なんだかつまらなくもないが

 過日、飲食伴うごく小さな集い。

 4人までとか、5人までとか、こういうミニ・サイズなイベント出席にまで、気をつかい、気がねし、うしろめたい感触まで付録でくっついてくる現状の悶々……。

 一種の覚悟を含んだ自衛を個々人が常に意識しなきゃ~いけないのが口惜しや。

 

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「はたらけどはたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり ぢっと手を見る」

 

 啄木の『一握りの砂』のこの貧窮は、そのまま今のウィルス騒動で竦まざるをえないわたし達を指しているような感がしなくもない。わけても最前線の医師や看護師や介護職の人達。彼らもまた、ジッと手を見る、グッタリなり……、に違いない。

 いずれ騒動は過去形のものになろうけど、今はウィルスを追いやるどころか、こっちが、ホウキでタンスの隅に追いやられたチリみたいな気がしてくるのを……、ジッとこらえてるのが哀しや。

  

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  自分がほぼ昔人間に属してしまったぞ……、と思ってしまったのは、野口さん搭乗のクルードラゴンのコクピットやら彼らが着けた宇宙服なんぞを、ニュース映像で見たさいだな。

 宇宙船のコクピットというのは、スイッチやら警告灯やらの類いが、搭乗者の前や左右や天井にまで並んで、ランプが赤や青や黄に点滅したりしてるのが、「それっぽく」て良かったのだ。

 そのメカメカっとしたミッシリ凝縮が、なんだか複雑な宇宙船の操縦をそのまま暗示していて、それゆえ妙に落ち着くような感じすら、おぼえていたのだった。

 

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             スペースシャトルコクピット部分

 

 が、クルードラゴンのそれを見るに、およそ宇宙に出て行くとは思えぬ“軽快”さ。

 モニター兼タッチパネルのスクリーンが3つ、宙づりになったきり。アトラクションのシミュレーション装置みたい。

 そりゃもちろん、iPhoneだのiPadだので、やや面倒っぽいゲームなんぞも、指をうごかすだけでかなり自在に操作できるのを判っちゃいるけど……、宇宙船までがそのようなカタチになっているというのは……、どうも、感触として

「つまらんなぁ」

 なのだ。

 

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                 3モニターのみ photo:NASA

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          がらんとした船内。中央の黒い宙づりが上写真の3モニター部分

 

 おまけに、その3つのスクリーンと僅かなボタンスイッチ以外調度品がほとんどなくって、妙にスカ〜としちゃって、いけすかない。

 そりゃもちろん、これが地上基地と宇宙ステーションを結ぶだけの交通運輸であって、月まで行く必要などはない装備とは判っているけれど、献血の待合室みたい感じが、なくはない。

 さらにくわえて、野口さん達が着ている宇宙服がカッコ良くない。

 わけても、園芸用の長靴にしか見えない黒いシューズが野暮っぽさを増長させていて、60年代前期頃に創られた安物のSF映画のビジュアルに遭遇したようで、いただけない。

 

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                   飛行士たちの長靴

 

 むろん、もはや、山ほどのスイッチや警告灯は必要ないだろう。いっさい全て、タッチパネルの中で了解されて操作も完了するという最新、宇宙服と宇宙靴も最先端。必然あってのカタチなのじゃ~あろう。

 けど、いかんせん、こちらの感覚は最新じゃ~ない。

 ビジュアルとして、物足りなさすぎて、逆におちつかないのだった。

 だからま~、昔人間なのだ。感覚を切り替えるコトが出来ない。

 とはいえ、べつだん、それでイイのですがね……。

 

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    『スタートレック』、エンタープライズの司令室。シンプルといえばシンプルか

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     ミレニアム・ファルコン。デアゴスティーニ版模型を大改装したもの

 

 この先のSF映画に出てくる宇宙船なんぞもやはりホンモノのクルードラゴンに準じて、簡易シンプル、スクリーンっぽいのが主人公らの前にポツンとあるきり……、というコトになるんかしら?

 そうであるなら、おもしろくないなぁ。アポロ世代の悲哀と括ってしまうワケにはいかない、これは“見た目からくる感覚”の問題なので、容易にゃ親和できないのだ。

 要は、宇宙船の船内とても、既に「特別な場所」ではなくなって、日常の延長程度な「普通にある場所」みたいなカタチへと進んでるという次第なんだろう。

 イーロン・マスク率いる新興ベンチャー企業が、NASA御用達といった感もあったロッキードボーイングなど巨大企業に打ち勝ったのは、そのあたりの感覚の違いによるモノ創りへの視線なのだろう。“抵抗感”があるくらい視点なり視線を変えることが、飛翔をもたらすポイントなのかも、ですな。

 

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 ま〜、そういったニュアンスで巻頭の話に戻ると……、「旅にでよう」や「メシ食いにいこう」キャンペーンに固執しちゃった揚げ句にコース外れの迷走やってる政治リーダー達は、タコ焼きの回転みたいに目の玉ヒックリ返して世間見直した方がいいねぇ。ようやく腰あげてキャンペーン休止は決めたようだけど、実施は2週間も先。その間は無策? さらに、その次の一手があるのやらないのやらも判らんし〜で 不安継続中。頼りにならんというコトだけが明白じゃ〜いかんのですがっ。