ブタブタ子ブタ…


近頃、「ブタブタ子ブタ…♪」のメロディと唄が念頭を離れない。
自転車にのっかってる時とか、湯につかっている時とか、工作中の模型のノリが乾く合間の、ほんのチョットした空隙に、この唄が出て来る。
云うまでもなくエースコックのワンタンメンのTV-CM曲。
たいそう愛らしい唄。


けども、いまYouTubeなどに観る当時のCM映像は、まったく記憶しない。
湧くのは、ただ、その歌のみ。



エースコックのワンタンメンは高校時代からの常食というか、今となってはもはや"実にラブリー"と云ってよい、なが〜〜い付き合いとなった親近のモノ。
ワンタンなるものをこのインスタントで知り、久しく親しみ、後にどこかのラーメン屋ではじめてホンモノのワンタン入りの麺を食べたさい、
「これ、違うんでね〜の?」
強い違和感をホンモノの方に持ってしまったくらいに、馴染んで馴染んで馴染みきったのが、エースコックのワンタンメン… なのだった。
(昨年、パッケージのその子ブタ印のマークがリニューアルされてしまってボクは密かにガッカリしたけど)



しかし、悲しや、近頃のインスタントは5食で1パッケージ。
ごくごく近場のスーパーのプラッツでは、これをバラ売りしていないんで… 買う気がないのだった。
というより買えないのだった。
夫妻と子供複数といった家族総出でなら、そりゃネダン的にはリーズナブルかも知れないが、家族総出でインスタント・ラーメンを喰らってる図というのは、いかにも貧乏じゃないかしら… などと苦笑しつつ、インスタント・ラーメンというのは、ボクにとってはごくごく個人的"パーソナルな食の営み"の中にあるものなのだ。
なので、5食を在庫している自分というのはカッコ悪いんだ。
ボクは常態的にサバ缶をアレコレと在庫してるけど、それとコレは違うんだな…。自分のスタイルとして… それはまったく違うんだ。だから5食入りは断固買わない。


ま〜、そんなことはどうでもヨロシイ。
いま、問題なのは、なぜにこうも、
「ブタブタ子ブタ、こいつに決めた、ブ〜!」
なる歌詞とメロディがアタマをよぎるのか… だ。


歌詞そのものからは、子ブタに決めたのか、子ブタが決めたのか… そこがアイマイなのだった。
なるほどYouTubeの幾つかの映像を観るに、"子ブタがエースコックのワンタンメンを撰んだ"という図式が、ほぼ正解であろう。
「ブタブタ子ブタ、おなかがすいた」
唄の出だしはそうはじまって、そのあと、「こいつに決めた」なのだ。
でも、そうであろうけど… なんだか、ボクの念頭を離れないのは、子ブタの主観としての歌詞ではなく、子ブタを見ていて、やがて確定的に決めた自分の子ブタへの思い…、
「こいつに決めた」
なのだった。



もはや、エースコックもワンタンメンもどうでもよく、ただその小気味よいメロディと歌詞による増幅効果としての… 募る恋愛的慕情… という感じの方が濃いのだった。
だから… いま、こうしてアタマの中でその歌詞とメロディが鳴っている… んだろう。
しかし、具体な恋愛的希望があるワケでもない。
「ブタブタ子ブタ…」の反復にただ揺さぶられ、波の繰り返しみたいな永遠感覚が兆しているだけ… かもしれない。
ふむ…。