台風一過でボン・ボワイヤージ

月曜の台風のさなか、陽が落ちる前、長靴はいて傘さして近所のコンビニエンスにシガレットを買いに出たら、傘が風で裂けちゃった。
たぶん、19号がこの岡山で1番にパワフルだった頃合いだったんだろう。
おかげで全身ビショ濡れ。
けども9時間ばかり経った朝の3時過ぎには、もう雨もなく風もなく、静かで、南天には眩いサバ色をした月と、その下方にはこれまた眩くオリオンが位置してる。
台風一過とはいうけれど、数時間前の傘の破壊とこの静穏の差は、何か壮烈なジョークを浴びたようだった。

土曜の下石井公園でのジャズフェス『JAZZ UNDER THE SKY VOL.3』は19号到来の直前ギリギリセーフで開催でき、これはラッキ〜。
1600人くらいな方々がつめかけてくれて、盛況が際立った。
本来はうちを含めて3つの主催団体が3日間使う予定だった特設の大型ステージは、台風被害と事故を熟慮して、初日のジャズフェスが済むや… 解体されてった。
3日間を想定して作られた大きなステージが、たった1回1日限りのオンステージをこなしただけで跡形もなく解体されていくんだから… これもまた、ジョークみたいな感がする。

ジョーク次いでだ… ステージ終了後の遅い時間、ライブハウスMO:GLAを借り切っての打ち上げでくだらないコトをしゃべるワタシ。
奥側帽子の人がつのだ☆ひろ。その横にヴァイオリニストの牧山純子さんがいて、その手前、背中の露出は矢野沙織さん。左端の青いシャツは矢幅歩さん。
ジャズ・アンダー・ザ・スカイの名にふさわしい、よい野外コンサートを彩った面々。
空席のように見える赤いシートは… 座ってた連中がそこいらでシガレットを吸ってるため…。

でも、台風一過は、何かどこか、"さっき"までが嘘だったような変テコリンな感じがして、可笑しみさえ込み上がる。
強烈さと清廉静寂さの両者を自在に振る舞う自然は、やはりスゴイとしかいいようもない。
お釈迦を侮蔑して觔斗雲(きんとうん)で逃走を企てた悟空が、けども数千里を飛んだと思いきや、釈迦の手中を僅かに遁走しただけという、苦い、スケール違いに遭遇した逸話を思い出す。
19号到来直前のこのイベントがどこか遠い日のことに思える。


さてと気分一新。ジャズフェスの荷をおろし、今度はこの20日から11月26日までの播州赤穂駅での模型展示。
赤穂線沿線の今はない鉄路を紹介するとかで… 岡山からは番町線がチョイスされた。
番町線はかつては軽便の西大寺鉄道にリンクされ、西大寺から兵庫は赤穂にリンクされていたという図式。
台風一過でボン・ボワイヤージ。
展示は駅内のショールームゆえ、台風到来で中止という次第にゃならない… だろう、たぶん。