予行演習

最初に知った4字熟語は「予行演習」だと思う。
小学2年か3年… 運動会の1週間ほど前に、まだ習っていない漢字含みのそれが黒板に書かれたのがファースト・コンタクトだったよう思う。
それを"ヨコウエンシュウ"と読むことを知り、また事実、その翌日だかに、行進やら、整列をさせられて、前ェ〜ならえ〜だの、右むけ〜右、などを演習させられたのだったから、この4字は以後久しく運動会と結ばれた。
同時に、漢字4つで、何事かがハッキリ意味されるというコトに、妙にボクは感心をしたもんだ。
ウンドウカイは漢字3つだけど、ヨコウエンシュウは4つもあるクセに組み体操みたいに崩れず、いっそ、カッチリした綺麗さも感じて… 突然、巨大な魚を釣り上げてしまったみたいな、タジタジと慌てるような、ボクにとっては未知との遭遇… というアンバイなのだった。
いささかノ〜ミソの電圧が弱くって知恵が遅れていたのだろう、以後しばし、おバカの1つ覚え、よく口にしたり、帳面の端っこにこっそり書いてみたりして… えらく利口になったと、ニヤッと北叟笑んだりした。



ちょうどその頃、弟が自転車に乗るというコトで、補助輪がついた自転車が家にやって来たから、
「ヨコウエンシュウするんで」
炯々として申したら、
「レンシュウ」
そう母に否定されたもんだから、なんだかマザ〜はモノを知らんなァと無知をなげき、また同時に、レンシュウに敵意を抱いて、妙にムキになってさらにヨコウエンシュウヨコウエンシュウを繰り返したら、
「ええかげんにしんちゃい」
と叱られて、遣り場のない悲しみをおぼえたりした。
(ちなみに、シンチャイは津山方言だからね。どうぞよろしく)



篆書体(てんしょたい)の予行演習。こりゃ読めんわ。




それから何10年も経った… 昨日の午後。
山留の社長と、予行演習した。
きたる27日の、雑誌「OSERA」主催「まち歩き・天神山界隈」のための、主たるは時間計測を目的にした現地での演習。
神町に住まう氏が全般を解説し、ボクは部分を担うという割当で、大勢を引率するが目的。
右・ひだり・右・ひだり、と足を揃える必要もないけど、県立美術館をスタートして、ポイントごとにとまってはベチャベチャしゃべっては、時間をば掌握。
そうやって界隈を反時計廻りで2時間。
駆けもせず、玉入れもないけど、久々のヨコウエンシュウ感覚を味わえて、妙な懐かしみをおぼえたんで、こんな一文をば。


ちなみに、イチバンに、気にしている4字熟語は、
「玩物喪志」
これをば肝に銘じてるつもりが、いつもMONOに惑わされるゆえ。
むべなるかな…。



日本マクドナルドが、たぶんに今、この「玩物喪志」にあてはまるようで悲哀あり。
品名を公募して決定したのが、
北のいいとこ牛っとバーガー
って、そりゃ〜ないでしょうが。
日本に同化しようとするから、いけない。
いっそ、コストコみたいに、徹底して「ウチはアメリカよ」と、プライドを誇示すりゃいいものを。
同化は不要。廊下は走らない。
いっそ、全国津々浦々の店頭に2人ほど米国籍の人を置いて、徹底して英語のみの対応。アメリカンジョークで客をオドオドさせるくらい… やりゃ〜いいのだ。
日本人の弱点をつきゃ〜いい。
ブラック企業に堕ちるより、徹底した黒船たれだ。
そうすりゃクール度増加、テキサスなまりのヤンキー嬢と会話して、ちゃ〜んとビッグマックが買えてるワタクシ〜ってどう、見てよ〜ん、なアンバイな方々が、ガラス張りの席に座って誇らしげにバニラ・シェークを啜るであろう。



メチャなウナギノボリの回復なんざ〜目指さなくていい。
要は、同化しない事で日本の津々浦々でのマクドナルドの定住安定という逆説的展開だ。
と、これは、"隠れマクド・フアン"としてのボクの夢想的エール。
ヨコウエンシュウが思わぬ記述に変じて、また脱線したな。
むべなるかな… 色即是空