木曜の昼下がり、観る予定になかった『シン・ウルトラマン』を観る。
この映画は、この映画に何を求め、何を見いだしたいのか? で個々の評価が最初っから決まってるような感じ、有り。
当方の眼には、長澤まさみの演技力は判るものの演出凡庸。おまけに、ウルトラマンの魅力より彼女の太腿の魅惑が勝ってるようじゃ~、イケナイのでは。
いっそ『シン・ナガサワマサミ』とタイトルした方がスッキリのような気がスペシュ~ム。
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土曜。
島根県雲南市の須我神社へ、行く。(ついさっき帰ってきてコレ書いている次第)
かねてより出向きたかった場所。
なにしろ、日本で最初のお宮だ。
八雲立つ 出雲八重垣 つまごみに 八重垣つくる その八重垣を
『日本書記』にも『古事記』にも載る高名な歌。
ヤマタノオロチをやっつけた須佐之男命(スサノヲノミコト)が稲田姫(別称クシナダヒメ)と一緒になって同地に「須賀宮」という住まいを造り、そこでこの判じ物みたいな和歌を詠んだ、その「須賀宮」が、今の須我神社という。
そこそこ距離もあり、周辺にさほどの見所もなく、何ぞの次いでにチョット行ってきましたぁ~というワケにいかない場所だったから今まで出向けなかったのだけど、Nakatsukasa君とKosakaちゃんが一緒にゴ~しよう、ハンドルは任せろ、というコトで、ようやく実現。
急斜な階段の上の拝殿
上記の高名な歌(つまごみは、妻を籠もらすと直訳できるから、共に住まって新生児の誕生を待つというような意味だろう)ゆえに、出雲という国名はここが起源でもあり、また和歌という形式の、日本語活用の起元もココ……、というような、日本のスタート地点の1つ、あるいは、その混沌の幕開けの地かもしれないというような気分をホンワカ浮かせつつ、雲南市の山間の地へ向かったのだった。
本殿
むろんスサノヲのヤマタノオロチ退治は、天皇家が生成されるはるか前の大王時代の、その伝承というより、天皇家を装飾する創作バナシだろうから、片目つむって、それを愉しむという感の方が濃ゆいけど……、姉のアマテラスが怒って天の岩戸に引きこもる程に、攻めに攻めた勢いあるスサノヲが新妻のために垣根を造って守りに入ってる、その転向というか落ち着きというか、気分の変わりと立ち位置の変遷、定着しようとする意志が、なかなか印象深い。
同神社から車で40分ほどの所には、天が淵という所があって、お馴染みのヤマタノオロチは、そこに生息していたという。
8つの頭の怪物はスサノヲに酒を呑まされ、酩酊のさなか、彼にやっつけられてしまい、そのシッポの中から、天皇家に伝わる三種の神器の1つ、天叢雲剣(アメノムラカミノツルギ)が出て来るワケだけど、そんな壮大なファンタジーめいた話が創作された大昔の諸事情が、ここに在ったのか……、などと大真面目に思いはしないんだけど、自分の映画初体験であった『日本誕生』(1959年)の、三船敏郎演じる堂々としたスサノヲの姿とヤマタノオロチのおぞましい姿をば思い出し、
「ぁぁあ、この辺りが舞台だったのね」
感慨を深めたりもするのだった。
同映画には津山東宝(今はない)で接したけど、なんせ小学生にもなっていない5歳の幼年だ。
あまりの怖さに泣きだし、結局、マイ・マザ~に抱かれてロビーに出て、「お~、ヨシヨシ」と慰められたりしたようだけど、不思議なもんで、1番に怖かったそのヤマタノオロチと三船スサノヲのシーンはよく覚えてる。
なのでたぶん、泣き出して外に出されたのは、その直後なのだろう……。切られたシッポの大量の鮮血、その赤色の中から、ピカピカに光る剣が取り出される辺りの描写が、童子にはトラウマ的衝撃なヴィジュアルだったワケだ。
ま~、はるか後年に、盟友のKuyama殿下より同映画のDVDを頂戴して、再見。
「ぁ、あンれ~? こんなもんだったのねぇ」
トラウマは霧がはれるような勢いで消えちまい、それはそれでチビッと残念な感じもなくはなかったにしろ、ともあれ、ヤマタノオロチとスサノヲとクシナダヒメ……、そのオリジナル舞台の場所をよ~やく訪ねることが出来、当然に嬉しかった。
土曜の出雲方面は晴天で、「八雲立つ」ほどの雲はなかったけど、その歌の背景には、近隣の活火山である三瓶山が『古事記』の頃はまだ活動していて、日々、噴煙だか水蒸気があがり、それを「八雲立つ」と詠んだ可能性はどうかしら? などと勝手な空想をしたりもしたのだった。
(三瓶山は3800年前に爆発的大噴火して山体が崩壊し、以後も地震などを繰り返している。『古事記』の頃はどうだったろ? 大噴火後も久しく噴煙があったんじゃなかろうか阿蘇山みたいに)
須我神社から宍道湖の松江市は距離にして20Kmほど。岡山からの眼では遠方だけど、須我神社の眼からすれば宍道湖は直近だがや。
美味いモノ探して日々メンタマをキョロキョロさせてるKosakaちゃんとNakatsukasa君の眼力を信じるまま、某所で食事。
旅の愉しみは、イノイチバンに食べ物だね~。ホッホッホ。
神話の深みより食の旨味だわさ。こたびは宍道湖一望のふじな亭で鯛めし。
須我神社で売っていた「御守護」の長寿箸。
天然木使用で高価かと思ったら、500円。
物価高の世にあって、これは安すぎ……。