越冬準備

 

 11月のアタマに岡山市の広報誌「市民のひろば」がポストに入ってた。

 タイトルに「いつまでも働きたい」を応援しますとあった。

 それで、「えっ?」と首かしげた。

 皆さん、自ら好んで、いつまでも働きたいのか?

 多くの老いたる方々は働かなきゃ〜やっていけない、というのが現実なのじゃあるまいか?

 働かずとも自分生活を楽しみたい……、というのがニンゲンっぽくはないか?

 そんな暮らしであって欲しいのだが、あたかもシュミ生活の延長がごとくに労働をバラ色に塗り替え、老いたるを働かせたいようで、

「違うんじゃない、これ」

    

 行政のおこないとしては、

いつまでも働かなきゃいけない方を支援します

 が正しいのじゃないかしらん。

 そも、応援と支援はかなり違うものでして……、吸える空気が薄くなるのを感じて、

 しかめっ面になった。

 

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 11/3文化の日、小包が2つ届く。

 1つはあがた森魚さんの事務所からで、CDが2枚。

 サインの入った方の最新作『オリオンの森』を聴きつつ、もう1つの小包を開封すると本が出てきた。

 ユリイカの「松岡正剛特集号」。ページをめくると、奇しくも、あがたさんが正剛氏を追悼するエッセーも載っていた。

 かつて10年前、正剛氏と空港でばったり遇った事を……、「そのたわいない束の間に――」、と回顧されていた。

 当方もまた、晴天となった文化の日に、2つの小包が同時偶然に届いたコトを、「そのたわいない束の間」として、いずれ回想し頬を緩ませるコトができるか。

 一方通行でしかない時間の流れがあやなす偶然と必然の曼荼羅めいたモロモロを想う。

 

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 庭池のホテイアオイに紫の花がつき、束の間、水面が賑やかになっている。

 もっとも、繁殖し過ぎて水面はあんまり見えない。池全域がホテイアオイに覆われて、他の水生植物は大迷惑というアンバイ。

 開花が終われば1年のサイクルとしては休眠期に入るけど、外来種たるこやつめは日本の冬の外気温に耐えられない。

 それで毎年枯らし、次の春に園芸店で新たに購入して池に投入を繰り返したけど、昨年の10月後半に、数株を鉢に植えて室内に入れ、様子見し、ほとんど葉もなくなったのを、今年の春にまた池に戻してみたら、その数株が復活し勢いづいて、写真の通り、今や盛大に密茂という状態。

 紫色のなが~い繊毛めいた根がドンドン伸びるので、夏場は2週間に1度ほど、草取りみたいにセッセッと根を引きちぎるという乱暴なコトをしていたのだけども、へこたれない。

               黒く見えるが根は光に翳すと深い紫色

 しかし、さすがに11月。水温が下がってきていてる。

 この開花が終われば、また、2~3株を鉢に移植して部屋に入れよう。

 昨年は10月19日にこの移植作業をやっている。皮膚感覚として充分に冷えていたワケだ。

 だけど今年は10月になっても夏の余熱冷めきらずという気配で、作業時期も遅延後退だ。

 富士山も初冠雪が遅れに遅れ、いまだ白いもの見られずで、観測史130年で初めての事態というコトらしいが、小庭の小さな池であっても、温暖化現象が見てとれる……。

 ずっと化石燃料に依存した結果ゆえの高温化……。かといって原子力発電を歓迎しないし、この先が思いやられる。

 ホテイアオイの根は柔らかく、よく茂るので、金魚の遊泳を邪魔するけども、その密茂っぷりゆえ逆に、魚にとっては良き産卵場所となるようなトコロもある。

 この夏オドロイタのだけど、金魚が1匹生まれ、気づいた頃には割合い大きくなっており、両親(?)らと一緒に泳いでいる。

 茂った根が良きユリカゴとなったようだ。

 となれば、夏の合間、無造作に、草むしりみたいに「根むしり」をやってたけど、ひょっとすると金魚の卵がくっついたのも……、むしったかもしれない。

 閉じた庭池世界ながら、生態系というモノを考えさせられる。

 ま~、いいさ。

 今期の土への移植は来週あたりにやろう。

 

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 小庭中央のセンダンはおごりにおごり、枝をグングン伸ばしていたけど、落葉し、地面に黄色に変じた葉を落としつつある。

 ご近所の方々、庭木に注視できる方々(大体が年配者だけど)には、

「今年もよ~育ちましたなあ」

 と声をかけられ、ヤヤ嬉しいような気もしないではないし、けども、しっかり観察されてるんだなぁ、などと思ったりするけど、放っておけば、来年さらにデッカクなるのは眼にみえているので、気の毒だけど、伸びた枝を伐採し、これ以上デッカクなるのを抑止する……。

 2階ベランダから見ると庭中がセンダンに覆われているよう。

 雨の翌日、晴れ渡った午前中、園芸ノコをあてがい、次々に枝を落とす。

 そこそこのチカラ仕事。幸いかな、ロッコツの痛みは8割減って脚立に登る作業も楽ラ~ク。

   

 夏の盛りに涼しい木陰を作っていた枝葉が失せると、一気に、庭は寒々しい感じになるけど、しかたない。

 徹底的に枝をカットして、丸坊主というより丸裸にする。

 いやしかし、10時、11時と時間が進むと共に……、気温もあがり、汗タ~ラタラ。ホンマに11月かい? と顔しかめるほどのカンカン照り。

 これほどに伐採しても、毎年、春になれば、芽吹いて新たな枝が出てくる。今回も来春にはそうなるであろうとの予測でもって、センダンには申し訳ないが、ゴリゴリと枝にノコをいれた。

             切り落とし後の処理がイチバンに大変……

 

 けども、枝葉ごっそり落としてしまうと、緑色が失せ、空間がひらけ、赤裸な閑散感触も押し寄せてくる……。ま~、これもしかたない。来春に向けての我慢の時期がはじまるワケだ。

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 次いでゆえ、道路にはみ出た金木犀の枝葉もカットし、こじんまり……、させた。

 チョキチョキつまみ、幾つか枝をゴリゴリ。

   

 大汗かいた作業だけども、車高の高いクロネコさんのトラック荷台などに、これで触れることなし。良し良しヨシ。

 

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 夜になってから、センダンの枝を落とした部分に薬剤を塗布し、化膿症の予防とした。

  こんな農薬があるのを最近知った。再生力が強いとはいえ、切られて大怪我をしているワケで、それで、オロナイン軟膏を塗るみたいに、いたわった……。

 効能がどれほどなのか、気休め的療法となるのか……、結果は来春に持ち越し。