シネマディスプレー

 

 年の瀬に1つ2つ家庭用の機器が壊れて買い換えを余儀なくされたけど、年明けて5日め、Macのモニターの1つが壊れちまった。

 また余計な出費……、とも思うけど、しかし、このモニターは長寿で「愛用品」に相応の働きをしてくれていたので、損得勘定よりも、惜しむ気分が前面で踊った。

     

 2000年の秋に、アップルから新発売のPower Mac G4と一緒に買い、 G4はG5に換え、G5は2台を使ったのち、それをiMacにと換えてったけど、このApple Cinema Displayのみは卓上に鎮座し続けて今に至った

 正しくは2004年頃にアルミニウムフレームの新たなCinema displayが販売され、その時点で3つのモニターというカタチにした。でも後発のそのモニターの方が早く壊れてしまって、なので、な~んと24年間もガンバッてくれてたのだから、なんかアタマが下がるのだった。

 スペックとしては昨今のモニターより劣るけども、ポリカーボネートの透明なボディが何よりチャーミング、他のモニターにはない強い愛情を憶えたもんだったゆえ、年末頃より、画面がチラチラしたり、弱々しい小庭の小さな虫みたいにジ~ジ~っと時に音をたてたりと、顕著な不調をみせてハラハラさせられ、で、年明けてついにチカラ尽きた。

           電源部も武骨な黒い箱でない所がいかにもアップル……

 24年、どうもありがとうでした。

 と、シミジミ思いつつ、しゃ~ないから新たなモニターを買って取りつけ、3スクリーンを復帰させた。

 ジョブスが亡くなって以後、何がなんでもアップル製品でないとイカンという気分はもうなくってるんで、メーカーはどこでもいいや、とにかく1つのiMac に2つのモニター増量でスクリーンを3つという実に便利な環境をば、維持す。

 24年前のモニターは重く、昨今のと較べるとアッケにとられるホドで、ヨイコラショ~っと交換作業時には傷めた腰がピリピリして、

「ぁ、やば~ッ」

 と、へっぴり腰で余計に作業がはかどらなかったんだけど、アップル社の1室でジョナサン・アイブと2人でもって、ポリカーボネートというクリア素材をどうカッコ好く活かすか、スッタモンダしたであろうスティーブ・ジョブスのことを今更に偲ぶんだった。

      

 ジョブスとアイブは、デザインという領域の中に「愛し続けられるカタチ」という、眼には見えないであろう概念をカタチに昇華させるという驚くべき仕事をやってのけたと、今も想う。

 結果として失敗となったカタチもあったろうけど、果敢に挑戦し続けて揺るがなかった姿勢が、今も目映い。

 1/6スケールのジョブスの可動フィギュアと、同じく1/6のシネマディスプレー模型。

 彼が没して数ヶ月後にHong Kongの小さな新興メーカーから販売の限定品。ジーンズとナイキとイッセーミヤケのセーターの再現力が驚きのレベルで、その縫製力やら素材のチョイスに衝撃させられ、モノ作りの熱情を浴びた——。