大山で背中を丸める

 Kosakaちゃんの車で県北へ出向いたのだ。

 女史も加わるつもりで手配したら、ふられちまった。

 よってオトコ2人、真庭方面、鳥取との県境い、新庄村へと駆けてったのだ。

 しかし岡山市は快晴だったのに、新庄村手前あたりから雨。

 駆けつつ予定を組み直すのだった。

 Go To キャンペーンとは関係ないオール・セルフ・ペイの勝手旅。マスク着用ながら自由度だけはやたら高いのだった。

 

 新庄村には、道の駅「がいせんざくら新庄宿」がある。

 2年ほど前までは「メルヘンの里新庄」という名で、オトコ2人が訪問するにはヤヤ小っ恥ずかしい感じじゃあったけど、呼称が変わって救われた。

 

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 ここは「ひめの餅」が特産筆頭であるから、「牛もち丼」という妙なのもある。

 一見は牛丼だがゴハンでなく餅だ。餅の上にギュ~がのる。

 しゃ~ない、喰ってやろうじゃないか……、というワケにもいかない。

 自分用の土産1つを買うにとどめ、

「倉吉まで駆け、そこでお昼ご飯にしようか」

 移動コースを変更し、蒜山高原経由で鳥取倉吉市へ向かうことにする。

 

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 雨はやまない。

 蒜山高原の道の駅に立ち寄り、蒜山ダイコンのでかいのやら、葉がキュッと締まった白菜やらキャベツやら、いずれも1ヶ100円ほどの安さゆえ主婦のような顔になって買い込み、

「鍋じゃな……」

 1人、ほくそ笑む。

 Kosakaちゃんは「しいたけの唐揚げ」なるものを買う。

 

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 揚げたてを車の中でわけてもらって食べる。

 軸の部分を取り除き、カサの部分のみを揚げたものだけど、なんせ揚げたて、熱っついのなんの。

 これを舌をやきやきハフハフするに、濃厚なバターを頬張ったような感じもあって、なかなかよろしい。

 食通のKosakaちゃんをして、

「なんじゃ、こりゃ美味いじゃないか」 

 2人で6個、ほぼ2分で一気に食べちまった。

 

 高原から倉吉へ向かう。

 雨足強くなり、蒜山三座も見えないけれど、山並みを這う雲の動きが面白く、これはコレで大いに醍醐味あり。

 

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 倉吉で昼食。

 雨天ゆえ散歩も出来ないが、それも面白い。

 雨で動きを封じられる事で、逆に萌え気分が上昇。

 

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 また車中の人になり、米子に向けてしばし日本海沿いを駆け、白波が立つのを見遣り、赤崎町漁協の直売センターで魚や蟹を眺めているうち、また雨足が強くなる。

「いっそ、大山に登ってしまお~か……」

 またぞろ、その場で予定を組み替える。

 まさに行き当たりばったり、臨機応変の面白さ。

 気温もどんどん下がってる。

 

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 大山環状道路沿い。標高562メートルの一息坂峠にて日本海を望む。上写真、左側の眼下およそ10㎞先が境港だけどモヤで見えないのも風情かな……。

 

 で、大山の山中へ入ってく。

 視界不良。

 

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 気温は写真の通り。

 

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 氷雨は雪になり積もりかけている。寒さに身が縮む。

 

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 大山国際スキー場界隈から蒜山に戻った頃は既に夕刻。

 482号線沿いの新田菓子舗……。もしもしで社長氏を呼び出す。

 一廻りほど若いけど古くからの友人。久々に会う。

 観光土産としての洋菓子製造販売が主力ゆえ、コロナ禍、運営がメチャに大変のようだが、

「ま~、苦しい時もあるでしょが、こうして遠方から来てくれる人もおりますがな」

 明るく破顔しチョイっと頼もしい。

 

 そこからおよそ1㎞の場所、やまな食堂で夕食。

 店主は昔からの飲み仲間。

 そのままいれば華麗なポジションとなる職場をあえて辞し、帰省し家業の食堂を引き継いで早や数年。昼時は車の行列が出来る蒜山高原の名店をみごと運営して、さ・す・が。はるか室町の時代、足利家をもおびやかしたこの地域の覇者・山名家の末裔。好人物。

 今年1月2日、岡山市内某BARでの新年会以来の再会。近頃の岡山市情報など伝えつつ、コロナ禍での営業苦労をねぎらう。

 ちなみに人気店ゆえ、昨今のインターネットの食べログ的クチコミでは、褒められもするが誹謗も散見する。

 味噌汁がインスタントだったとかのバカ情報は困ったもんだ。このようなデマ女史だか野郎の、ただの1回こっきり利用して店を制覇したような感想を披露する根拠のない無責任記述を、ぼくは嫌う。披露するならせめて数回通ってチャンと味わってから書きなさい。

 

 高原の揺れるススキ穂くすぐったし

 

 と、意味なく発句し、名物の1つ、ホルモン焼きそばを頂戴する。あわせて注文した豚肉の野菜炒めも絶品。

 Kosakaちゃんが、

「キャベツ! 旨っ!」

 絶句する。

 当方も同意。芯まで柔らか、かつ、食の最初の食感とラスト近くのその食感に劣化がなく、ひたすら、う・ま・い。

 往々にしてキャベツは主旋律たる肉の旨味を引き立てる役割に徹する存在として認識されるけど、やまな食堂のキャベツは脇パートにとどまらない、お皿の中の1つの顔。時に独奏を奏でる。

 み・ご・と です。

 

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 食事を終えると、冷たい雨がやんで月が出ている……。

 Kosakaちゃんはこの前発売された3つレンズのある新型iPhoneを既に持っているが、こちらは1つレンズ、数年前のiPhone 8

 上の構図を新旧iPhoneで眺めるに、看板部分の目映さで旧の方は文字部分が飛んでしまう……。チョイっと悔しいがしゃ〜ない。

 よって上写真は看板部分がシャキっとなるようPhotoShopで部分彩度をあげたもの。

 

 持ち帰りの焼きそばも注文し、岡山市にカムバック。県南は雨が降らなかったようで、ちょっとした不思議感。

 かつて山名君くん達と朝まで呑んだりで入り浸ったBARへ直行。

 店主はただいま入院中。大きな手術。とはいえコロナ禍で見舞いも出来ず。ひたすら回復を念ずる次第。

 店主不在ながら店を開けてるベッピ~ンズに、やまな食堂の滋味をば渡し、オトコ2人旅終了。

 

 コロナウィルス被害はこれからさらに拡大するであろうから、おそらくは小旅行も、もう年内は無理かも……、そう思うと口惜しいけど、ともあれ良かアンバイの自由ツアーでござんした。