お金の流れがわからない

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 庭のキンモクセイに花がいっぱいつき、あたりに良い匂いを散らせてる。まことに香しく、ホッホッホ……、と繊麗にして寛雅な気分になりはするけど、当然に落花する……

「お池にはまって、さ~大変」

 池を汚す。

 生息中の金魚たちは、エサと思ってついばむものの、「何じゃこれ」ペッペッと吐き出し迷惑顔。

 

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 消費税10%になって早や5日。

 この税が何に活用される事になっているのか、といえば本来は社会福祉

 年金・医療・介護にあてられ、さらに今回より少子化への対策にも使う、というコトになっているようだけど、平成元年にスタートした3%消費税導入からこの10%にアップに至るまでの、その恩恵としての実感が皆目サッパリないのが、気持ち悪い。

 チャンと使われているの? という不信が拭えない。

 

 世界で1番に幸せな国たるフィンランドの消費税(同国では売上税という)24%と、日本に比べてメチャに高額に思えるけども、なぜ世界で1番に幸せを実感出来るのかといえば、結局はその税金がキチンと還元されているからだろう。それが眼にみえ、耳に聞こえ、還元されているのがチャンと判る仕組みがカッチリ動いてるからだろう。

 使い道に国民が納得し、事実、その社会保障は分厚くて至れり尽くせり、育児保証も老後保障も行き届いて、日本でよく聞く「漠然たる不安を抱えて生きてる」なんて~のとは、かなり違う。社会がふくよかなんだな。

 

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 フィンランドの場合、車を買うと、それに100%の税金がのっかる。250万の車は500万円を支払う。だから必ずしも皆が皆は新車に乗れない。

 そこで中古車が幅をきかせるワケだけど、それとても100%の税がかかるから、20万キロも走ったような、日本だと15万円でも高すぎると思われるのが150万やら200万円(税込み)で売られてる。

 でも誰も文句がない……、のはその税金が道路維持や整備や自動車を利用しての移動のための快適なインフラに、車の整備修理工場を含めて、確実に使われているのを承知しているからだろう。(雪深い国でもありスパイク・タイヤ装着が義務化され、道路は1シーズンでかなり傷むし)

 大袈裟にいえば、国家とその人民の歯車が合致して、そこに不信がないワケだ。住みよくしようというエネルギーが行政側にも市民側にも同一のものとしてあるワケだ。

 そういうところが日本は希薄というか、税があがるたびに不信度もまた募るというのがヨロシクない。国家のカタチが実態は……、成熟していないんだね。

 

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 税のハナシじゃないけど……。その昔、鎖国で閉じてたこの国に向け、露西亜、亜米利加、英国などの船が次々にやって来ては開国を要求し、その圧力に江戸幕府はその場限りの策でもって応じ、後退に後退を繰り返し、遂にはペリー艦隊を横浜(当時は貧寒とした村)に受け入れて、日米和親条約を結び、500人規模で上陸した米国人全員に、数億円相当の出費でもって日本橋「百川」に饗応の食事を依頼。宴席を設けたものの、その返礼的な亜米利加の行事は旗艦ボーハタン号に20人ほどの役人を招いただけという、早やこの時点で、「おもてなし」の通じない国家格差を見せつけられているというテイタラクだったワケだけども、その後が問題だ……

 
 安政5年の日米修好通商条約はいわゆる不平等条約のさいたるものだったけど、その第5条での「金銀等価交換」でもって、たちまちに混乱の大波をかぶることになる。

 

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     タウンゼント・ハリス初代駐日領事(トランプ同様この人も基本は商人(貿易商))

 

 全権領事のハリスの頑強さに日本側役人がオタオタしたということもあろうけど、亜米利加との交渉直前になって幕府は長崎・出島のオランダ人居留地を管轄の長崎奉行所に交換レートを訊ねるというノンビリっぷり。

 オランダと幕府の間では長きに渡って1ドル・メキシコ銀貨と一分銀貨を等価として交換してきた。この実態はオランダ側の慈善的交換だったけど幕府はそうとは理解していなかった。

 そこをハリスは突いた。1ドル・コインの銀の量と一分銀とでは3倍ほど1ドルの方が多い。

「おかしいじゃないか」

 ハリスにガンガン詰め寄られ、タジタジしちゃった幕府側は、それで1ドル銀貨・イコール・一分銀3枚という条件をゴックン呑んでしまう。

 金や銀で鋳造されているコインの世界基準での価値(交換レート)を掌握しないままに条約を結んでしまったから、さ~大変。

 

