台風通過中 ~緑と蝉とトマト~


夏の庭は、ただの1日で土が乾くので水やりをかかせない。面倒だけどしかたない。
しかし本日は台風5号が通過中、ホースを引き出す必要がない。
降雨は助かる。
毎度、台風のたびに警戒はするのだけど、この岡山、わけても南部では、拍子抜けた感を味わう事が多い。
隣県で被害有りといったニュースがあっても、岡山では「外れ」をひいて、風もさほどでなく、雨も同様…、といったアンバイ。
こたびも「外れ」のよう。
ま〜、だから逆に本気の襲来を受けたら、日頃の備えが薄い分、被害甚大という事になるかもしれないけど、しかし、無料散布のお湿りはともかくありがたい。




↑ 今朝撮影。濡れたパッションフルーツの葉。


というワケで庭の話。


昔々の忍者の修行には毎朝なんかの植物の上を飛び越える…、という笑いバナシめいたエピソードがあったと思うけど、夏の植物を見ていると何だか、笑えない。
とにかく成長が著しい。

昨年に苗を買って初めて植えたイチジクが、1年で、というよりこの夏で、もう買った時の12倍くらいに枝葉を拡げてる。
毎日確実に、棒高跳びだかの選手めく越えるべき高さと幅が拡大するんだから、夏の忍者は大変だ。忍者の家に生まれなくてよかった…、と怠惰なボクは安堵する。



見るに、小さな突起めいたモノも生じてる。
実だ。
子供のオチンチン的なふくらみに微笑むけど、これが立派になっていくかと思うと、こっ恥ずかしいような感を3パーセントほど含めつつ、大きくなれよオチンチン。期待もまたデッカクなる。



さらに数日が経っての早朝。
小っこいのが、早やも〜、下写真の通り、プックリ膨れてきてる。
早いのなんの…。



庭木としてイチジクを植えるなんて…、と元気な頃のオフクロはよく口にしていたけど、彼女は今や足腰弱って庭に出られないので、シメシメシメ。
オフクロがかつて"支配"した庭はもう数年前より、我が好き放題。
アタマはしっかりしてるオフクロさんにはイチジクが植わってるコトなんか、もちろん告げない。
親子の継承と断絶がここに物語られるワケだ。
…などと大袈裟に云ってるけど、実体はメチャンコ小さなスペースの話。



けれどその極小の端っこでスッカリ大きくなった金木犀に蝉が居つき、この夏も、朝はどえらい高周波にくるまれ、そばで聴くと、もはや笑っちゃうレベルの大音量を発してる。
今年は特に大発生で20匹以上かしら。1本の木を家にするには過密とみえ、数メートル離れたユスラウメに引っ越したのも複数いる。
日本人は少子高齢化が進行でやがて破綻しそうな雲行きながら、蝉界はそうでない。個体としては短き一夏の命ながら、次世代を作ろうと…、一斉蜂起で鳴き続ける。
2本の木に別れてのステレオ・サウンド。夏のベンチャーズ
ボクが悪さをしないと判ってるのか、数センチの距離にまで接近しても鳴きやまない。
セミが面白いのは、夕刻に庭木に水をまくさい、迂闊に水をかけようもんなら、途端、
「グギャ〜! ギャギャ〜!!」
激昂して大声で抗議すること。
昆虫界イチバン、だんとつトップの怒りんボ〜ではなかろうか。



しかし怒りのホコサキをどこに向けてよいのかまでは判らんようで、バタバタ羽音させて大慌てで数メートルを移動するのみ。
ま〜、そこが蝉の蝉たるトコロ。人間のように、
「やめろ〜〜!」
「水を〜〜、かけるな〜〜ぁ!」
国会前で一斉に抗議デモするほどにまだ進化しない。
惜しい。
むろん、『ウルトラQ』で"せみ人間"、『ウルトラマン』で”バルタン星人"と変容するほどの進化も困るけど。



※ 『ウルトラQ』16話「ガラモンの逆襲」より

※ 『ウルトラマン』2話「侵略者を撃て」より


蝉の怒声はさておき、トマトもよく実ってる。
チョイ水っぽい滋味ながら、毎日トマト…、を味わえる。
飽食ぎみ。



ま〜、ホントは、
「ひぇ〜」
ってなホドに酸味があってヤヤ硬いのを口にしたいのだけど、今は「甘味」が流行ってしまい、買える苗すべて"品種改良"の甘口。
昔の滋味は味わえない。
なんでもかんでも口当たり良くって甘味あるモノが売れる世の中らしいが、ホントはかなり…、うれしくない。
トマトの酸っぱさを、もいちど、味わいたいね。
子供の頃には塩をかけて囓ったりしたもんだ。塩が酸味を緩和するのか、そこのカガクは知らないけども、美味かった。
子供が率先してトマトを食べてたワケはない。美味かったと書いたけど…、むしろ、しかたなしに喰ってたというのが正しい。
(時にトマトはオヤツだったりした…)
でも塩をかけると食べられちゃうのが不思議だった。いや、も少し考察するに…、塩とトマトの親和が不思議ゆえ、もうひと囓りヒトカジリと繰り返したような気もする。
それを今、口に出来ない…。
再会したい夏の味だな。



本朝撮りたて。雨の中のトマト。



こちらも今朝の様子、ミニトマト
ちなみに、蝉は降雨中は鳴かない。けどもチョットやんだりすると途端、1本調子で歌いだす。