地球の長い午後

 

 具体策とぼしく迷走に継ぐ迷走の地域限定-「緊急事態宣言」が出された日の夕刻、苦渋感たっぷりの連絡あり。

 6月予定だった某ミュージアムでの某展示企画の縮小と、会期中に予定した公開対談を中止したいとのこと。

 鉄道史にからむ対談企画でもありノリキだったけど、仕方ない。大勢が集まるわけだし、ライブ中止と同じ構図……。

 そういう次第で展示予定の某模型作業も停止。というか、これはボツだろね。

 

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 補償を考えたりはしない。しないけど、こういったイベント縮小なり中止を個々の施設がその責任者の裁量でもって判断しなきゃ~いけない状況を繰り出してる日本政府の頼りなさが、歯がゆい。 

 8月スタートのやや大きめなシンポジウム企画も用意されつつあるけど、これとて騒動の進捗によっては延期の2文字が明滅する……。ぅむむ。

 

 収束を待つしかないけど、TVに出るたび「3密-密閉・密集・密接)」を呪文みたいに唱えてばかりの都知事も如何なものか? ただもう自己陶酔っぽい主張の、自己顕示の方がめだってしかたない。マスク着用での画面を意識して目元の化粧を一段に濃くしているあたりに、このヒトの本質がチラチラ垣間見える。

 緊急事態宣言から洩れてる地域に住まっていても、その3密はある種の効果はあるだろうけど、この非常時の根本を指してはいない。これはいわばニュータイプなウィルスに対しての「村八分シメダシ対応」の1つであって、全てでない。

 政府が布マスク2枚配布に費やす費用は、466億円。ついこの前まではその半分233億円といってたはず。何とも忌まわしい。即効で中止すべきを要請の代表例だろう。

 

 しかしウィルス跋扈は、一歩誤たれば、人類滅亡の引き金になりうる険悪な事態が絵空事でないのを示してくれてるワケでもあって、そこを考えると感慨深い。

 人類史の一面は顕かにウィルスとの戦闘史でもあって、カミュの『ペスト』を読まずとも、侵略と抵抗の端境でのヒトの存亡という危うさは、判る。

 

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 この先、似通う事例が生じ、しかもそのウィルスが圧倒的に強靭でヒトが呆気なく没するようなものであるなら……、というようなSF的未来を思うなら、人間がいなくなったこの地球で勢力圏を拡げるのは、ほぼ間違いなく植物でしょうな。

 ヒトが残した温暖化が恩恵となり、アレやコレやソレが芽を伸ばし、葉を繁らせ、もはや引っこ抜かれる心配など皆無。

 伸びに伸びてたちまちに灰色のコンクリートをグリーンに染めるに違いない。

 コンクリートアスファルトもやがて侵食にやぶれ、早くて10年、遅くとも50年後には、解体されて土に同化し始める。酸化しにくいステンレスとて水温25度環境で100年前後で劣化するというから、グリーン世界にあっては微細な異物でしかない。

 その緑の上で多数の獣たちが喰うや喰われずやの攻防を繰り返すけど、地上の覇者はやはり植物以外にない。

 

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      ヘデラ(つた)にドアノブの認識なし。開け閉めしないと数ヶ月でこうなる……。

 

 以前にも触れたけど、ブライアン・W・オールディスの『地球の長い午後』を読む限りでは、その植物とて環境に応じて次第に姿カタチを変えていき、進化するものも出てくる。

 蝿獲草(ハエトリグサ)みたいなのが、より巨大化と強靭化を進め、猪1匹くらいはペロリ……、みたいなのが、現れないという確証はない。

 

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 同族の樹木が根っこだか葉で連絡を取り合い、云わば狩猟するように猪を追い詰めて退路を断ち、1匹がペロリすると、その養分を根でもって同士に分け合うというような、知恵がついたのではなく”種族として生きる機能”が強化したのが現れないという確証はない。

 

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 チェルノブィリのあれはコンクリートで石棺状に固め、近年さらにそれを覆う構造物が出来てるけど、それとて未管理で放置すりゃ徹底した根気で植物が浸透し、穴があき、穴は拡大し、結果、法外な放射能が何100年単位で拡散する。

 穴をうがった植物は死滅するか奇形化するだろうけど、それを養分にさらに続々と何らかの植物が覆っていく。

 今は原子力発電所の近くまで「観光」が出来、破裂後の一帯が自然の宝庫のように見えはするけど、草木樹木はその体内にセシウムやらを蓄積し続けている。半減期を50年ほどに見積もっても数100年単位で管理なき場合の顛末は、今のところ誰も予想できない。

 

 あれこれ想像するとケッコウ恐ろしい。けど、ま~、その時に人類はいないわけだから、恐ろしがっても意味はない……。

 奈良の大仏復興時、それを覆う大仏殿を重源が再構築出来たのは、当時、今の山口県の山奥にまだ50mクラスの檜の大木があったから作れたワケで、そこまで育っていたのは逆にいえば、ヒトがそこに寄りつけなかったからだ。

 ヒトがいなくば、樹木も草木もいずれもが徹底的に繁茂する。大地を埋めつくすと同時に陽光を求めてどんどん背伸びもする。

 

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 CNNが伝えてたけど、スコットランドの作家ピーター・メイは2005年に『Lockdown』という小説を書いた。

 鳥インフルエンザに着想を得て、ロンドンが都市封鎖を迫られる過程を描いたそうな。

 けども出版社は、

「極めて非現実的で不合理な内容」

 として出版のゴー・サインを出さなかった。

 そんなコトになるワケがない、という次第だった。

 それで作家も、この作品のことをコロリと忘れてた。

 ところがこたびのウィルス騒動だ。

 出版社は大慌て。今月4月30日に出版するそうだ……。

 

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 要は、”常識は常識としての鮮度維持が難しい”わけなのだ。

 非常識が常識をひっくり返すわけだ。

 ま~、その意味では某首相のヨメさまなんぞも、たとえ彼女がホンマのアホ~であってもこの先もがんばって非常識を続けてりゃ、多くは「アキエてものが云えない……」でも、1つくらいはヒットするかも、しんない。

 

 という次第で彼女をみならい、昨日、わが輩も非常識に挑戦。

 賞味期限が切れちゃってた、無印良品のレトルト、食べちゃった。

 なんだかやたら、うまかった。

 諸君も、食ってみ。

 と・は・い・わ・な・い

 非常用にと備蓄した食品って、賞味期限が、モ・ン・ダ・イ、ね。

 知らず非常食が非常識食に化けてる。

 なのでアナタもキッチン棚は要チェック。

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