 どう大変かといえば日本国内では、一分銀4枚は1枚の小判に相当するが、この金の小判1枚は、海外の貨幣社会では1ドル・メキシコ銀貨4枚と等価なのだった。

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 だから日本にやって来た外国人は、たとえば1ドル銀貨2枚を一分銀6枚と交換、そのうちの4枚の一分銀を、横浜の幕府ご用達の両替商に持ち込んで小判1枚に替える。

 1ドル銀貨を交換しただけで、4倍になっちゃうのだった。(ホントはもっとヤヤコシイけど簡単に書くとそんな感じ}

 小判はすなわち、金だ、ゴールドだ。

 当時の世界基準に照らし合わせると1両小判は地金として4ドル以上に相当した。

 日本で両替して小判を持ち帰って溶かして板チョコレート状態にすれば、1ドルで額面価値4倍をはるかに上回るゴールドとなるワケだ。

 だから何も海外の珍しいモノを持ち込んで売らなくても、両替だけで儲かるんだから、笑いが止まらない。

 この状況を知って続々に亜米利加から商人が来た。ズタ袋に大量の1ドル銀貨を詰め込み、それを持ち込んじゃ~2度の両替をして小判に替え、さっさと帰ってった。ワッハッハ、と大笑いで帰ってった。

 1万ドルの銀貨を用意すれば、4万ドル以上の金を手に入れちゃえるんだ。

 これで日本国内から大量の金が奪われた。

 どれっくらいの損失だったか今も詳しく判ってないのは、時の幕府がこの失策を隠蔽したからかも知れない。

 もちろん、ボ~~ッとしてたワケじゃない。幕府はその状況に慌て、小判の金の含有率を下げたり、新たな硬貨を準備したりで、この騒動をおよそ1年ほどで収束させることはした。

 でもきっちりと、総領事ハリスはその間に私財を両替ででっかく膨らませてもいたらしい。儲けちゃったワイと日記に書いてもいる(ハリス日記によれば、儲けは慈善事業に使ったとある。彼の生まれ故郷のキリスト教団体で活用したらしきだけど、日本は奪われただけで何ぁにも慈善されてはいない)。

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        幕末のこの金騒動は『大君の通貨』佐藤雅美著 講談社が詳しい。

お気軽にチョットの場合は我らがみなもと太郎の『風雲児たち』幕末編第12巻がツボをおさえてる。

 

 海の向こうのしたたかな連中と交渉するのは、今も日本は苦手でしょう。

 トランプと安倍のこの前の「日米貿易協定」もそうだ。安倍のいう「ウインウィン」なんて~対等なもんじゃない。いいようにあしらわれちゃってるのを彼はごまかして笑ってるだけで、はるか昔のなさけない幕府役人とチッとも変わらない国益の差し出しをやってる。


 ま~ま~ともあれ、お金は出てくばかりで、上手に還元されない……、という感想がやたらに浮沈する今日この頃。

 消費税対策として政府は広報や宣伝に74億円も投じてるとも聞く。なんで?

 さらには、10%にアップしての増収のうち大半を、税率アップによる景気落ち込みの対策に廻すともいう。「プレミアム付商品券」とか「ポイント還元制度」などがその1部だけど、なんで?

 おまけに今日になって、「日米貿易協定」締結で農業の落ち込みを抑止のために” 支援策”として補正予算を編成とのことで、なんだ? 「ウインウィ~ン」って云いつつ、農業部門にお金をバラまかにゃ、結局やってけないワケだ……。

 意味不明な連打に、つい首をかしげ、そのままひっくり返りそう。

 災害大国で世界最先端の高齢者だらけの社会。そんな国での税の再分配となれば、もっとアタマを使わねばイカンのですが……

「漠然たる不安を抱えて生きて」

 を更新するしかないのが口惜しや。

 

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 まったくどうでもイイ話ですが……、この前の「ちゅうぎんまえジャズナイト」に履いてったシューズはフィンランドKARHV(カルフ)製。足幅がやや細めの人にはフィットするけど扁平だと履きにくいというのが特性。

 新人の女の子スタッフが「きゃ~きゃ~」いい、「それ、ワタシも持ってる〜」色違いのを神戸に買いに行ったそう。きっとファッション誌だかに載ってたんだろう。限定仕様だったか? コチラそういうことは知らず「岡山で買った」と告げたら、「ァっれ~」眼をおよがせ口惜しがってらっしゃった。

 き・の・ど・く……。