8月に入った途端、なんだか7月が遠い昔のような、妙な感触あり。
暑さ続きで朦朧とし、昨日の事をカゲロウみたいにモヤモヤ~っと、感じているのかしら?
7月末(わずか5日ほど前だ)。岡山神社の茅輪祭(ちのわさい)。
境内にしつらえた大きなカヤの輪をくぐって疫病から免れるのを祈願するワケだけど、大勢の方に混ざってる内、なんだかやたら発汗。それも冷や汗ぎみ。
「熱中症っぽい……、かな」
夕刻とはいえ炎天で蒸された境内はまだホット。併設のビアガーデンに視線をおくるものの、呑みたいのを我慢し、懇意の禰宜さんにチラリと挨拶のみして、儀式終了と共に徒歩トホ、踵を返す。
近場の丸善に潜り込み、本を眺めるフリして涼む。
次第に汗がひいて、やれやれ、ホッ。
次いでゆえ1冊買い、また神社に戻ろうかと思ったけど、
「ま~、ぃいかっ」
バスで帰宅。
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某日。帰宅するとポストに切手のない封筒あり。
Blu-rayが入ってる。
おやま~、なんと、COMMANDのマスター氏が直に届けてくれた。
「太陽の塔」のTV番組録画。
同い年。同じ月生まれ、それも数日のみの違いという、同世代中の同世代。それゆえ、その視線がどこを向いているのかは、ながくコッソリ興味ありだったけども、氏が直に届けてくれようとは、想定外。
驚くやら悦ぶやらで茅輪祭みたいにBlu-rayを前にクルクル回転し、
「ワンっ」
と吠えることはしないけど、氏に大きく感謝、かつ太陽の塔の存在のデカサをまた思うんだった。
な次第で早速に観た次第。
アーキテクチャーとアーチストという異質な2人の良性なぶつかりあいあって、初めて、太陽の塔が太陽の塔として屹立したというコトを良く伝えた好番組だと、思えた。
けども一方で、太陽の塔は何故に残ったか、よりは、
「どうして丹下の大屋根を残せなかったのか?」
のクエスチョンがないのは、惜しかった。
岡本の云う、
「ゲ~ジツはバクハツだあ!」
が、粒子加速器が異質な物質同士を正面衝突させ爆発するコトによって、より高次元なエネルギーとしての物質を生むのと同義な意味とすれば、太陽の塔と大屋根はまさに衝突しあいつつ互いなカタチが他方のカタチを強化させ、あらたなイメージを飛躍させていたワケで……、大屋根をなくして、いわば素っ裸で立たされている今の太陽の塔は、ある意味でとても、不幸なカタチを晒していると、思えてしかたない。
なので、
「大屋根の撤去は、何故に?」
と、くどく、わだかまっているワケなんだ。その事をふくむ追求がなかったのを惜しむ次第。されど、番組として良質。Blu-rayに録画された価値がでっかい。
あらためてNaoさんに感謝。
※ K殿下からも映像データを頂戴した。ヴェリ〜・サンキュ〜でありまする。
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某日。早朝より強い日差し。ヒリヒリするような暑さ。
柔道家の車で倉吉へ、向かう。
途中に寄った蒜山は霧のような雨でチョイっと暑さから回避できて、ホッ。
ヒトで混み合う道の駅(皆さん、トウモロコシを買いに来てるんだねぇ。今はゴールドラッシュという品種がメインだ)でイワナの塩焼き食べて、小腹満たし、ヤマナ食堂には寄らず(外に行列できてたな)、一路、倉吉へ。
で、「円形劇場くらよしフィギュアミュージアム」。
仕事中ながらわざわざ駆けつけてくれた蒜山・新田菓子舗の社長氏から同館館長の紹介を受け、案内されるまま元学校校舎だった円形のミュージアムを初見学。
ひょっとしたらと思ってたら、やはりあった……、太陽の塔関連模型。
同館では、森永卓郎氏のミニカー・コレクション展を開催中で、実はそれを観ようと出向いた次第ながら、デンキー・トーイやらコーギー・トーイズの懐かしい英国味のそれじゃなく、国産トミカのコレクションのみの展示だったんで、チビ~っと残念ではあったけど、トミカだけでも見応えは充分。
超高額であろう純金の1台には、やや眼を丸める。
このミュージアムは、円形3階建ての昭和モダンな校舎のカタチを存分に活かし、教室1部屋1部屋が展示室。
ゆえに、次の部屋は、
「何があるんかしら」
探検めいたワクワク感が持続するのもよかったし、教室という閉じた狭い空間を極限まで広く見せるレイアウトの妙味も味わえた。
上の写真、でっかい柔道家はしゃがみ込み、小っこいフィギュアに魅入ってる。
円筒の校舎中央の螺旋階段。覗き込むとヤヤ足が竦む……。
蒜山の高名な菓子舗がなぜに倉吉のミュージアムと関係しているのかといえば……、同館ミュージアム・ショップにオリジナル商品を提供しているがゆえ。(下写真)
フィギュア1体がシークレットで入っている新田菓子補の円形ボックスの洋菓子セット
館内、時間をかけてユックリ観覧。
そのあと、近い距離にある割烹料亭「喜太亭 万よし」で食事。
混み合ってるかなと思ったけど、最近急速にはびこった島根・鳥取方面でのコロナ蔓延ゆえか、店内ひっそりだったのは拍子抜け。
ビールをグビリ。海鮮をペロリ。
倉吉が良いのは、高層な建物がないことかしら。
オレがオレがみたいなガが強っぽい背ぇ高ノッポがなく、静かに民家と公共施設が併存して見晴らしもよく、見栄をはるような陰気な気負いがなく、「ゆるくおだやか」な感じが常にあって、かなり好き……。
自分が津山という似通う場所(海は遠いけど)の生まれであるコトも影響しているんだけど、驚くほどに車が少ないのは、津山よりグッドで、グッとくる。
人口が少ないんだ、と云えば身もフタもないけど、ヒトが少ない方が町の魅惑が増すコトもあるわいね。
ともあれ、倉吉を流れる時間は、岡山市のそれとは違うなような気がしていけない。
かつて足穂はその辺りの感触を、「遠方では時計が遅れる」と云って愛しんだっけ。
むろん、それは紀行文じゃなく彼流のテツガク的宇宙論の中のフレーズじゃあったけど、なんだかしら、ゆるやかな時間に恋慕するような今日この頃。