たまげたカツパン

チキンラーメンが誕生から六〇年という。
60と書くより六〇と書いた方がふさわしいよう感じるのは、郷愁としての昭和の流れを意識するせいかも。
六〇年前とは昭和33年だ。長嶋茂雄がデビュー戦で4打席4三振し、1万円札が発行され、東京タワーが完成し、今の天皇が妃殿下との結婚が決まった年で軽井沢という避暑地の存在を国民の多くが知ってチョット憧れた頃だ…。
とても毎日は食べられないが、チキンラーメンは今も、2〜3週に1度っくらいは朝方食べる。
生卵1ケをおとし、出来上がってコショウふりかけ。
一緒にビール(たいがい発泡酒だけどね)。
馴染みきった味だから、うまいとコトさら思うワケもないけど、馴染みきった安定が無我の妙味を誘う。
何も考えず飲むお水みたいに、いわば時折りに摂取しなきゃ〜な必需な食べものとして。
どう転んでも偉大な発明の1つに違いない。
しかし、そのインスタントなカップラーメンの日替わりメニューみたいな新製品の連打にゃ、辟易だわ。
アイスクリームの味だとか、フジッコ昆布の味だとか、謎肉が入ってますとか、京都だの金沢だのご当地の名を冠にしたのとか、とかとか…。
僅か数週間で店頭から消えていくそれら転がる石のような状況に、う・ん・ざ・り。



※ チキンラーメンノベルティ・グッズ。付箋のセット。


前の土曜。ルネスホール。
久々に高砂高校のジャズバンド「ビッグ・フレンドリー・ジャズ・オーケストラ」をば聴く。
ブラスバンドでなく、ジャズバンド。
OJF(おかやまジャズフェスティバル)の関係で、10年ほど前、今は亡きF氏と同校部室を訪ねたことがある。
真っ黒にペイントした壁に張り紙やら落書きなんぞもあって、高校ではなく大学の部室が想起されるような、自由な空気と闊達があって好感だった。
当然に生徒は3年で卒業するから、「ビッグ・フレンドリー・ジャズ・オーケストラ」のメンバーも入れ替わる。
こたび久々。
残念にも、かつて味わったノビノビが薄かった。枠から外れるダイナミックがなかった。
彼らが悪く、彼らが小粒になったのではなく、たぶんに廻りの大人が、彼らをおとなしく飼育された者にしちゃってるんだろう。
いわゆる”甲子園での高校生らしさ”みたいなケッタイな空気を、彼らに吸わせているんだろう。
3年組の演奏時、1、2年組が踊りつつ客席を練り歩く演出があったけど、大人のおばさん(おそらく父兄)がそれを主導して、何やら生徒はその後をついていくだけというていたらく。
高校生の自主のフリをさせる大人に、う・ん・ざ・り。
タバコの吸い過ぎは害あるというけど、大人のでしゃばりもまた害甚大。子供の健康によろしくない。



翌日曜、ジャズ喫茶JORDANでTRIO LIVE。
なかだのタカちゃんに藤井氏に佐藤氏。
高校生の初々とうって変わり、こちらしっとり大人あじ
ライブの途中、なぜかキンキンに冷やしたミカン缶を食べて〜〜、と思う。
けど終演の頃にゃ、もう忘れてら。で、数日後の今、思い出した。
ベースの佐藤氏はノッてくると中腰になる。その様子がチャ〜ミング。
良い味が出て好感。



ライブ後に国体町の某所へタクシー移動。
お線香をあげ、ごくささやかな慰霊の集い。
良い顔の遺影。
帰る直前、”ご近所”でちょっとしたボヤ騒ぎ…。市内中の消防車がやってきたような騒動。
階下に降りると避難した方々もかなりいた…。
でも、オ〜ゴトにならずホッ。



月曜。自転車で中央警察署に出頭。
OJFがらみの道路占有使用の許可申請
署の近く、RSKメディアコムの建物を壊して新たに造られた中区役所。外周の”石”が撤去されずに区役所の一部となっているのは、喜ばしい。
ただ、それらが寺田武弘という作家の作品だというコトを知る人は少ない。
知ったからといって、ド〜ッって〜こともないけど、路と施設の区切りのただの石じゃないって〜コトを念頭においてチョット考えたりするのも、良いでしょう。
かつて寺田から直に聞いたけど、「蹴ったり上がったり、座ってくれたりすりゃイイんだ」の一言が適切だったよう思える。



70年代の末だったか、これらの石が配置された頃は周辺はさほど繁華でもなかった…。いわばポツンとメディアコムという当時のIT施設の牙城めくがあるきりで、近場には田んぼもあった。
けど、いまやそこは繁華っぽい街の重要な四つ角に変わり、周辺も変わって、「こんなところで座るの目立ってカッコ悪ぃ〜」という状況だから、その変化を含めて、置かれている”作品”をば味わうのも、また一興かと。
この30〜40年の合間の地域の激動をジッと眺めいったモノリスとしての”作品”だ。転がらない堂々こそ、この作品の命の宿りと思えばこそに。



某日朝、マイ・マザーのお薬をば薬局に取りにいった次いで、コメダ珈琲再訪。
気になってたカツパンをオーダーしてみる。
まだモーニングの時間帯。
やや大きなトーストとゆで卵を喰らいつつ、カツパンをば待つ。
と…、やってきました気になってたヤツ。
メニュー写真に騙された…。
運ばれてきた時にはもう手遅れ、想定外のでかさと厚さ。



揚げたてのカツのコロモが口の中でサクサクッ。良い音たてる。
音を食べるとはよくいった。
揚がって数分内で音はしなくなるからセミより短命だ。
旨い。
しかし、その分厚さ。10年前ならペロリたいらげだったかも知れないが、ビフォ〜&アフタ〜、10年後のコンニチでは…。
ましてトーストを食べた直後ゆえ、2切れは頬張ったけど、ラスト1切れはもうダメ。
こっそり紙ナプキンに包みいれ、お持ち帰ってしまいましたとさ。
このボリュームゆえ、お昼ごはんは食べずじまい…。
おそるべし、コメダ珈琲のカツパン。
しかし、くじけない。
次は「コメチキ」じゃな。
大人は反省しない。