過日の週末、某BARにてY先生と合流。アレコレ歓談。同氏が『ネモ船長と海底都市』という激レア映画に言及したのでビックラこいた。
観る人少ない同作は以前にココで触れてるけど、思いがけないところに同好者がいたのに面食らうやら嬉しくなるやらで、アラララという間に日付かわって朝2時を過ぎてたぞ。
で、タクシー帰宅で車道から玄関まで歩くに、肉離れの足が痛いのなんの。
もっとも、歩かなきゃ痛くも痒くもないわけで。
要はジッとしてろ~、というワケだね。
なら、ジッとしときましょう。某医院で処方の鎮静消炎剤を両足ヌリヌリ。
夜はともあれ、日中は奇妙なほどの陽気が続いた連休。
感染力が強っぽいウィルス蔓延と、たいしたこっちゃないと検査の拡張もせず、要は数字的に従来の風邪やらインフルエンザに見せかけてオリンピックやらの開催に注力したがってるらしきな政府と、それに同調っぽいマスコミの報じ方を横目にしつつ……、この数日の、露骨なまでの温かさに、お・ん・だ・ん・か、の5文字がチラチラし、映画『地球の危機』が念頭に浮く。
原子力潜水艦シービュー号の活躍を描いたかのTVシリーズの前に創られた、いわば初代のシービュー号の姿が見られる”特撮映画”。
ヴァン・アレン帯が燃え出して地球は焼かれた鉄板みたいになって、温暖化どころでない熱チチチな状況。それをシービュー号が国連の意向を無視して単独行動に出、燃えるヴァン・アレン帯にミサイル撃ち込んで一気に燃焼させて地球を救うという……、メチャな展開ながらもシービュー号のカッコ良さだけが最大にして最高に良くって、登場人物たちよりこの潜水艦がキャラクターとして凛々と屹立している珍しい映画。
巻頭、氷が幾つと浮いた北極の海が長々と映り、さて……、と思った途端に海中から急速浮上したシービュー号がドドド~ンと登場でドギモを抜かれたのは、おそらく若い頃のジョージ・ルーカスもそうだったろネッ。巻頭でもって一発ノックアウトは、かの『スターウォーズ』のスターデストロイヤーで踏襲してるところからも、そう確信的に思える。
ジッとしてる代償として、上記映画を久しぶりに観、この映画ではシービュー号の展望窓は8つだけど、後のTV版は4つに変更されているのを「正しい判断」だわい…… などと改めて認識したりする。
次いで、突然の……、『キムタク大会』。
amazon primeで『マスカレード・ホテル』(チョイ前に1度みたけど)を皮切りに、DVDで『MR.BRAIN(ミスター.ブレイン)』シリーズ。とどめにブルーレイ買ったものの観るチャンスがなかった『検察側の罪人』。
続けてみましたとさ。
『MR.BRAIN』のスチール
なんでそうなったかと云えば、BARのハチェガワ・キモノヴィジンちゃんが、
「マスカレード・ホテル、どこにサンチャン出てましたぁ?」
と、問うてきたから、
「それボクちゃんも判ってね~の」
その確認をしようと観始めたら、停らなくなったという次第。
サンチャンとは明石家さんまの愛称らしいが、べつだんこちとら好きでない。観始めるやもう彼を探すの忘れてらぁ。
いっそ、上のスチールに見るように、後ろの俳優さん、『てなもんや三度笠』時代の藤田まことにそっくりじゃん……、みたいな所を可笑しがったり。
注視してるのはキムタクだぁ。長澤まさみ演じるホテル・フロントの女史から歩き方を注意され、がに股歩きからス~ッと通常歩きに変えてくシーンの絶妙など、まったくイケてる。この写真でも背筋伸ばしてホテルマンらしく居住まい正しくて良い良い。ここのシーンでキムタクはセリフはないけど、右背景の黒ブレザーの男の肩の落とし方とはまったく別の佇まい。無言の演技でホテルマンたらんと集中してるワケでね。
