マジかなミステリーツアー

 土佐の高知へツアーした。

 お仲間総勢7名予定だったけど1名が風邪でダウン。6人にて1台のハイブリッド・ワゴンでゴ~。

 ボクを含めミュージシャンはいない。けども気分の数パーセントを、あえてバンド仲間との旅と思うことにしたら……、ちょっと光景が違ってみえ、オモチロイ。

 

 この夏だったか、エアロスミスがまだ売れてない頃に彼らが使ってたツアー・バス(バンだけど)がどこかの山奥だかのゴミ捨場で見つかったというニュースがあった。

 この前観た「ボヘミアン・ラプソディー」でも、4人がツアーで使ってたバンを売っぱらうというシーンがあった。

 バンドにとってツアーは大事。というか日常。

 演奏時間なんてしれてらぁ、大半の時間は車での移動に費やされたはず。

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 映画『マジカル・ミステリー・ツアー』はビートル4名のツアー中の妄想を点描めいた”絵”にしたに過ぎないし、だからこそワケ判んなくてハチャメチャに面白いのだし、ポールのウイングスの頃の「バンド・オン・ザ・ラン」とてもツアーが歌われてるワケじゃないけど、ツアー込みのバンドを念頭にした歌だったには、違いない。

 レイ・チャールズの生涯を描いてアカデミー賞をとった『レイ』でも、彼のミュージシャンとしての前半生は、そのツーリストとしての、いわばステーション・トゥ・ステーションの繰り返しであったことが描かれてたよね。

 

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 バンドにとってツアーとその道中は、実に大きなインパクトあるものだったろうと思うし、そういう旅から旅とは、どんなものだろう? 常々にそのさいの彼らミュージシャンの気分の振幅が気になる。

 バンドの旅は、「漂白の旅」でも「自己発見の旅」でもあろうはずがない。

 旅の先にお宝も発見もなく、ツアーは、バンドを見せるためなんだから、お宝はバンドそのものだと思えば、旅の様相はガラリ逆転している。

 見に行くんじゃなく、自分らで運転して見せに行く旅というのは、そこいらのツアーと根本が違う……。

 

バンド・オン・ザ・ラン

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 こたびの土佐行きツアー道中は、こっそり1人で、そんなバンドの移動を念頭に浮かせつつじゃあったけど、向かう先で演奏しなきゃいけないワケでなく、時間の制約があるワケでなく、ま~、楽勝だぁ、憂鬱なんかカケラもないからシミュレーションにもなりゃしないし、ただも~、ひたすらに、行き当たりばったりで、た・の・し・い、のだった。

 

 久々の高知界隈は多少に景観が変わってた。新たな道の駅が出来ていたりもする。

 けど、海を見下ろす丘の上の黒潮本陣はあいかわらず。

 超がつくほど苦手だったカツオのたたき。けども唯一ボクが食べられるのは、この場所でのワラ焼きの加減具合とその清涼な空気が下味だ。

 

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 こたびのツアーでドライバー役に終始してくれたkosakaちゃんと、故マ~ちゃん、Eッちゃんがそこを是正してくれたのは、も~ダイブンと前。

 この時期は下りガツオ。トロ鰹ともいうらしいが、久しぶりゆえ余計うまかっチャン。アッという間にペロリ。

 

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 食べつつ、『マジカル・ミステリー・ツアー』の中、ジョン・レノンがケタケタ笑いつつメチャなことになるスパゲティの大テンコモリのシーンを思い出しもした。

 眼下の洋上には白波が立っていなく、なんだか瀬戸内の海みたい。

 荒ぶる海の土佐でない。妙に穏やかで、逆説的にもの足りない。

 

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 黒潮本陣近くの久礼(くれ)市場には、「津波避難所」が出来ていた。

 そのために周辺の景観が変わってしまっているけれど、これはこれで1つのランドマークと思わねば仕方ないだろう。旧来の防波堤じゃ役を担えないことが明白になった以上……。

 しかし、これまた逆説的に、遠路ここを訪ねたヒトには、この塔屋もまた、新たな久礼市場のカタチとして観光化されもするのだろう。

 

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 しかし、このスロープ構成の塔屋に久礼町民すべてを収容出来るんかしら? まして市場町より海により近い場所だ……、心理的に、いざとなったさい、海のすぐそばのこの塔に向けてヒトは逃げ出すだろうか? 心理的にはその逆の方向ではないかしら? 余計な心配もチラリ。

 

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 愛媛と高知の県境に大規模なカルスト台地があることは、あんがい知られていない。

 標高1300mか1400mだかで、秋吉台のそれより雄大な景観の広がりを満喫できる、いわば隠れた観光ポイント。

 ひさしぶりに登頂。

 

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 ところがま~、 暖房ヌクヌクな車のドアを開けるや、ドアは勝手にバ~ンと全開放。とんでもない強風で自動ドアの高速オープン。

 それも凍てつくような風……。

 草木は凍って、雪を見るよう。

 景観の大パノラマを愉しむどころじゃなかったのは、下写真の通り。身体が風で飛ばされそうで終始足を踏ん張ってなきゃイケネ。

 

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 凍った強風に、

「ギャッ!」

 悲鳴をあげ続け、下車したのは4分ほどか……。

 瞬間風速は30m近くあったんじゃなかろうか。

 

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 山を降り、山間の国道をしばらく駆け、山あいの高岡郡越知町の横山食品の直売所で芋ケンピ購入。

 1Kgも入って500円と消費税。

 この直売所でなきゃ買えない大袋とプライス。

 

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 店のスタッフも界隈のおばちゃんらしきで、地域に根をしっかり下ろしたこんな会社って、いいね。

 

 帰路、高速を坂出で降りて高松方面まで駆け、高松は植松町の「カモメ」なるレストランというか食堂というか、緑樹で覆われてイッケン何屋さんだか判らない外観の店にて夕食。

 余計な看板やノボリなど一切なしが、いい。

 kosakaちゃんお薦めの店で、もはや夜のとばり、どこをどう駆けて辿りついたか定かでないが、ま~、そこはミステリー・ツアーの醍醐味。

 メニューは眼移ろいするほどに定食がズラリ。

 そこでとんかつ定食をばチョイス。

 厚み4.5cm~5cm。お肉柔らか。熱々。コロモはカラリ。

 

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 メニューに書かれてないけどゴハンも特徴あり。一口食べたY女史が、

「あ、ムギ飯」

 と指摘した。讃岐モチ麦というものらしい。

 で、とんかつ定食。

 ボリュームに反比例で880円。いいのか、そんなネダンで……、嬉しい悲鳴。

 

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オムライスは3種の味? 茶碗にスープがミステリー。

 

 食とアルコールで豊満。車の揺れも心地よく、途中で雪が舞ったのも知らず、瀬戸大橋を過ぎて岡山にまで戻って来たのも判らず、ウトウトロと半睡のことシキリ。