墓場鬼太郎

 政府指図による、この1日からの「プラスチック製レジ袋有料化」。

 海洋汚染やらの抑圧につながると言われるけど、日本でのこのような製品、いわゆる廃材プラスチックの排出量は年間 900万トン。

 で、そのうちレジ袋は 20万トン。

 えっ? 880万トンはそのまま……。

 レジ袋なんぞよりはるかに多く消費されるプラスチックの容器。スーパーやコンビニの弁当だの惣菜だののそれは 400万トンを越える。

 なるほど食材容器は回収というカタチで浸透しつつだけど、発泡素材系プラスチックはオッケーながら、惣菜弁当やら銀色や金色のトレーやら豆腐の容器などなどなど回収出来ないモノの方がたくさんで、そこの分別が判らないままにスーパーの回収ボックスにどんどん放り入れられるから、処理業者はさらに1ケ1ケをチェックで、

「なんだかな~ぁ」

 処理出来ないゴミとなったモノが右から左へ移動しつつドンドン増加してるってのが、実態。

 大筋のところは何も対策してないの、だね。

 有料化に伴ってエコロジー・バッグが売れてる~、みたいな妙に明るい声でのアナウンスでのニュースは聞くけど、プラスチックという素材の良点と悪点についての話題がほとんどナイのは、いけませんなぁ。

 エコバッグだのマイバッグで環境に貢献してると思い込んじゃうのは、早合点。

 

f:id:yoshibey0219:20200702074755j:plain

 

 この数週は、ベッドに横たわるたび、『墓場鬼太郎』をば

 かの名作『ゲゲゲの鬼太郎』のスタートとなる、水木御大の貸本時代の作品たち。

 登場キャラクターにしろチャンチャンコにしろ、鬼太郎が日本国籍を持てない生活困窮者であるとか、この時点で基礎が固まり、その上で、自分を社会生活の中にどう置いてよいか判ってない鬼太郎のカタチが、く・す・ぐっ・た・い。

 鬼太郎はまだ正義の妖怪じゃない。気にくわない人間を死に追いやりもする。

 かなりダーク。

 けれど一方で、作品は妙に陽性、陰々滅々に落ちていかないのが不思議。

 

f:id:yoshibey0219:20200702071946j:plain


 しかし毎度のことながら、寝転がって読むと、たいがい途中で寝てしまう。

 作品のせいでなく、読書欲より睡眠欲がいつも勝つんだね。

 ドサッと本を手から落っことした音で毎回、ビクッ。

 それで消灯し、夢の中。

 

 夢は、たいがい、お・も・し・ろ・い。

 と云っても、目覚めた途端に、消失してくの。

 ぁぁ、何だっけ……、懸命に追想しようとするんだけど、ダメね。

 弩弓なストーリーであった筈なのに、いかんせん、プイと眼がさめた途端に消失がはじまるからヤッカイ。

 

 クリストファー・ノーラン監督はベッドサイドにペンとノートを常備し、目覚めるや即行で今観た夢を筆記して、たしか彼の『インセプション』は、見た夢が母体となった話だそうだけど、さもありなん。

 黒澤明の『夢』も、文字通り黒澤御大が見た夢だったそうだし、原田眞人監督も時にブログで夢のコトを記してらっしゃるところをみると、

「あなどれない存在」

 なんだろうねぇ、夢は。

 

f:id:yoshibey0219:20200702190104j:plain

          1920年の映画『カリガリ博士』の眠り男チェザーレ

 

 かく云うぼくも、このまえ、かなりのケッサクを見てる。

 登場人物全員西洋人。どっかの隔離されたような病院的な場所。ぼくは介護者としてそこにいるらしきだけど、介護抱擁してる腕の中で女の患者が男に変わり、逆に男の患者が女に変わる。

 ちょっとセクシャルな描写もあって、裸の女の胸、それに触れるぼく、昂悦の悶えの表情になる女の姿態、その女の顔が我が腕の中で変形し顎が伸びて不精な男の顔にと変わってく、かなりリアルな触感も感知しつつのケッサクだった。

 でも、そんな部分のみが残り、全体像は目覚めた途端に、お・ぼ・ろ。

 女が男に、男が女に変じる連鎖が続き、次第に誰が誰だか判らない個体から全体へと朦朧となってく次第の、その理由も結末も判らないまま……

 いわば、夢の名作が迷作になっていくみたい。実に口惜しい。

 

    f:id:yoshibey0219:20200703043119j:plain

            『墓場鬼太郎』角川文庫第2巻「吸血鬼と猫娘」より

 

墓場鬼太郎』では、歌手のトランク永井がネズミ男の仕業で腕にケッタイな吸血木を植樹され、切除出来ないままにこの木に血を与えなきゃ死んでしまうと診断され、輸血までしてみるけど……、樹木化は進行、トランク永井は、

「ぁぁ、これがただの夢ならいいのに」

 と、お嘆きになるけど、読者のこちらはその転換に継ぐ転換の回転力で疾走するようなこの一篇を大いに堪能できて一種の満腹感を味わえる。

 

f:id:yoshibey0219:20200702072314j:plain

 文庫とコミックスとかつての貸本のサイズ比較。(貸本は概ねA5サイズで統一だった。右は鉄腕アトムにあらず。こういうまがい物もあったのが貸本時代の頼もしさ)

 

 ちなみに、漫画は文庫サイズはそぐわないと思って久しい。

 サイズが小さくなるとコマの魅力も減退。「漫画文庫化 - 禁止令」てな法案が提出されたら、喜んで支持するくらい、好みでない。

 なので基本としては文庫の漫画は敬遠だけど、大きな版で読めない場合は、しかたね~。文句たれつつベッドサイドに運んでら。

 とか云って、それほど漫画に接しているわけでもない。市販の99.9パーセントは読んだこともなくって、ま〜、そんなもんでしょ。

 好みを繰り返し眺めている、というのが実相。

 

 ベッドで読むより、何か食べつつの方が時に漫画は似合う。読んで良し・味わいも良し、というアップな相乗効果アリだけども……、話がそれるけど、リニューアルで進出して来た店々の勢いに押されというか、岡山駅でけっこう頑張ってたユアーズが2階から1階に降りての凋落っぷりが痛々しくて気の毒。わけても惣菜がさっぱりワヤ。

 ま~、もっとも、あまりにフードに特化した2階コンコースも、なんだかなぁ。

 とか云いつつ、35分並んでビーフカレー1つ買った私も、なんだかなぁ。

 けどもま~、30分ほどで食べつつの『墓場鬼太郎』、両者ごちそうではありんした。

 

f:id:yoshibey0219:20200702085708j:plain