シンガーとしての彼をボクはほぼ知らないし興味もないけど、アクターとしての彼はかなり好きな方。
山田洋次監督の『武士の一分』での盲いたカタチに、「おっ」と思ったのがスタートだ。
といって、追っかけてみたりしない。
『検察側の罪人』はもっと早くに観てもよかったけど、なんせボクにとって原田眞人監督作品は”御馳走”だから、ご馳走はイチバン最後に食うべきもの、こちらのコンディションと合致した時こそに味わうべきもの。
そういうスタンスで、その時がやって来たという次第。肉離れが起きなきゃ、もっと後になったかも知れないけど、ま~、いいのだ。動かざることヤマのごとしで、逆に集中して観られた。
で、やはり、御馳走でした。
キムタクとニノから素晴らしいのを引き出した監督の力量はでっかい。
本作を加えて、原田作品の順位付けをするなら……、
1位ないし2位 クライマーズ・ハイ
突入せよ!あさま山荘事件
2位 日本のいちばん長い日
3位 関ヶ原
我が母の記
実にまったく順番を決められないのだった。
映画館で観たきりで以後接していない『ガンヘッド』も上位にあるけど、再見してないから、これは除外で、でも、以上7作品をも優秀としてあげられる監督って、まず、いないわさ。
ありゃ、1本、別監督作品が写ってら……。
原田作品は最初に観た時は、ほぼ必ず拒絶反応が体内に浮き出る。
拒絶というのはキツイが、居心地悪さみたいな妙な緊張テーストがからまる。
が、2度目3度目と繰り返して観るうち、それが実は隠し味としてではなく、ほかと較べようのない独自な味覚だと察っせられてくる。
不味いと最初は思ったニンジンやネギが、今はもうそれがなきゃ~やってらんないモノに変わったように、原田監督作品はどれもが素材の選定と調理の程合いがそこいらの監督さんとは一線をかす。
1回観たきりで原田作品にレッテル貼ってはいけない。口当たりの良いお子様仕様じゃない。
たぶん、その極みが『クライマーズ・ハイ』であり『駆込み女と駆出し男』なんだろうけど、『検察側の罪人』にも調理の腕が冴え渡ってらっしゃる。
多層化した夢世界を描いたクリストファー・ノーランの『インセプション』の映像表現にも似る巻頭の見事に反転したビルの映像といい、松重豊扮する驚くべき人物像といい、4重5重の眩む程の複雑構造は1回観て了解できるものでない……。
この先、何度となく本作をボクは観るだろう。そのたびに新たな滋味滋養をボクは得るであろう。愉しみが継続するのが原田作品だ。
で、キムタクさんですがね、髪の長いのも良いし、短いのもイイっすね。
年齢が増してヤヤ眼の下あたりがくたびれてるアンバイも『検察側の罪人』や『マスカレード・ホテル』ではプラスになってた。
ニンゲン、じわじわと、くたびれてくもんですよ。それを劣化と思うか進化と思うかが、ものの見方の別れ際。
本質は劣化なんじゃ~あるけれど、その劣化自体を新たな魅惑に見せるには、ニンゲンはどう振る舞えばいいか……、というのがニンゲンの、生きるテーマの1つかもだね。
そういうコトは20代とか30代とか40代は考えなくていい。考えなきゃいけなくなるのは50代の半ばから……。
キムタクさんは47歳だか48歳らしいから、まだ深刻劣化は7~8年先じゃ~あるけど、この先を、彼がどう、うっちゃっていけるか興味津々。少なくとも『検察側の罪人』での彼はアクターとして最高だった。
吉野家に行くたび、ツユダクをボクはお願いするけど、キムタクもまた今後の活躍としてツユダクな人でありますよう願う。
ま~、ヒトサマのことより我が身のことを。
足さすりサスリしつつ、ボンヤリ考え、鼻かんでツユダク……、なんて〜コトいってるのが早や、爺イ。
あら? 風邪ひいたか……。