山椒魚もかなしんだ

先夜みた夢。
自転車で角を曲がりかけたらタイヤのチューブが外れたんだ。
チューブ、がですぞ。
それで自転車をひっくり返し、すなわちサドル部分を地面に着けて車輪側を宙にさせ、ゴムタイヤの中にそれを戻す作業を"平然と"おこなった。
近くの黒い壁の家の窓があいて親切そうなおばさんが顔を出し、空気入れの場所を教えてくれる。
治した自転車にそれで空気を入れてたらおばさんとその亭主が出て来て、手伝おうといい、亭主は我が自転車のスポークに触れ、「ホィールのアライメントがとれてないね〜」とちょっと苦言する…。
ボクは自称は自転車乗りのつもりなので、恥をおぼえ、なぜか英語で「シェーム・シェーム・シェーム」とつぶやく。
で、夢から覚めて… タイヤはホィールにちゃんとくっついてるのに中のチューブだけが、どうやって外れ、どうやって治したんだかが… ワカンナイ。
なのでちょっと、辻褄あわなくても成立しちゃってるサイエンス・フィクション
SFだ。
夢のさなかには、この事にまったく気づいてなかったんで余計おかしかった。


で。その翌日。
夕刻より某ミュージアムがらみの会合。自転車でゴ〜。
予定時間より早く行動したので友人カップルの住まうマンションのエントランス前の庭園でちょっと休憩。汗が引くのをまったりもして、準備も万端。
チューブだけが外れるといったコトは起きたりしない。
なぜか写真を撮りたくなって… 自転車をパチリ。ル・コルビュジェとは云わないけどヨーロッパ・モダンな雰囲気を切り取れたかな… と思ったら郵便配達バイクが映ってら。


いつもの店での飲食有りの会合。
今回はS大学とNS女子大の建築系先生方も合流で賑やかニギヤカ。チャカポコチャカポコ♪
幾つか教えを乞い、幾つか決めるべきを決め、次の講演日程から逆算して調べ物が増したナ〜、いったい何冊の本に新たにあたらなきゃイカンのか、と肩のこる重力増加を憶えつつも… いざや2次会。
1次会2次会ともに魚づくし。さっぱり有りむっちり有り。ワサビの風味で酒もすすむ。幸せ。

が。
ハッピ〜ブラボ〜はそこまで。
皆なとお別れして自転車押して、ちょっとした階段をズダダッと下りたのがまずかった。
見るや、チェ〜ンが… はずれてら。
こんなもの… たいがいはその場で治るもんだ。
こたびもそうだと両手の指でギアにはめようとする… んだけど、
「あれっ?」
何がどうしたのかメチャに絡まって、"ほどけない"。
ここまで絡んでしまったチェーンというのは見たことなし。
すでにとっくに日付けも代わった真夜中。工具を持ち歩いてるワケもないし、手はチェーンの油でマックロクロスケで携帯電話なんぞにも触れやしない。
懇意なBARの軒先まで自転車を引きずって行き、せめて手を洗おうと思ったけども、あいにくもう店は閉まってる。
やや明るい場所に移動して再チャレンジするも、手におえない。
ああッ。
やむなし… ブレーキケーブルを外し、トボトボ押して帰る。
通常30分で走行出来る距離を1時間半歩き、怒濤のように汗を噴きこぼしつつ。

金属とはいえ1本のワッカ。一見、修復容易に思えるけど… そうでない。絡んでしまったアヤトリ糸。偶然がもたらす結果は恐ろしい。
「まさか、こんなコトになろうとは」
と、近頃よく聞くセリフが口に出る。
翌日。
結局、あまりの絡みように… チェーンカッターを使用。ピンを抜いていったん切断で再装着。

自転車をひっくり返しての作業に、
「あれは… 近似の正夢だったか?」
かなしんだ。

けれどしかし。よくよく確認するにチェーンそのものがかなり傷んでるよう思える。眼でクッキリとブレがあるガタがあるとは見分けがつかないけど、このプジョーは購入以来ただの一度もチェーン交換していない…。チェーン全体がくたびれた感じがする。
作業中断。一考し、新品に換えることとする。
またも雨。
買いに出るのも億劫ゆえ… アマゾンでシマノ製をポチ。