2週間で作業を終えるつもりだった部屋のDIY作業。
予定した14日間の10日が過ぎてしまい……、残り4日じゃ、無理ムリむり。
鼻風邪やらの弊害があったものの、それなりに実際は進んでるんだけど、最初の見立てが甘かったな。
マザ~の残した家具に古いタンスがあって、古いといっても桐じゃなく合板なんで、それは廃棄のつもりでイッタンは外に出したものの、
「おや? 待てよ」
一考した。
タンスそのものは古いけど、抽斗(ひきだし)って、引き出せば、とても綺麗な状態じゃ~ないの。加えて頑丈だ。
これを廃棄するのは惜しい、もったいない……。
という次第で作業の一部を変更、抽斗を壁固定の棚に再利用するコトにきめちゃった。(タンスの外側や小抽斗は廃棄)
横使いから縦使いへの転身。マザ~が使っていたモノの一部を継承するという意義も含めて、作業やりつつ現場判断で変更という次第だから、そりゃ~時間も追加されますわいねぇ。
ま~、いいのだ。
これに関しては〆切り厳守なんて~のは、なぁ~いんだもん。11月末のマザ~の一周忌までにカタチにすればヨロシイわい。……軌道修正でござい。
本来タンスがあった場所での工作。ホワイトのクロスで壁と一体化させたので、オリジナルがタンス抽斗とは、ポアロもホームズも即座にゃ気づくまい。ウフフ。
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バタピー囓ってビールで流し込みながら、この本、読んだ。
なかなか、おもしろかった。
タイトルの前半「お金の流れで読み解く」は、とてもキャッチーで的確。でも後半部「ビートルズの栄光と挫折」は、これは内容にそぐわないなぁ、余計な尾ひれだな。
なので本ブログのタイトルは、あえて『お金で読み解くビートルズ』と換えた。
けども、かねて久しく自分にとって理解できていなかったコトを本書で教えられ、
「あら、ま~、そうだったのね」
けっこう感心したり関心深まったりさせられた。
60年代という時期、彼らビートルズにしても、著作権印税というカタチが彼らにとってどういう性質なモノなのかをよく理解していなかった……、というコトの示唆がこの本のイチバンに良い点だ。
そのあたり、現在の常識的通念で眺めちゃ~いけないのであって、60年代半ば、ジョンもポールも、
「自分たちの曲が以後半世紀にわたって売れ続けるもの」
とは、チビッとも思っていなかったんだね。
ポップスは流行る時期を過ぎると後はもう売れやしない、というのが当時の決定的常識なのだった。
それで彼らは56曲の著作権利いっさいを、ノーザン・ソング社に売ってしまった。
ジョンとポールはそれぞれ14万5千ポンド(当時の日本円でおよそ1500万円)を手にした。
信じられないホドの安値だけど、当時は、上記した通りに、「もう売れないであろう曲たち」にあわせて3000万円払ってくれるなら御の字、メチャにおいしい話じゃ~ん……、という次第なのだった。
で、後々、これがジョンやポールを悩ませる。
自分らの歌だったのに、自分らのモノじゃ~なくなって、コンサートでそれを唄えば、著作料をノーザン・ソング社に払わなければイケナイというヘンテコなことになる。ラヂオやテレビで使われてもノーザン・ソング社にお金は運ばれる。
ジョンとポールはノーザン・ソング社の株主でもあるんだけど、株主としてのメリットよりもミュージシャンとしてのデメリットの方がメッチャでっかくなる……。
時が流れ、その後いっとき90年代には、ノーザン・ソング社が権利を手放し、マイケル・ジャクソンがこの56曲の全権利を入手したりで、今はソニーに権利が移っている。
(幾つかの裁判を経て、現状ではジョンやポールがその収益の75%を受け取れるようにはなってるようだけど……)
さらに60年代当時の英国の税制が、大きな問題として横たわってた。
高額所得者は収入の90〜95%は国におさめなきゃ~いけない。
当時、共産主義の台頭とそれへの若者の傾倒が目立つというコトで、英国政府(労働党・当時の首相はウィルソン)は富裕層の課税を強化して、社会保障を充実させるという方策をとった(当時、我が国も右にならえしてる)。
ま~、それゆえに今でいう格差というモンダイは生じにくくなっていた……、のだけど90%以上を取り上げられる身としては、嬉しい方策じゃ~ない。
ま~ま~、だからあの「タックスマン」という曲も創ってるワケだね。作詞も作曲もジョージ・ハリスンで、彼もビートルズで得た収入の9割を国に持っていかれ、高額所得者であるハズなのに、会計事務所から破産に近い状況と説明され、その身の上に悲憤した。なので歌詞の中にはウィルソンも登場する……。
それでジョンとポールとエプスタイン(マネージャー)は「レンマック」という会社を作り、ビートルズが得た収益はそこに入り、そこから配当というカタチでジョンとポールとジョージとリンゴは収入を得るという対応策をとる。
そうするコトで大幅な節税になるワケだ。これが後のアップルだ(iPhoneのアップルじゃないよ)。
映画『ヘルプ!』はバハマ諸島で撮った。
バハマは税金がほとんどかからない、いわゆるタックスヘブンの地。
それで彼ら4人は、バハマにキャパケイド・プロダクションという会社を設けて、この会社が制作したコトにし、映画の収益も同国の銀行に預けた。
英国にお金を持ち帰れば、ど~んと税引きされるんだからね。
ま~、けど、うまい方法だったけど、英国政府が1967年にポンドの引き下げをおこない、自ずとそれはバハマの銀行にも影響がでて……、結局、ビートルズは同年に8万ポンドの損失をこうむる。
とかとかとか、おもしろい記事が続いて、
「なるほどねぇ~」
頷いたり、アタマかしげたり、したのだった。
でも読後、なんか、ある種の違和感が残ったのも確かで、それは何だろうと思って考えるに、この本、いささか無味乾燥なんだなっ。
ドライ&ウエットの情感がなく、帳簿をみるような、“無味乾燥”を感じた次第。
著者は、大蔵署の元国税調査官で、退職後にあれこれ経済本、『信長の経済戦略』、『龍馬のマネー戦略』などなどを出してらっしゃるみたいだけど、そのあたりの消息が影響しているのかしら?
興味をひかれる記述は多々あるし、ベンキョウにもなったんだけど、
「おっ、この本、いいな」
という「情」がわいてこなかった。
各章ごとに、著者がまとめとしてポイントを列記し、ビジネスやら経営としての参考にしなさいというカタチの掲示が、逆に、金銭しばりの型枠にビートルズを押し込んでしまっているような感じもあって、そこら辺りがどうも……。
とどのつまり、本書で著者があぶり出したビートルズにまとわりついたマネーにまつわる人物らと著者は同じ水面にいるんじゃないかしら……、路面の端っこの水溜まりに浮いてる油膜のような、妙な感触が拭えないんだった。