、偉業だな。
このことはもっと顕彰されて、いい。
1冊あたり200ページを越える本。
カバヤ・キャラメルの箱に入った当たり券を数枚集めて応募すればもれなく貰えるという仕掛けながら、全巻にして160冊というんだから、絶句する。
立派な仕事だぞ、ホントにこれは… と思いつつも表紙絵がとにかくいいんだ。
惹かれるぞ、これは。
いまどき、ここまで強い磁力をもった表紙は… あんまりないのじゃないかな…。


ガラスケースに封じられ、それも重ね置きされているからうまく写真に収められなかったけど、下の写真の『赤いくつ』の足の露出なんぞは… 昭和20年代とは思えぬ鮮烈があるな〜。その左横の拳銃を持った少年もイイね。ドキドキさせられる。


で、話ははじめに戻るけど、やや走りにくいこの津山線沿い、川沿いの道にはけっこう桜が植わってた。
もし弁当をつかうなら、カバヤの庭よりいっそこの河川敷が良いかもしれない。
ほとんど人がいないし、車も少ない。
景観のどこにも尖った所がないから、たぶん、すぐに飽きるだろうとも思うけど、棘のない時間と空気もまた必要と思えば、このどこにでもありそうな川あり山ありの景色に… 身を置くのがいいかもだ。
棘は外にもあれば、内にもある。穏やかを学ぶにはいい場所と思えた。

土曜の冷気にやられたか、今日の日曜は朝からハナミズがとまらない。
風邪の初期だろうけど、またこういう時にかぎって常備薬がない。
月曜にかかりつけの医院でなんぞ処方してもらおう。よってこの日曜は1日、引き籠もった。