YAMAHAとDENON ライフ オブ ブライアン

 やたらとマスクが売れているようだ。近所のスーパーでもマスク・コーナーがさわやかに品薄だった。たぶん全国的にそんな状況なんだろう。人混みした場所にはチョット行きたくない気分にもなっちまう……。

 

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 10数年使い続けたDENONのAVアンプ。それをK夫妻から贈られたYAMAHAに替え、数週たっぷり堪能したあと、新たなDENONに。

 順次3つを味わうに、音の違いを如実にしらされるやら、日進月歩な機器の進化に眼をはらされるやら。

 もはや形態としてコンピュータに近い。ただ、日進月歩ゆえに切り捨てられるモノもあって、何でもかんでもHDMI端子……。

 AV端子入力からのものをHDMIから出力出来ないというのは、こまったもんだ。アナログなVHSという時代が久しくあったからその頃の”イベント記録”やらがミニDVやVHSという仕様でたくさん残ってるワケで、汎用性の幅を閉じてかれるのはヤヤつらい。

 

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              AV端子全盛期のYAMAHAの背中

 

 古いレコードがある。

 それをMaciTunesに取り込み、新たなDENONで再生してみる。

 ステレオ・サウンドが家庭内でも聴けるようになった1950年代末頃の、音を左右に移動させるコトに力点を置いたレコード。かなりレアだけど、意識的に作られた分、動きが顕著。

 米国人ナレーターが右から左に靴音たてて、「移動したのが判りますか? もし音が反対なら適切にスピーカーを配置替えてみてください」とのスピーチ。

 今聴くと笑うような感もあるけど、50年代末から60年代のアタマの頃はそれが最新、音の移動がとんでもなく斬新でスリリング、ワクワク感たっぷりな技術の披露であったワケだ。

 

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 なのでそれをあえてチョイスし、2チャンネルでなく8本のスピーカーで聴いた。途端、60年前の努力の音作りがいっそうに広がった。

 

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楽器を駆使して馬が疾走するサウンドに音楽がからむという展開では、馬音がみごとにワガハイの周辺を一周二周する。以前のDENONでもその片鱗は味わってたけど、左右移動だけの2ch音が8ケのスピーカーに放たれて駆ける大移動には、大袈裟でなくチョット目眩いをおぼえた。

 AVアンプはナマな音を忠実再現というより元な音を加工して醍醐味を増量させる。なのでコンピュータの仕事に近いわけで、素材をいっそう華あるものにと変じるCG加工のサウンド版と云えなくもない。

 

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 レコードの次にブルーレイ。リニューアル最初の一歩はナニ観ようかと悩むもんだ。

 音がアチャコチャする『ゼロ・グラビティー』あたりが妥当かとも思ったけど、ストレート過ぎかいなぁ、とも思ったりで、結局はさほどに音がど~だこ~だな作品じゃなく……、この前亡くなったテリー・ジョーンズを追悼。モンティ・パイソンの『ライフ・オブ・ブライアン』。

 

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                英国公開1979年 日本公開1981年


 新機器の評価なんぞより、「表現する意思」というような所でこの映画とパイソンの5人がぶれないのがダントツにいい。このディスクには特典でメーキングがついてるけど、必見。

 EMIフィルムズが製作資金を出すことを決めたものの、キリスト教を侮辱するとして撮影直前に親会社のEMI会長が出資撤回を強行。その難航を聞き知って自宅と自身の事務所を抵当に撮影の全資金を捻出したジョージ・ハリスン宗教右派の攻撃とそれに対応するパイソン5人の意気。彼ら自身がこれは差別的と考えカットしたシーン。表現の自由の中の凛とした規範、などなど……。

「キリストを冒涜するシーンなんか1つもない。救世主と間違えられたマジメな男を取り巻く群像劇なんだ。自分自身で考えない人をコメディにした映画だよ」

 という意味のことをテリー・ジョーンズ他パイソン達は言葉を残してる。

 一方でこのメーキングは、それでも差別的あるいは侮辱的と思えるという見解の方にもスポットをあて、かなり公平に作られてる。メーキングを編集したのもパイソン達だ。(コピーライト表記には2008年とあるから、もう12年も前にこのメーキングは編まれてる)

 表現の不自由さとイビツ(他者の発言をただ横流しで拡散して自分が発言してる気分に倒錯も含めて)がはびこりつつなコンニチ、久々に観てあらためて諸々、強く感じいらされた。要は両者を均等に登場させることで、観ているコチラに「さぁ、自分で考えてみようね」とモンティ・パイソンはボールを投げてるわけで、このボールをちゃんと拾って投げ返せるかどうかだな、映画が公開されて39年たった今に。

 

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 ともあれ10数年使ってたDENON と2020年のDENONとは、もうま~るで違う。

 かつて視聴位置とスピーカーの距離を1本づつ巻尺で測ってアンプに入力したのと違い、今は付属の小さなマイクで自動計測セッティング。この仕掛けに、

「アッとおどろく~タメゴロウ~」

 みたいな時代較差な浦島太郎的ビックリで、ただもうカラカラ笑い、計測用マイクのスタンドがペーパークラフトで自分で折って曲げてタワーを作る仕様なのにもカラカラ笑った。

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 笑うということでは、他社の追従を許さぬバカでかいリモコンが無粋なド迫力あって、「あのね~」と腰引けたし、本体の上も左右もが放熱の穴だらけで、

「デススターの床じゃあるまいし」

 ホコリ吸い込み放題じゃん……、旧DENONに劣る点も散見されて、そこはそこでまたピックリ。

 

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 などと不満を申しつつも映像と音の環境が変わり、愉しみ幅は拡がった。導火線役となったK夫妻のYAMAHAに感謝。

ラストサムライ』が公開されたのは2003年の末だから、もう17年近く前になるけど誰かさんと一緒に岡山松竹文化(今はもうない)で観たさい、トム・クルーズ小雪の会話中に子供の声がしたような気がすると同行の誰かさんが云う。

 ボクは聴こえておらず、「じゃ~確認しよう」ということでイオンモールのMOVIX倉敷で再度観て、

「あらま~ッ」

 ホントに子供たちの声がそれも背後からしっかり聴こえ、同じ映画館とはいえ設えた音響環境によってまったく違うじゃ~ん、ビックリを味わった次第を、今ごろになってまた……、味わってる。

 機器を取っ換えるコトで新鮮がやって来るのか、新鮮は機器替えでなきゃ登場しないのか、そこのニュアンスはよく判らないけど、周辺見まわすにアレコレ取っ換えてイイものであふれてるような。とりいそぎは、我がメダマだな……。

 

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