修復作業と改造工作


岡山シティミュージアムでの、坪田譲治の『びわのみ文庫』模型の展示期間が大幅に伸び、次の企画展が入る7月2日まで延長展示がきまった。
この模型に…、人気があるというワケじゃ〜ない。
グギッ。
しかし好評ではあるようだ。
子供が触って模型の部分が破壊されるという"事故"も、おきた。
ダヴィンチの作品だったら騒動どころじゃない大問題。
拙い模型と偉大な先人を同列に置くのは何だけど、ミュージアムで展示品が破損というのは、ダンコ、あってはイケナイこと。



私設とはいえ図書館模型。その解放された空気感をダイレクトに味わってもらお〜と、あえてショーケースに入れずの展示が災いしたのだけど、ま〜、生じたコトはしかたない。
万全な保全を考え展示していたものの…、子供のふるまいは大人の考えを時にはるかに越えて奔放突飛。
強いていえば、子供が他の展示物でなくそれに触れようとしたのは…、何か示唆されるトコロがないわけでもない。要は、子供が興味を抱いたワケで。
ちなみに、この模型をのせているテーブルは、坪田が同文庫で愛用していたもの。これも展示物の1つ。というより…、これにこそ価値あり。
下写真は同文庫入口のホンモノ。アクリル系素材は当時(昭和30年代)かなり珍しかったのじゃないかしら…、近寄ってみるとタダの浮き彫りでないことがよく判る、よ。



※ これもミュージアムで展示中です。


開館中の某日の夕刻、修復作業。
ともあれ、カタチとしての提示が坪田を知る1つの手がかりという次第が、期間延長というワケなんだろう。
嬉しく思う。
ボクの見知らないヒトの一瞥の中にチラリと同模型が映えりゃ〜、それでいい。
今、坪田譲治を読むヒトはほとんどいないだろうし…、ボクとてごく僅かを読んだに過ぎない。
だから余計、そのチラリの中に、
坪田譲治って作家ッ、そんなトコもあったのね」
彼の私設児童図書館びわのみ文庫』をフイルターにしての知見を少しでよいから沁ませて興味の色を濃くして欲しい…。
そう願う。



※ 修理完了でまた坪田のテーブルに取りあえず復帰させるの図。
背景に映る本や諸々はすべて坪田の「びわのみ文庫」にあったホンモノ。
見学してね。(^_-)
ちなみ次いでに云うけど、展示の中に、坪田宛の川端康成の書状がある。何かの御礼状なんだけど、今のメール時代でない手紙の真髄を見るようで…、ボクは感嘆しましたがや。


………………………


さてと。
改造改装にこそ妙味のデアゴスティーニのミレニアム・ファルコン。
4ヶ月ぶりにパーツに触れ、ちょっと作業を進めたので…、進捗記録をかねて1筆する。
今回はコクピット周辺を造る。

ペーパーモデルに特化した仕事をながく続けていたから、他素材は懐かしく、かつ面倒。
改造を前提にすると余計にメンドイワ〜がひろがる。
それが4ヶ月放ったらかしの理由じゃないけど、コレに関しちゃ純然なホビー。なかなか時間がとれなかったというダケ。
お楽しみモードで造る模型は久々なもんで、メンドイ輪ァの直径を拡げつつ、改造妄想の愉悦もまた拡大。
西田哲学的な…、この二律背反な情感の悶えと萌えこそが…、模型。



久しくリューターを使っていなかったから電源部がダメになっていたようで、やむなくその部分を買い換え。
ネクターが特殊形状なので流用がきかない。余計な出費…。
仕方ない。この工具なくしては前進出来ない部分もある。
たとえばコクピット通路下部の傷跡モールド。
『帝國の逆襲』で小惑星帯での逃走劇中に傷がついたという設定で、撮影用モデルにはこの傷跡があるけど、映画の中じゃ直接には出てこない。しかし、このデアゴスティーニ模型はそこをしっかりモールドしている。
けども、いかにもマシンで造型しましたの凹みモールド。おまけに黒く塗ってんの…。



これはダメ。
色を落とし、ポリパテで埋め戻し、リューターで再構築。
ぶつけて凹んじゃった的なカタチに変え、下地塗料をスプレー。
汚し塗装はまだヤラナイ。



肝心のコクピット部分。
数ヶ月前にパーツを眺めたさい、「あれ?」と思い、「ま〜イイカぁ」と無視のつもりだったけど、数ヶ月時間が経つと、「ガマン出来んなァ」なレベル上昇をみる。
1も2もなく、キットの顔たる部分。
映画でおぼえ知り記憶に刷られたカタチと、この模型とでは、印象がひどく違う。
ずいぶんに間延びした馬面。
同スケールの撮影用プロップ写真と見比べると、馬顔の正体が明確になる。
円錐部が長すぎ、そのためにフタ部分の円幅が狭い。これが元凶だ。
また、窓枠が長すぎ細すぎ…。ディティールも違う。



※ キットの形状。顔がなが〜い…


曲線部分だから面倒だけど… 馬の顔を本来のオトコマエにするには、修正するしか手がない。
全長を縮め、円錐角を広くするのは至難ゆえ、それはガマンし、眼にあまるダメ部分を切除、プラ版とポリパテで整形手術。
『帝國の逆襲』で使用されたマット画を参考に、肉厚でオモチャっぽいピラーも変更。フロント風防部も同様に若干加工。
いささかゴマカシぎみの作業。とある角度から見るとオッケ〜だけど、正面から見ると変わってないじゃ〜ん、…なんだけど、ま〜、しかたない。



※ 改造中



映画の背景として使われたマット画(部分)


しかし… この手の作業のための素材を久しく扱ったことがなかったけど、こたび、プラ板1枚買うのに苦労した。
近隣に模型を扱う店は何軒かあっても、ガンダム系なそれに品が特化して、タミヤの工作素材の品揃いがとっても悪いのは… 悲しい。
下地塗料とした同社のスプレー(インシグニア・ホワイト)を置いてる店は1軒もない。
やむなくもアマゾンで通販というていたらく。
地方都市での模型環境はキビシイね〜。



コクピットそばの外周。『帝國の逆襲』のみに登場の赤いランプ。
上の写真、亡きキャリー・フィッシャーの背景の実寸プロップでも2燈の明かりが見える。
デアゴスティーニ模型は同映画で使われた撮影用模型を同サイズで再現という次第なのだから、この赤ランプは無視できない。
何のためのライトなのかは不明なれど、そ〜なってるんであえて準じる。
ドリルで穴開け、極小のLEDを探して購入。仕込む。
買ったのは鉛筆の先っちょ以下のサイズ。
あまりに小さく難儀したけど、かつて模型工作の電飾といえばムギ球しかなかった頃を思うとウンデンの差。



※ 米粒以下のサイズなれど、かなりの光量をだすLED



※ このように…、光るワケだ


外装の小パーツはまだ取り付けず、概ねでの塗り分け塗装を施す。




※ 映画用プロップ



※ 改造中の模型


これでとりあえずコクピット部外装の作業を終え、次ぎに内装にと向かう。
以下、続く。