鼻風邪

 

 金木犀のシーズンが終わり、毎年のことながら、庭池に落ちた花をセッセと金網で広い集める。沈んでしまう前にやっておかないと、水が濁ってサ〜大変。

 良き芳香はごく束の間……、落下は冬近しを物語る。

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 午後から夕刻まで窓を全開で部屋の改装作業をやってる内、風邪をひいた。

 鼻水がとまらない。

 1分おきにティッシュを使わなきゃいけない……。

 ちょうど、行きつけ医院での定期診療があったので、症状緩和を願うコトにする。

 

 医師の診察前、別室で血糖値やらの事前検診をされるさい、

「風邪ひいちゃたようです」

 一言告げると、2人の看護士が、

「えっ」

 とかいって、身をひいた。

 その露骨な仕草をみて、ぁあ、コロナを疑ったんだなぁ……、速効で感じた。

「いやいや、この医院で4回目ワクチン、うったじゃんか」

「そも、さっき体温測ったでしょ。36.4度で熱はないっつ~の」

 診察してもらいに出向いたのに、なんだか、言い訳している自分が口惜しや。

 

 結局、医師にノドを検査されたりで、

「ぁあ、鼻風邪ですねえ」

 確定され、風邪薬を処方され、ただいま服用中。

 たいがい、こういう場合はPLという顆粒剤を処方され、じっさい、こたびもそうだったのだけど、効いたタメシがないんで、

「より強いの、ないですかね?」

 と問い、PA(ピーエイ)という錠剤に変えてもらった。

 

 服用してみるに、効果がすぐに現れた。鼻水がピタリとまった。

 薬をのんで数時間は持続。いいじゃないの……。

 けど効力が薄れ出すや、またジンワリ鼻水溶出。

 改装作業も継続中で、チョイっと汗をかきつつも、そのまま身体を動かしているのがいけないんだろう。

 

 ズルズルと尾をひきそうだけど、首相になって僅か45日、史上最短となる不名誉ながらも辞任を決めた英国首相のズルズルしない「いさぎよさ」を対比的に思ったりもした。

 ま〜彼女の場合は、自身が巻こうとしたタネが腐れていたがゆえの失態とはいえ、「無念残念」がコインの裏側に張り付いていたろう。エリザベス女王のオフィシャルな生前最後の写真が、首相就任の挨拶に出向いた彼女とのツーショットだったのが印象深い。

 その栄誉ある撮影からわずか一月半で、もう忘れられつつある存在という、高速度の明暗が、いたいたしい。

 英国ポップスのシンガーソングライターの誰か、リズ・トラス女史を歌にしないかな? かつてポール・マッカートニーが、違法駐車で反則切符をきった交通取締の女史をとりあげ、「ラブリー・リタ」に編みこんだみたいに。

(高齢になってリタさんが亡くなったさいは、たしか日本の朝日新聞もその訃報を外電として伝え、ごくごく無名だった女性に束の間ながらスポットをあてていたぞ……。近年にポールは唄われたリタについて実在の人物ではないと否定しているみたいだけど)

 

 ところで……、風邪ひくと、やたら、あったかいうどんを啜りたく、なるね。

 テンプラをのっけるより、オアゲにトロロ程度なのが、いいな。

 トロロはたっぷり。

 放置すると、水面が下がっちまうくらい吸収率が高いんで、その勢いの速度より早く口に運んで、

「旨っまっ~」

 とか云いつつ、併せて風邪のかったるさも吸引しちゃって、欲しいぞよ。