明日より12月。「やっと12月か」と思うヒトと、「もう12月かよ~」と思うヒトに二分されるはずだけど、ぼくは後者。
庭池のコメットはここ3週間ほどのうちに、動きが緩慢、エサの食いつきも悪くなり、まったく浮上せずで、池底にうずくまって姿を見せない。
かじかんだ指先にフ~フ~息を吐きかけるコトも出来ずで、冷水に耐えるしかない。
元より金魚という種族は冬の寒さに耐えるだけのチカラはあるし、事実、過去何10年の庭池の経過をみると、氷がはっても死んじゃったヤツはいない。
知ってるヒトは知ってようが金魚は状況に応じて冬眠出来る特性を備える。
とはいえ、当方が知るそれは和金の話。金魚すくいですくう程度な安い金魚ほど、あんがい耐寒性あり。一方コメットという種類はどこまでガンバレるのか、まったく未知数……。
どういう背景がある魚なのかと、古い金魚飼育の本を探ってみると、昭和38年の『金魚』という本に、新しい種類として記載があるから、ま~、その頃1960年代に登場してきたのだろう。
日本から輸出されたヒラヒラとして愛らしいリュウキンが米国で繁殖されていく中、”強壮”なのが選別されていき、やや先祖返りしたフナのカタチに長い尾ひれという個体が出てきて、なぜか米国人はこれを好いた。
で、コメットという名がついて、飼育種として今度は米国から日本に輸入させたという経緯があるようだ。
そういう”選別”の中をかいくぐって来たからか、気性は強い。強いというより荒い。仲間蹴散らし、弱いヤツは徹底的にイジメ抜く。
イジメにあってミニ水槽で育つ1匹。カメラ目線。
外見の優美さと裏腹、なにやらいかにもな「アメリカンな仕様」が根ッコに潜んでるワケだ。
その頃の脆弱な英国の車や日本の車でなく、燃費無視でバカ強いパワーを発揮のフォードやムスタングご同様に、米国の金魚ワールドもその嗜好が知れてオモシロイ。
そんなヤツらだけども、リュウキンや和金同様に庭池で越冬出来るかどうかが、わからない。
放置してこの冬をのりきるかどうかを見極めてもいいけど、どうも気がひける……。
それで、パッションフルーツみたいに越冬のため室内に入れてやることにした。
こういうのを軟弱というのか、気兼ねというか、優しさというか、思いやりというかは、よく判らんけど、ま~、イイのだ。そういう心情が萌えるのが「アメリカン仕様でないボク」を立証する手がかりだったりすればイイのだ。
で、注文していた水槽が届いたので、数日費やし、庭池の金魚コメットを屋外から室内に入れてやる作業をば、黙々と。
作業にはもう1つ理由があって、庭池は石組みなのだけど、石と石の狭間のコンクリートで固めた部分が、近年あいついだ地震やらで接着面にヒビが入り、そこに植物の根が浸透し、この夏、ついに突き破って根を池の中に伸ばしてら。
植物の強靭さを勉強できる良い機会になったけど、庭池に穴が開いたワケでもあり、よってそこからお水が出てっちゃう。
底の方でなく、やや上側あたりだから、流出しきるようなコトではないけども、こりゃヨロシクない。
そこでいったん水を全部抜いて、穴あき部分にセメントを詰めて補習という次第。セメントやコンクリートを用いたら1~2週間ほどは害あって魚は生息できないから、その補習チャンスが今という、いわば一石二鳥の工作……。
セメントで固めて外作業完了。今冬は魚なしの池と化す
さて室内。コメットは18度が快適水温ということだから、ヒーターもセット。熱帯魚の26度に比べりゃズイブン低いが、庭池0度環境に比べりゃメッチャ、ぬっくい。
水槽サイズに見合った底砂も新たに買ってきて、いささかの過保護仕様。
ま~、このさいだから試しにと、イジメられてたコメットと庭池居残り組をば一緒にすることにした。
しかし、プラン通りにコトは進まない。
セットしたものの、水の濁りが2晩経っても消えない。
霞がかって、クリアでない。
濾過フィルターとモーターの力が弱いんかしら……。
生き物を育む水は、”作る”ものだ。H2Oでありゃイイってもんじゃない。
極く微細なバクテリアが生じ、それが水を研いでくれるのを待つしかない。
それなり、時間がかかる。その目安が濁りだろう。洗米同様に濁りは、まだ水にトゲがあるよ~ん、という警告と解釈してもいい。
という次第で、池のコメットと小水槽にいたコメット4匹は、ポリバケツの中で待機中。
さぁはたして、かつてイジメた連中とイジメられた両者は1つの水槽内で投合するのか? 驚愕の最終話をお楽しみに! ……って~ワケもないね。
4日めの早朝。だいぶんとクリアになった水。ボチボチね……。
朝の9時に4匹を水槽に移動。
4匹しばしは状況変化に馴染まない。チョットした怯えと困惑に、イジメどころでない……。
要は、このあとだ。環境に馴染んでくれば気分が内から外に出てくる。
という次第で、本日はチョクチョク水槽をば覗き見て……、家内安全祈願。