マザ~が最晩年を過ごした部屋は、概ね荷物は片付けたものの、部屋そのものは手つかずだった。
来月末で、早や、没して1年になる。
寝たきり生活が長かったから、当然に同室は古ぼけたままで、時間が止まっている。
これを機に、部屋を改装することにする。
といって、使用目的は明確でない。
マイ・マザ~の面影を払拭したいワケでなく、共に生活していた場としての空間に新たな色合いをのせたい……、そう思った次第。
なので業者に依頼するようなものじゃない、あくまでDIY。
築後50年が経過した家屋は何度となく改装改築を繰り返して、初期の姿はもうマッタクないけど、それでも、マザ~の部屋は、そのもっとも古い部分にあたる。
隣室が仏間で、仕切りは昭和感漂うガラス引き戸。さらに南側のサッシ窓部分にもガラス引き戸が付いた2重構造で、雪深い東北方面みたいな寒冷仕様。
その昭和感たっぷりなカタチをどう改造するか……、思案を重ねた末、それなりの方策を見いだして、いざ作業。
もう使わないであろうタンスなどを屋外に出し、これらは廃棄予定
諸々なサイズを計り、石膏ボードやらベニヤ合板を買い込む。
ベニヤは高騰中で、1820×910の基本サイズが1枚2400円を超える。
1年半ほど前はたしか1600~1800円で、それとてコロナ禍での木材輸入の困難進行中での値上げ価格だったのだけど、今やいっそう険しい状況。メチャといっていい価格上昇。
「うげ~っ、高っかぁ~」
下地用として15枚買うつもりでいたけど、眼がクラクラ。
マレーシアやインドネシアなどベニヤ合板の生産地が、コロナ禍で都市封鎖(ロックダウン)が相次いたんで、当然に日本への供給もひどく滞り、加えて激しいホドの円安……。輸入品の物価はどんどん上がる。
「うげ~っ」
を何度クチにしようと、こちらの財布は薄くなるばかり。困ったもんだ。
なので急遽、購入予定のベニヤの1/3は廉価な別素材を買って……、経費を圧縮。
一応、工期を14日間と自己設定し、さっそくに、壁をたたいたり、ガラスを外して引き戸をペイントしたり……、などなど、し始めたのだけど、4日ほど作業しただけで、もう腕が筋肉痛。
2週間で終わるや否や?
ベニヤ合板などの買い出しでは、前回のDIY時と同様、柔道家と彼のでっかい車の出動を要請したのだけど、柔道家は彼が住まう地域の消防団員でもあり、たまさか買い出しの前々日に、小規模ながら山林火災があったとのコトで、夜中にホースを抱えて山野に踏み入ってヘットヘト。
買い出しのさいにも、そのヘトヘト継続中で、
「足腰痛いわ~っ」
とか云いつつも、重いモノいっさいを運んでくれた。
感謝だ、カンシャだ、キンロ〜サンキュ〜だ。
こういう若い(と云っても50を少し過ぎてるけど)良き友人がいるのがメチャに、あ・り・が・た・い。
買い出し後、ベニヤ板の経費を削減した分で、2人でおいしい昼食を食べに行き、昼下がりのビールを呑みつつ、
「トップガン、けっきょく、観なかったなぁ~、アハハハっ」
「おまえ、この夏、ウナギ食べた? 僕、1回こっきり」
「ありゃ、ワシもそうです。だって国産、メッチャ高かったっしょ~」
とかとか、くっちゃべって、良い時間を過ごす。
ビールのほろ酔いで……、当然、その日は作業するワケがない。ソファに寝っ転がり、午後の甘睡に落ちてった。