奇っ怪流しそうめん

流しそうめんの極意は、無我にして夢中。
ゆるゆる上品お淑やかというのではダメなの… だわ。

岡山県北。吉井川源流の1つ、横野の滝。
その滝壺の近場で営業の「もみじ亭」の流しそうめん
樹木に覆われた渓流ゆえ、涼しい場所。
店の看板はひどくチープで雰囲気壊しマスだけど、いつもは行列が出来て時間待ちの人気スポットらしい。けどもこの日は雨が降ったりやんだり。それが幸い、並ばずと席につけた。

だいたい、流しそうめんというのは上流側の人と下流側の人とでは、損得、衛生、明暗はっきりして、ダンコ、川上側じゃないとイケナイじゃんか… と思ってたけど、いざや本番となると、そういう念はトンでいってしまうのだった。
そも、ナガシソウメンというのは何でしょな〜?
ソウメンナガシではいけないのか?
"灯籠流し"はナガシトウロウじゃいかんのか?
うどんじゃダメなのか? 

風流といえばそうだし、アホみたいと思ってしまうとマサにアホ〜ゴトそのものにも思えるし、けどもアホ〜ゴトがすなわち抽象としての風流といえなくもない。
必ずしも美味しいもんじゃない。肥育目的で工場化されたベルトコンベア的装置の中で懸命にエサついばむ鶏に似させられる気もするし、いや、そうじゃなくって、こういう食も面白うござろう… なアート感混ざった風雅かもが… 入れ替わりブレるように脳裏を左右する。
つい、そんなことを考えると何だか滑稽極まりない食の光景に思えだし、そこに参加する己のが身が痛ましくもなる。
が、上記の通り、痛ましい自分をおぼえるのは一瞬なのであって、とにかくも、流れくる白いツルツルな糸筋を摘まみとるのに夢中になっていくのだから、おかしなもんだ。
というか、夢中にならない限り… 麺はすくえない。
お箸のさばきに技巧をこらし、ちょっとガツガツしださないと、ローカル駅のホーム前を猛速で通過する特急電車みたいに麺は瞬時に流れさる。

冷水流れる傾斜配置された竹の端にザルが置かれているから、取り逃がした麺はそこに貯まって後ですぐに食べられるのだけど… それはまったく面白くない。
(こたびは2人前を注文で流してもらったけど、貯まったそれ見て愕然。4人前くらいある… ほとんどすくえてないじゃん! なるほど人気スポットな理由の1つはこのハンパでない量だろう。掴んだ分と貯まった分を合算すると5〜6人前くらいが流れたことになる)
よって、流れ来るのをどう素早くキャッチし、どう多く掴むかが、この"ゲーム"の醍醐味。
流れは際めて速く、しかも不意打ちでやってくるから、その瞬間を映そうとシャッターを切っても、このように… ピンも合わない慌てショットでダメ子ちゃん。

カメラなんぞは放り出し、無我にして夢中がやはり王道だわと気づかにゃいかん。
いっそ、流しそうめんはスポーツだと思った方がビシリと決まる。
ウィンブルトン並に上下とも白を着用で挑むがいい。下着までとは言わない。
俊敏な動きのさなか、いかに麺つゆを衣服に飛ばさぬかも、ここは得点のうち。
そこを思うと、ザルで取り逃しを回収してもらえない方が、よりイイのじゃなかろうか。
掴みそこねたら、それまで。
あくまで一期一会なそうめんとの出会い。
常時流れてるワケじゃなく、間欠泉みたいにインターバルあっての複数回の白糸の流れ。いざや水流と勝負の心意気こそが、華。
その昔、
「急いで口で吸え」
スネークマン・ショーも指摘していたじゃないか。


今回はジャズフェスの仲間3人との小旅行。滝の横手には龍神宮なる神さんが祀られてたから、今年10月のジャズイベント成功を祈って3人で祈願…。
って、嘘です。
祈りませんな〜。
ただチョックら、イベント当日に雨が降りませんよ〜にとは思ったけど、ここじゃ願っても… 
水に流されそうで。

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ジャズフェスのイベント(10/4と10/11)をガッツリ載せております。